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紙の本
彼のいのち
2010/11/06 08:18
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、「Michio’s Northern Dreams」と名付けられた、写真家星野道夫のたくさんの未発表作品を含むアラスカの写真と透き通るような珠玉の星野の文章で編まれた、シリーズの最終巻の五冊めです。
写真家星野道夫は1952年に千葉で生まれました。そして、1996年その短すぎる生涯を不慮の事故で終えます。星野は新しい世紀を見ることはできませんでした。
ただ、星野は彼に継ぐものたちに、たくさんのきらめくようなアラスカの写真と珠玉のような文章群を残してくれました。彼の写真や文章は、星野が見れなかった新しい世紀にも残り、こうして語り継がれています。彼のいのちはまだ脈々とつづいているかのように。
この巻に「あらゆる生命が、ゆっくりと生まれ変わりながら、終わりのない旅をしている」という文章が収められています。その文章をなぞれば、星野道夫の生命は、こうして写真や文章に生まれ変わって、終わりのない旅をしている、といえるでしょう。
星野は事故さえなければまだ生きえたかもしれません。そうであっても、いつか彼も肉体をもつ人間の一人として遅かれ早かれ死んでいくのです。
短い生涯であっても、星野はいつしか伝説になり、その生命はこうして続いているとしたら、それはそれで痛ましく、つらく悲しいことではありますが、星野は充分生きたのではないかと思います。
「かけがえのない者の死は、多くの場合残された者にパワーを与えてゆく」と、星野は書いています。
私たちは残された者です。星野道夫の写真と文章はそんな私たちにパワー、それは生命といってもいいでしょう、を与えつづけてくれます。
彼のいのちがそこにあります。そして、それはいつまでも変わらずに私たちに生きることの素晴らしさを教えてくれています。
◆この書評のこぼれ話は「本のブログ ほん☆たす」でお読みいただけます。