紙の本
非常識が新常識
2006/10/22 23:33
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
英語版の日本語訳だが文章は非常に読みやすく、書いてあることも明快なので結構分量があるが一気に読み通せてしまう。原著の初版が2004年なので現状についてのコメントは若干古くなっているのかもしれないが、そこで挙げられる”思想”は決して古くなっていないと思う。
新「経済原論」を謳っている本書では、現在の世界が旧来の世界とは経済構造において全く異なるものになってしまったと主張する。一つには、ケインズに端を発する経済理論”信仰”の崩壊。もう一つは、国民国家の崩壊である。これらは全て、技術革新による新たな経済プラットフォームの誕生に起因している、という。
これまでは、地理的環境というものが経済発展の大きなポイントになっていた。資源があること、市場があることなどである。しかし、ネットワークの普及により、現代では地点間の距離がほとんど0になってしまったといって良い。逆に、時差の存在が24×7のサービスを実現し、そのことが利点になってしまうことすらままある。
また、いかに活用できる資産を大量に自分で持っているかが競争優位性の一つのポイントであったが、豊かな地域が増えた結果、余剰資産をいかに自分の地域に投資させるかが経済発展の重大要素になった。これまでの経済理論では、金利を上げれば資金供給が減るというのが常識であったが、国内の資金供給が減る以上に、金利差による利益を求めて海外から資金が流入するのである。利益を得るチャンスがあれば資金が投下される。この成功例が中国である。
中国は本来共産主義国であり、資本主義はなじまないはずであった。だが、賢明な指導者は、国土の広大さを利用して、資本主義地域を共産主義で統合するという政策を、多少の矛盾には目をつぶって実行した。おかげで、中国のいくつかの地域は未曾有の経済発展を遂げている。代わりに共産主義国家中国は、事実上消滅したといっても過言ではないだろう。
直感的には理解できている経済観を言葉にした一冊。
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著者の大ファンなので、書店で見かけて衝動買い。読み始めて期待通り楽しんでいます。今回はどちらかというと斜め読みではなく、著者の発言を踏まえていろいろと思い巡らせながら読み進めています。そのため、読み始めてはみたものの量が多くて(文字が小さく分厚い)まだまだ時間がかかりそうです。
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日本人である大前研一が書いた本にも関わらず、日本語版が出る前に原著の英語を始め10カ国語以上に翻訳されているのが驚き。しかも訳も自分ではなく、他の人(昔の同僚のようです)に訳させている。本の中にある「プラットフォームとしての英語」の実践なのかもしれませんが、やりすぎでは?
内容としてはフリードマン氏のベストセラー『フラット化する世界』に非常に近いものです。BPOやロジスティックスにおけるイノベーションや、インド、中国、アイルランド、北欧諸国の躍進、など情報としては重なっていますが、両方読むのも理解が深まってよいかと思います。受ける印象としては『フラット化~』がアメリカよりの視点であったのに対して、もっとニュートラルでこちらの方が個人的には好きです。
これを読むと、大前氏が道州制にこだわりを持つのがなんとなく分かった気になります。国民国家から地域国家へ、ということです。うまくいくのかは別にして、こうやってきちんと言われないと必要性がうまく伝わらないですよね。
また次期総理の安倍さんがしきりに「オープン」や「イノベーション」というキーワードを繰り返しているようですが、この本にあるような文脈で捉えないとこれもまたきちんと伝わらないのではないかと思います。
仕事で関係しているIP電話にも割りと大きく言及されていますが、知識としてはもちろんこちらの方がよく知っているのですが、その意味や影響というのは、あらためて(会社の枠も離れて)考えてもいいのかなと思ったりします。
分厚いですが、それほど抵抗なく読めました。
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大前氏の著作を読んだのはこれが初めて。内容は難しいのだが納得できることばかりです。世界で今何が起きているのかということを自分の目で見てきた大前氏は素晴らしい先見性を持っているのでしょう。グローバリゼーションを知る一冊。
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【070306】
BPOが成功してるのは言語の壁がないから
「優秀な人間」が安い賃金で働くのがポイント
地域的には高い賃金であり、その地域で働くことに意味がある。
企業は外部に出してメリットのあるものは何でも出せばいい。
→コア・コンピタンスがより重要に。
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新しい「グローバルエコノミー」では、世界中から富と呼び寄せることが可能であり、逆にそうしなければ生き残れない。そしてそれを可能とするためには「国民国家」という既成概念を捨て、「地域国家」という考え方を取り入れなければならない、と大前氏は説いています。
企業の技術革新は「ビジネスシステム」「製品・サービス」「顧客インターフェース」「従業員・管理職・スタッフ」の4つの分野で行われなければならない、など自分自身の目で実際に見た世界の変貌と繁栄を基に明快に論じており、氏がワールドクラスの識者であることを改めて認識させてくれる1冊です。
顧客とのインターフェース、IP電話など起業時に役立ちそうな身近なアイデアも盛りだくさんでした。
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この本を読んで、新大陸でのビジネスチャンスに思いをはせた。
今のweb2.0時代を理解するための良書。
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「ボーダーレスエコノミー」の著作でもわかるように早くから経済のグローバル化・フラット化を唱えてきた人である。これまでの常識が通用しなくなる次の時代(Next Stage)の姿を描き、その処方箋を示そうとする、500ページを超える大作である。「経済のグローバル化」の本質は、世界視野で見た経済的効用の最適化である。だから、「フラット化」という言葉でも置き換えられるのだ。
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グローバル経済についての全体的な枠組みを具体例を用いて解説。その中でどのように動けば良いかについても書かれています。
日本経済が狂い出した原因についても言及。大前さんは今までの経済理論(ケインズの『経済原論』)はますます使い物にならなくなってきており、その代替としてこの『新経済原論』を書かれています。
【国民国家】から【地域国家】への移行。
大前さんの前著「地域国家論」からの観点からも解説されています。
“中国”が成長した本当の理由、
“インド”の動向などを筆頭に世界の動きについても触れられています。
内容は難しめとは思いますが、グローバル経済を考える上で読んでおいて損ない1冊。
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内容→経済活動の視点から、国家のありかたや、個人の生き方を説いている。
強点→確かな地位と実績の人間が書いているから理論的には正しいのだろうと感じさせられる。世界経済の動向について非常に勉強になる。一部同意できないところもあったが、大部分は大変説得力がある。
弱点→言いたいことはわかるが、世界にすべての人々が経済活動のためだけに生きているわけではなくってよ。人の歴史は戦争の歴史。経済には強くても軍事には弱いとみた。
読後の影響→少し考えさせられる。僕の最近のテーマである「経済の結びつきが強くなれば戦争は起きない論」を肯定するには不十分かなぁ。(僕は否定派)やはり戦争はどんなに世界が経済や、通信で結びつきが強くなっても起きるのだな。悲しいですが・・・。
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大前氏がグローバル経済というものについて詳しく書かれている本。
個人的には大前さんの地域国家での発展のための日本の道州制には大賛成。しかし、政治家の議論する道州制はどこかズレていると思う。
この本で語られていることは僕が大学で学んでいる開発経済学にも通じることが多く非常に参考になりました。
経済に頼りすぎる国家運営は少し危険な気がするのは、まだまだ僕の頭が古いから?安全保障や福祉というものも大切だとどうしても考えてしまう。
ま、でも今の日本はもっと外国から魅力的な投資先と見られるように、様々な規制を撤廃してオープンになるべきだとは思うけど。
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【新・資本論】並みに読みごたえがあり
且つ期待に応えてくれた一冊
大前氏の本はこうでなくっちゃ!
日本はまだまだ世界のトップレベルだと勘違いしている
愚かな方に是非読んで頂きたい
道州制については大賛成!
ただ、役人の抵抗に対してはどうするのか?
理想論にならないことを祈る
やはり、オレは日本の政治にこの人は必要だと思う
それを願ってしまう
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国民国家という単位はもはや古い。
地域国家単位で経済繁栄を目指していくべきだーという本。
扱うトピックに対して字数多すぎな観が否めないので
読み続けるのが途中かなりつらかったけど、
一読しておいても損はないんじゃないでしょうか。
自分的に価値があると思ったのは、
プラザ合意で円高基調にしたところで、
日本企業の原材料調達力があがったので
結局のところ輸出力の低下にはならなかった、というくだり。
ふーん。経済ってやっぱ非線形的というか
ケインズ的な目線はもはや古いんだろうねー。
しかし、地域単位で反映していくにしても
現実、少子化の場合はどうするんだろう。
少子化でサービスが都市部に集中しており、
医療、教育、警備等のサービスが人員不足で
まわらなくなってきているとゆうに。
大前研一の本だからと思って期待してたけど
翻訳本のせいか星2、5個くらいでしょうかー。
大前研一の著書の方が具体的データが多くて面白いね。
⇒グローバルマネーが大混乱をきたしているけど、
マネーも国よりも小さい単位でローカルなものが
生まれてくるんじゃないかという個人的予想。
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実は結構前になりますが、「大前研一 新・経済原論 」を読破。
いつも重くない本を読んでいる自分には比較的重い内容の本でした。
本を貸してくれたKTJさんありがとうございます。あとで返却します。
結論としては、自分が想像してたより世の中の動きは早くて衝撃を受けました。
特にボーダレスボーダレスと言われているけれどそれをvisualizeできたことが良かった。
あと、今まで分かったような気がしていた言葉をきちんと理解できたこと。
というのは、何となく分かった程度では理解が進まない内容で
色々インターネットで言葉を調べながら読んだりしなくてはいけなかったからですね。
あと、やはり自分にある程度かかわりのある事に関して
情報のアンテナが向いてしまうなと思いました。
以下自分の思うクレジット業界について
将来一般就職をすることはあっても絶対にクレジット業界に勤務したくはないなと
思っているKeniです。
前書いたかもしれないけど、将来の仕事を選ぶ上では
?海外でもっと安い人件費で代わりにできる人がいるか?
?機械化される可能性がある仕事か?
?その業界に将来需要があるか?
?は確実にだめだろうと考えていて、この本によると
?ですらLDC(Low Developing country)の
日本語を学んだ人にアウトソース可能になりそうです。
しかも、自分の働いている部署の社員さんの仕事は?にもひっかりそうです。
審査と言ってもGENTAさんのHPによると全てスコア化されていて、
審査が可決か否決かはほぼ、機械的に判断です。
あとはグレイゾーンの処理のみ。
あんなに人が必要なのはシステムの問題かもしれないです。
グレイゾーンといえば、グレイゾーン金利が廃止になったことによって
信販業界の大幅減収が見込まれるようです。(この部分は前書いたので割愛)
あと、この本に書いてあった方法があればクレジットの決済がなくても
クレジットよりステップが少なく(つまりより、低コストで)
信用度を計り、決済を行う事が可能になりそうです。
それは、店舗に預金残高を開示する事で信用限度を設定し
キャッシュレスで買い物を出来るようになって引き落としが出来るというもの。
つまり、現状では
客がクレジットで購入→店がクレジット会社から手数料を引かれて入金を受ける
→クレジット会社が客に請求
という3ステップだったものが
客が預金残高をもとに信用度を提示→店が金額を引き落とす
という2ステップになり低摩擦になりそうです。
当然、この方法にも自分が思いつくだけでも問題がいっぱいあって
・預金残高を提示するのは危険かも
・店への決済が遅くなる
などが挙げられると思います。
まぁ問題を提示しただけでは何も解決性はないですが、自分なりに
何か打破する案でも考えていれば役に立つかもしれないなと思って
とりあえず、問題提起だけしてみました。
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(2000年4月17日読了)
・BPO、インドは中国と似ている。7〜8%の成長率
・インターネットを5年以上使用した人間の行動は似てくる。
・残高確認システムによりクレジットカードを不用にする。(P336)
・日本の普通郵便は80円、香港から日本の何処にでも封書を13円で送れる。そこで日本からの大量のダイレクトメールを香港に空輸して日本に発送した。
日本政府はこれを禁止した。しかし今はEmailで原稿が香港に送られるので規制出来なくなった。
・中国は事実上、地域国家の集合体であり、各地域に裁量権があり国に一々お伺いを掛ける必要がない。
・マレーシアのマルチメディアスーパーコリドー(MSC)
首相「もし技術に背を向けるならば、そうした技術革新を支配する機会をも失ってしまう」。
・シンガポールIT2000・・・輸入・国産を問わずコンピュータ技術を活用する。もう1つGDPを1万ドルに挙げる構想。
・スウェーデン・・・社会民主党政権により充実した福祉国家を維持してきたが、優良企業の海外移転などを機にEUに加盟し、政府はシンプルにオーソドックスな経済化。
しかし未だにまだグローバル企業が数多くあり、GDP当りの輸出に占める割合は33%とフィンランドに次いで2位。
・政府が変わらなければならないグローバルステージでは下記の対応が必要になる。
?技術的変化、?個人的変化、?組織変化
・新しいグローバルエコノミーで成功を収められるかどうかは、リーダーシップに依存する。良きリーダーには良き政府にも求められるようにビジョンが必要。
短期的にはビジョンは評価されないかもしれない。「それよりも目の前の問題を解決しろ」という要求が強いかもしれない。
だが良きリーダーには自分のビジョンを追求し、「大きく考える」勇気が必要。
リーダーに依存する人の数が多くなるほど、リーダーのビジョンは発展性を持つものでなければならない。
・リーダーグループのメンバーはそれぞれが高いコミュニケーション能力を持っていなければならない。但し個人だけがリーダーとなる独占権を持つわけではない。
・参考文献「企業参謀」1975年
著書に含まれる内容は世界各国の政治経済を参考に挙げて、それぞれの特徴、更には日本との比較を行っている。
それによりいかに日本が遅れた体制をとっているかが浮き彫りにされていると感じる。
また現在の経済は各国で収束するものではなく、世界を市場として活動を行う事が基本となっているため、それに対応する人材の育成、確保が重要であると述べている。
日本には世界に通用する企業が数多くある割には、まだまだ世界に通用するリーダーの存在が少ない為、そのような人材育成に力を入れる必要があると感じました。
現在は、一昔前の高度成長期にあったような、ただがむしゃらに頑張るような世の中ではないので、今の時代にあった企業戦略、リーダーシップが求められると
強く感じさせられました。
(再読し、更に内容を理解する必要あり)