「honto 本の通販ストア」サービス終了及び外部通販ストア連携開始のお知らせ
詳細はこちらをご確認ください。
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
商品説明
ひとりの男の噂がスキャンダラスに語られる街。そこには、最先端の都市で生きる女たちの恋と野望が渦巻いていた…。11人の女たちの本音と思惑がリアルに交錯する連作短編集。『BOAO』掲載を単行本化。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
広告代理店勤務・石川絵里子の場合。 | 7-22 | |
---|---|---|
出版社勤務・麻生広美の場合。 | 23-38 | |
レセプショニスト・星野真奈美の場合。 | 39-55 |
著者紹介
林 真理子
- 略歴
- 〈林真理子〉1954年山梨県生まれ。コピーライターを経て、作家として執筆活動を始める。「京都まで」で直木賞、「みんなの秘密」で吉川英治文学賞を受賞。ほかに「アッコちゃんの時代」など。
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
描写がうまい!
2006/04/15 16:47
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あたる - この投稿者のレビュー一覧を見る
この作品は、著者のたくさんの作品の中でも、「心情描写」と「映像描写」が、際だって成功した作品だ。
まるで、映画かテレビドラマの風景が自然に頭の浮かんでると同時に、登場人物の「心情」自然に頭に入ってくる。
短編を、男性の主人公という一つ糸でつなぎ合わせる技法も見事に成功している。
紙の本
やっぱ、こういう話を書かせたら林真理子はうまいです。軽さが軽薄さにならない、時代性が陳腐化しない、これって凄いことです。しかも舞台はお台場、タレントをめぐるたくさんの恋のお話
2006/03/24 21:17
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
舞台となっているのはお台場です。勿論、時代は現代です。それは登場する女性たちの職業が端的に表わしていて、こういう話を書かせたら、やっぱり林真理子に敵う人はいないんじゃあないか、なんて思ってしまいます。で、そのお台場に住み、或はそこで働く女性たちの物語で、連作になっています。連作の中心にいるのが俳優の深沢裕人です。
アイドルから抜け出して、ちょっと陰のある俳優としてめきめき頭角を現し、今では様々な女性との噂が絶えない深沢裕人の渦に、お台場に関係する女性たちが巻き込まれていきます。ただし、この連作にはドロドロした人間模様はあまり出ては来ません。ホンの少しの嫉妬や羨望はあっても、それが陰々滅々としたドラマにはならない。
それがいかにもテレビの原作にピッタリだとは思うんですが、それが軽薄さにならないところが林の腕でしょう。目次を見れば、大体の感じがつかめるのでそのまま写しておきますが、( )書きで女性たちの年齢を補足しておきます。
第一話 広告代理店勤務・石川絵里子(29)の場合、第二話 出版社勤務・麻生広美(29)の場合、第三話 レセプショニスト・星野真奈美(31)の場合、第四話 テレビ局勤務・坂本涼子(32)の場合、第五話 コーヒーショップスタッフ・藤田翔子(31)の場合、第六話 主婦・小野留美(32)の場合、第七話 化粧品会社勤務・大貫理佐子(33)の場合、第八話 新聞社勤務・高見祥子(34)の場合、第九話 女優・小山内千穂(33)の場合、第十話 派遣スタッフ・飯田美菜子(32)の場合、第十一話 歌手・水木玲奈の場合、エピローグ 深沢裕人の独白。
深刻な内容ではありません。といって安直かといえば、決してそうではない。私がよく貶す「TVの原作風」とどこが違うのか、ですが、ここでの林は深く掘り下げることが出来るのに、あえて少し浅めのところで留まっている、そういう余裕を感じさせるのです。深く見せながら所詮は限りなく薄っぺらなTVの原作と、ちょうど反対のところにある。
無論、結果としては似ているんです。でも、明らかに違います。ま、そんなことはともかく、まず女性たちの職業が現代、いやお台場ですね。しかも、彼女たちは恋をしながら、それに溺れていない。クール、とまではいいません。ただ、自分の立つ場所を理解している。いや、理解し過ぎている、といっていいかもしれません。
ですから、この本にめくるめく官能、とか、迸る情熱とか、燃える想い、なんていうのを期待すると、アチャー!っていうことになります。もっとソフトに大人の恋を楽しむ、そんな距離感がベストじゃあないでしょうか。でもね、繰り返しますが、その気になればもっと書けるぞ、っていう林の余裕を感じますよ、私は。
いかにも、といった感じの写真は今津聡子、装幀はおなじみ、鈴木成一デザイン室です。