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出世ミミズ (集英社文庫)
ランドセルとは、もしや動物の学名か?アメリカにも天狗はいるのかしら?出世魚の英語版は、ひょっとしてミミズ?—自転車で東京をめぐりながら、アメリカ生まれの日本語詩人は問いか...
出世ミミズ (集英社文庫)
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商品説明
ランドセルとは、もしや動物の学名か?アメリカにも天狗はいるのかしら?出世魚の英語版は、ひょっとしてミミズ?—自転車で東京をめぐりながら、アメリカ生まれの日本語詩人は問いかける。習字教室に通って小学生と席を並べ、パン屋のおばあさんといっしょの短歌会に入る。みずみずしい視点と愉快な驚きにみちあふれた著者初の文庫オリジナル・エッセイ集。【「BOOK」データベースの商品解説】
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家族に触れたエッセイをもっと読みたい
2006/04/14 23:53
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yukkiebeer - この投稿者のレビュー一覧を見る
私がこの著者アーサー・ビナード氏の文章に魅かれたきっかけは、その詩集「釣り上げては」の見事なまでの日本語の美しさでした。自分の母語である日本語がこれほどまでに人の心に強く響く言語であることを、外国人である著者に教えられたという思いを抱いたものです。同時に、この著者の数分の一ほども日本語の美しさを引き出せずにいる自分自身の拙い言語能力を、激しく恥じたのです。
以来、ビナード氏のエッセイを「空からやってきた魚」(草思社)、「日本語ぽこりぽこり」(小学館)と読み継いできました。本書は私にとって4冊目のアーサー・ビナード本です。
本書に収められているのは月刊誌や週刊誌に一度掲載された文章が大半のようです。そうした紙幅の限られた場所での文章であるためか、頁数でいえば2頁程度に収まる分量のものが多く、全体的に少々窮屈な感じを与えています。食い足りないと思わせるものが少なくありません。
また題材も、日本語に関するものが多く、決して内容は悪くないのですが、これまでのビナード・エッセイ集から得られたものと同等のものを期待していた私の心には、必ずしも添うものではありませんでした。
この著者にはやはり家族との心の対話を綴った極上のエッセイを期待したいのです。飛行機事故で早くに逝ってしまった釣り好きの父。暖かくも厳しく育ててくれた母。父方母方双方の祖父母。そうした人々との、派手さはないけれども家族ならではの温もりを感じさせる思い出の数々。そのことを深い愛情とともに振り返る文章は、本当に心にしみ渡るのです。本書でいえば、「ままならぬ芝生」や「転覆親父」などがそれにあたります。
今後もビナード本との付き合いはしばらく続きそうです。
*41頁に「的を得た寸評」とありますが「的を射た」が正しい日本語です。こういうところは編集者がちゃんと正すべきでした。