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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2005.11
- 出版社: 光文社
- サイズ:19cm/310p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-334-93370-X
紙の本
高学歴ノーリターン 一流大卒が負け続ける「ギャンブル社会」の到来 (Kobunsha paperbacks)
著者 中野 雅至 (著)
日本は「学歴価値」が大暴落し、「高学歴ノーリターン」の国になりつつある。東大を頂点とする「ピラミッド型学歴社会」が徐々にメルトダウンし、やがて「ぶっ壊れる」様を描き、日本...
高学歴ノーリターン 一流大卒が負け続ける「ギャンブル社会」の到来 (Kobunsha paperbacks)
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商品説明
日本は「学歴価値」が大暴落し、「高学歴ノーリターン」の国になりつつある。東大を頂点とする「ピラミッド型学歴社会」が徐々にメルトダウンし、やがて「ぶっ壊れる」様を描き、日本の学歴社会の行き着く末を明確に示す。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
中野 雅至
- 略歴
- 〈中野雅至〉1964年奈良県生まれ。同志社大学文学部英文学科卒業。厚生労働省大臣官房国際課課長補佐等を経て、兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科助教授。著書に「はめられた公務員」など。
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紙の本
「学歴重視」が始まるのはこれからである
2007/03/20 01:08
10人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐伯洋一 - この投稿者のレビュー一覧を見る
高学歴を取っても報われない社会が来る(来ている)と著者は主張する。そして、そんな社会に疑問を投げかけている。しかし、まず大前提として、私は学歴社会の崩壊は無い。それどころか、一層学歴社会へと拍車が掛かると断言できる。後述するように海外から見て、日本が学歴社会などと愚痴を垂れたら笑われる。日本はまだその崩壊するはずの厳しい学歴社会などは来ていない。
誰だって実力が分かれば、その人を採用したい。しかし、実際は会社に入ってどんな働きをするかなんてことは採用段階では分からない。
故に、何百倍にもなる応募が殺到する企業採用試験においては、まず学歴でバッサリやる。この傾向は益々顕著になってきていると、大学のエキスパート島野清志氏は断言している。これは経済ジャーナリストである島野氏が実際に企業面接担当官に何度も聞いたことだという。
では海外はどうか。先進国の学歴社会ぶりは恐ろしいほどである。アメリカではAの数でその後の人生が決まる。それも、単にAだけではない。MSTのAと三流大のAでは雲泥の差がある。ほとんど三流大は相手にされないといってよい。
韓国も鬼の様に厳しい。フランスはもっと厳しい。フランスは階級も絡んでくるので、学歴は単に学力だけではダメという世界だ。今後益々日本は国際化が進む。進まざるを得ない。何故なら、経済活動は企業買収に象徴されるように多国籍にわたる。例えば弁護士なんかはどんどん米ロースクールに行く。その時、見られるのは日本での「一流」大学の成績である。
さらに、最大の根拠は大学全入時代の到来である。これにより3流大に入る価値はゼロ以下となる。何故なら誰でも入れるから。米国でこれほど学歴社会が進んだのも、全入ゆえに、誰でも入れるところはもはや無価値となったからである。全入になると、例えば東大などは現に益々卒業も難しくする方針である。これも米国式。これを企業が更に評価する。なおかつ、独立法人化で学費も横並びが消え、東大の1人勝ちは強まる。私立でも慶応大学の共立薬科大吸収に見るように、ブランドは益々地歩磐石に至っている。
学歴は頑張れば誰でも手に入る可能性がある。日本では勉強するれば東大に入れる素晴らしい国である。しかし、海外では必ずしも勉強だけでは入れない。結局、学歴社会が日本の階級固定化を押しとどめていたといえる。学歴社会が壊れて困るのは、実は一般庶民なのである。頑張って学歴を得れば、一定程度成功の可能性があるわけだから、階級は固定化しないからである。
なお、著者は学歴が報われないと叫んでいるが、著者は同志社英文科で官僚になっている。これでは報われる以前に、挫折感を味わって当然ではないか。一種合格者を何人も知っているが、彼らはみんな東大生である。出世は東大以外不可能。局長ポストはズラッと東大閥。実は著者のいた環境こそまさに「学歴社会」継続の実際証拠でもあるだろう。
大体、高学歴者(旧帝早慶一橋)の年収とそれ以外を比べてみたらとてもではないがリターンが無いなんてふざけた話はいえないほど有意なデータが得られるだろう。それもたった高三の一年だけで一生変わるのだ。費用対効果からすれば計り知れないリターンではないか。
著者の心配(学歴崩壊は異質な社会を生む)は誠に私も同感である。しかし、学歴社会崩壊は間違いである。そして、特にこれからは一層大学院が重要になる。現に院生は90年代から激増しもはや珍しくも無い。理系では院卒でなければ相手にされない。
また、学者になりたいなら悪い事は言わない。王道を歩くべきだ。東大を目指して欲しい。東大を退け自らの学閥を形成している3校即ち京早慶でもいいが、やはり東大の権威は圧倒的である。オーバードクターのこの時代、やはり教授採用でも学歴が重要なんだとかえって不条理と思うほど先輩たちを見ていると感じる。
紙の本
我々は何のために苦労して一流大を目指すのか
2006/03/09 14:54
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:関東蒲公英 - この投稿者のレビュー一覧を見る
偏差値30の高校生が東大を目指す漫画「ドラゴン桜」がテレビドラマ化されるまでに至り、様々な関連商品がヒットした事は記憶に新しい。ゆとりの教育だの、個性を伸ばすだのと教育にまつわる議論が喧しい中、ドラゴン桜の示した、勉強する事の意義や具体的な勉強法、教育のあり方というテーマは、一定の支持を得、現代人が改めて教育という物を考えるきっかけとなったと言えると思う。一方、こうした作品のヒットこそ、我々が日頃いかに「教育」や「学歴」といった物を重要視しているかを如実に物語っている。
日常生活を振り返って、必ずしも教育に熱心とは言えないような、学歴の芳しくない親でも、子供の塾には金銭を惜しまない。教育について詳しい事は分からなくても、子供にはせめて高校くらいは、欲を言えば大学と名の付く所くらいは出てもらいたい等と考え、熱心に子供に塾通いをさせる姿は決して珍しい事では無い。
しかし、こうして苦労して手に入れた学歴に果たして日本社会はどれだけ報いているのかと言う点を筆者はこの著書で取りあげている。
現代の日本社会は高学歴=高収入という考え方は結びつかない。またかつてのように高学歴な人間が仮に低収入であってもその境遇に満足する事が出来る所以となっていた「高級官僚」であるとか「大手企業の出世コース」といった帰属する集団の社会的安定性や社会的羨望が姿を消し、成果主義、実力主義の中でリスクを負いつつ僥倖によって大金を手にした人間のみが社会的に評価される「拝金主義」が横行する事で、学歴によって得られる見返りがどんどん小さくなっている事を筆者は時にコミカルに、時に辛辣な表現によって描き出していく。
実際、評者の周りにも一流大を出て日本を代表する企業の社長にまでなった人が、大したことの無いマンションの一角に住んでいる姿や、逆に高校中退の自営業者の息子が、夜のコンビニからジャージ姿に高級ブランドのアクセサリーのみを不釣り合いに身につけ、これまた何千万もする高級車で走り去っていく姿を目にしたりもする。一流大に行った物の就職がうまく行かずに半フリーターのような生活をしている知人も数知れない。変わり者という訳でも、労働意欲が無い訳でもない有能な人間が、そういう境遇に甘んじているのを見るにつけ、学歴とは何なのかを問いたくなる事はしばしばである。
一流大に入り、一流企業に就職し、重役にまで上り詰めても、その報酬は頭打ちであり、リストラや企業の不祥事などに巻き込まれよう物ならそれすらも危ういのが日本社会の構造なのだと筆者は言う。
ここまで言うと、学歴が仕事に結びつかないのは当然という意見が当然出てくる訳だが、筆者は、その上で、「では何の為に努力して学歴を得るのか」、「このまま学歴ではなく、所得のみが評価される社会になるとどの様な現象が起こるのか」を論じていく。
筆者は関西の私大から、国家公務員1種を取得して東大社会とも言える省庁で働いた経験を持っている異色な経歴の持ち主である。
そうした意味では、必ずしも自分の学歴が報われなかったという愚痴よりも、周囲の有能な東大生たちの哀れな境遇を論じた面が大きい。
この書についてはデリケートなテーマ故に賛否両論あると思われるが、著者は学歴を至上の評価対象にすべきであると述べている訳ではない事には注意したい。様々な評価基準がある中で、学歴もまたもう少し見返りのある物にしなければ社会において大きな損失があるのではないかという視点には、読後一定の共感を得ることが出来た。
努力して良い大学に行った割に、人生このままで良いのかと思案に暮れている方は、人生の考え方の参考までに手に取ってみては如何だろうか。