紙の本
読んでいて、これがルパン?って思うんですね、違うよね、これって。何だかクリスティーみたい。凄い!ってわけじゃあないけれど、でも子供たちなら十二分に楽しめます
2006/01/29 23:13
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
まず本の構成ですが、冒頭に二階堂黎人の「この本を読む人に」があります。西暦2005年、ということはこの本の出版された年ですが、それが怪盗アルセーヌ・ルパンの生誕百周年にあたる、とあります。私などは、二階堂=本格推理。故にカー=ディクスン・カーだと思ったわけです。で、この本でルパンは古代エジプトの呪いと対決します、とあります。
そうか、既にルパンはホームズと競い合ったこともあるわけだし、今度は呪いを中心に、ディクスン・カーと推理合戦でもするのかな、案外冒険小説だったりして、なんて思うわけです。でも、扉をめくったところについている口絵を見ると、ルパンていうより怪人二十面相みたいなシルクハットを被った紳士がいて、もしかすると明智小五郎もでてくる?それって芦辺拓じゃん、なんて思うんですね。
その口絵や途中に出ている挿絵を書いているのが、なんとあの『本棚探偵』シリーズを書いている喜国雅彦なんです。私は喜国の漫画こそ読んでいませんが、すくなくとも『本棚探偵』ものの挿絵よりは、良い子のみんなのためには正しい絵を書かなきゃいけないんだ、みたいな思いが伝わってくる極めて正統的、端正な美しいものです。装画・挿絵は繰り返しますが喜国雅彦、装丁は祖父江慎+阿部聡(cozfish)。
で、お話は昔懐かしい、というか連載モノを思わせるスタイルをとっています。第一回(第一章、じゃあないんです、第一回。そこんとこ、ヨロシク!)ミイラ男の怪奇、第二回 不気味な老人、第三回 恐怖の殺人事件、第四回 地下道の大冒険、第五回 恐るべき真相、第六回 大団円ですよ、大団円。これって、今の子供、使わないですよね、もしかして曲馬団、なんて出てきたりして(出てませんです、はい)・・・
で、勿論、ディクスン・カーも出てきません。出てくるのはパリ大学の考古学教授のジョルジュ・ボーバン博士、その長女のでゼローム男爵の妻のアンリエット夫人、その夫の(なんだかくどいんですが)上院議員のロベール・ゼローム男爵、博士の次女のクララ、助手のピエール・ドルモン、クララの婚約者フェリシアン・モンテシュー、新聞《エコー・ド・フランス》の編集長ジャン・サルバトール、パリ警視庁の部長刑事でルパンの部下でもあるマルコ・ブルサンなどがいます。
ボーバン博士がエジプトで発掘した品々、女王のミイラ、《ホルスの眼》というメダリオンなどがパリで公開されることになった、それが数々の事件を引き起こしていきます。怪しい老人、ミイラ男、密室殺人、謎の手紙、ミイラの呪い等々。その舞台となるのがパリ近郊にある《白霧の森》に建つ《エイグル城》で、17世紀にトゥルーズ伯爵が建てたものです。
ま、お話の紹介はこの程度にしてタイトルのカーですが、文中にこうあります。
「古代エジプト人は、《カー》という生霊が存在すると思っていた。人間が生まれるのと同時に、その分身である《カー》も生まれ、人が死ぬと、その肉体から《カー》だけが離れるとね。つまり、《カー》は決して死なず、いずれ生きる糧を求めて、その死体に戻ってくるんだ。」
やっぱり密室王のカーではありませんねえ・・・
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血湧き肉躍る正統派推理小説(子供向け)
あの頃少年少女だった人向けに書かれたこのシリーズの中で、私が読んだモノの中では一番「あの頃」ちっくでよかった(笑)
何というか、あまりにも真っ向過ぎる作法に則っていて、読みながらぐふぐふしちゃったのは、きっと私だけじゃないはずだ。
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アタリばかりだったミステリーランドの中で、これは限りなくハズレに近いような気がします。
トリックも、犯人の意外性も、別に…という感想しか持てず。
文体や世界観は本物に似ているので、とにかく惜しい!
もう一捻りほしかった。
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ミステリーランド・シリーズ・・・モリス・ルブランの1911年刊行の本を古本屋で見つけたので翻訳する〜ルパンは財産を食いつぶしている考古学者のボーバン博士の娘婿がエジプト展に託けて密輸を働いていると睨み,新聞社の編集長に変装した。そこでは密室に脅迫状が置かれるという不思議と,ミイラ男が徘徊するという怪談が流布していた。開催記念パーティーの場で次女がエジプト人により囚われる事件が起こり,主人の招待でパリ郊外のシャトーに入り込んだ。長女夫婦の殺害事件と次女のナイフによる傷害事件が起こり,博士の研究室が放火される事件が起こる。ルパンは城外へ通じる地下通路と館内の秘密通路を発見し,ミイラ男が次女の婚約者で発掘助手で,生き埋めされて救出された青年だと知る。その青年は既に力尽き,恋人の次女によって頭部が切断され,川に流されていた。次女は恋人の無念と家計を救うため道楽に明け暮れている家人を相次いで亡き者としようとしていたのであった〜翻訳というのは嘘で,ルパン・シリーズの続編か,中途の話を書きたかったんだろう。清水義範先生がドン・キホーテをセルバンテスに成り代わって書きたかったように。子どもの頃に読んだルパンを改めて見た気がしたけど・・・ルパンはもう少し身軽だった。うら若き女性を犯人としたことがあったろうか? まあ,一番意外だろうけど
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小学生の時に学校の図書室で読んだミステリを思い出します。懐かしい!
でも、ルパンが私の知ってるルパンと違う気がする・・・
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古代エジプトの秘宝「ホルスの眼」と呼ばれるルビーをねらうアルセーヌ・ルパン。発掘の責任者ボーバン教授の屋敷に潜入させていたベロニックから危険を知らせる手紙が。部下のマルコとともに救出に向かうが小屋の中で刺殺されたベロニックの遺体。ボーバン教授主催のパーティーに編集者として侵入したルパン。パーティー会場に現れた謎のエジプト人老人。教授の娘クララを連れ去ろうとするが。ルパンの救出。屋敷に招かれたルパン。教授の元に送りつけられる脅迫状。密室の中に現れる脅迫状。ミイラに襲われるクララ。クララの姉アンリエットのきいた大蛇の這うような音の秘密。屋敷の元の持ち主トゥールーズ伯爵の金塊の謎。金庫の中から消えた金塊。密室で殺害されたゼローム男爵と夫人アンリエット。クララの元婚約者ピエールの手記。
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ミステリーランドの本は、図書館から借りてちまちま読んでいます。
で、二階堂さんもそのうち読もうと思っていた作家さんなので、じゃあこの機会にと思ったのだけど、うーん……。
いつも思うのだけど、ミステリーランドって、面白い話でもなんだかぎくしゃくしているというか、不自然と言うか、作家さんの普段の書き方じゃなくて、子供向けを意識しているの?とかいう感じが多いので、イマイチ話に入り込めない。
どの作家さんの読んでも、感じることが同じってことは、出版社の意向なのかしら…、とか思う。
話は面白かったです。
面白かったですが、私ルパンものを読むのは大人になってから初めてなのですが、原作もこんな感じなの…かな?
場面によってはホームズを読んでいる気分になったり、明智小五郎を読んでいる気分になったりで、微妙。
でも、ミステリーとしてはいいんじゃないかな。
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フランスの古本屋で古い原書見つけた作者によって翻訳された、アルセーヌ・ルパンの未発表作です。
という前置きから始まります。
実はこの設定自体がフィクションなのだけど、中身はルパンの世界観そのものです。
私がこんなに本を好きになったきっかけが、ポプラ社のアルセーヌ・ルパンのシリーズでした。
南洋一郎氏が翻訳しているもので、ルパンがものすごくかっこよかったのです!
本当に懐かしい気持ちになりました。
ただ、このルパンは南洋一郎のルパンとはちょっと紳士度が違う気がする・・・
ミステリーランドの「少年少女のための」というテーマにはぴったりの作品です。
この本をきっかけに、子どもたちがアルセーヌ・ルパンシリーズを読んでくれたらとても嬉しいなって、作者でもないのに願ってしまいます。
本って、出合うのにぴったりの年齢ってあると思います。
ルパンもその一つで、私は子どもの年齢のうちに読めてめっちゃよかったなぁって思う。
本当に、めちゃめちゃはまっていて、理想の男の子像もルパンみたいな人だったのを思い出します。
本当に楽しい本でした。
また「813」とか「奇巌城 」とかを図書館で借りてこよう!
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プロローグに「この本は古本屋で見つけた本を翻訳したもの」なんて書いてあって、うそマジ?なんて思いつつ、読み始めました。
あ、もちろんこの本は立派な書下ろしであります。
古代エジプトの秘宝、ピラミッドの発掘、ミイラ男、錬金術、密室、秘密の通路……。
もうワクワクすること満載です。
私には犯人は分かっていたものの、密室の謎は解明しきれませんでしたが、もう一つの「金」の謎はちゃんと解けていました。
ルパンは探偵役?もう一つの謎は放置?
なんてちょっと心配だったんですけど、まあしてやったり、ってとこですかね(笑)。
子供の頃に夢中になって読んだ、ルパンやホームズの世界を思い出させてくれた一冊でした。
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ルパンが主役で怪奇趣味のミステリ! これは読まないでどうするんだよ。
こういうのは好きなんだけど。どうしても印象から、犯人は分かっちゃうのね(苦笑)。それでもトリックは分からなかったし、読んで納得。ラストも予想通りながら、やはりこうでなくっちゃ。
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2010/04/26~2010/04/28
☆3
おもしろかった。
こんな、翻訳本に似せたオリジナル本を読むのは初めてだ。
(巻末にもう書いてあったからネタバレする。この本はまえがきで「翻訳した」という趣旨のことを語っているのだが、実は最初から最後まで二階堂さんの創作だ)
ここまで書かれると、久しぶりに洋物のミステリに手を出したくなってくるではないか。
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古代エジプト展の目玉、大きなルビーをあしらったホルスの眼。
この宝物を狙うアルセーヌ・ルパンは発掘者ボーバン博士に近づくが、博士の居城・エイグル城では奇妙な事件が発生していた。
城の密室に置かれた脅迫状、そして出没するミイラ男。
そんな中、ルパンが城に潜入させていた老女が殺される。死体は古代エジプトのスカラベと暗号の書かれた羊皮紙を持っていた。
ルパンは老女の復讐を誓い、城へ乗り込むがそこで新たに連続殺人が発生する。これもまた人の出入りが不可能な部屋だった。。。
全て古代エジプトの呪いのせいなのか。ルパンとミイラ男の対決の行方は!?
ミステリーランド、第8回配本です。二階堂さん単独の本はかなり久しぶりです。
ルパン生誕100周年ということでこの作品にされたそうです。
稚気というか、おちゃめさを感じました。こういう作品もアリ!?
暗号、古城の伝承、隠し通路などなど、子供のころに読んでいたルパンものを思い出しました。
そのままポプラ社から出されても違和感ないです。
ミステリーランドのコンセプトにもぴったりではないでしょうか。
読後、巻末の執筆陣を見ていたら「あれ?乙一さんの名前あったっけ?」
前の本を引っ張り出して調べたら笠井潔さんの名前が消えて乙一さんになっていました。
どんないきさつがあったか知りませんが乙一ファンにはうれしいでしょうね。
間違いなく「黒」だと思いますが。(←あまり読んでいないので勝手なイメージです・笑)
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「<時は金なりというが、確かにそのとおりだな。その証拠に、おれはいつだって忙しい。この広い世の中には、おれの手で盗まれたがっている財宝や、発見されたがっている秘宝が、まだまだたくさん眠っているのだから。そうさ。世界は、このおれ様を待っているのだ。回答アルセーヌ・ルパンが大活躍をする、素晴らしい冒険をな!>」
なんと!!!ルパンもの!!!
そして、最後には、とても、にやりとする注釈が!!
面白く読みました。
最初の「はじめに」を含めて、とても、よく出来ていると思います!
ていうか、すごすぎでした。
ルパンは読んだことないのだけれど、とても、読んだ気にさせてくれるので、ほんとにすごいなぁと。
これを機に、ルパン読んでみたいなぁ。。カッコいいわ〜〜。
【10/9読了・初読・市立図書館】
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怪盗として知られるアルセーヌ・ルパンの今度のターゲットは「古代エジプト展」に展示される「ホルスの眼」と呼ばれる発掘された宝飾品。
展覧会に関わる一族が住む霧の中の城で、よみがえったミイラが彼らの命を狙っていた。
ルパンの部下の善良なお婆さんもその毒牙にかかる。
昔ながらの懐かしい探偵小説という感じ。
ポプラ社(だっけ?)のルパン・シリーズという雰囲気。
(2007年01月07日読了)
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アルセーヌ・ルパンを主人公にしたパスティーシュ。小さい頃読んだルパンもののワクワクは味わえた。しかし変装とか騙しのテクとか、もっと面白くしようと思えばできたはず。
喜国雅彦の挿し絵は雰囲気が出てた。