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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2006.8
- 出版社: 東京創元社
- レーベル: ミステリ・フロンティア
- サイズ:20cm/258p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-488-01727-4
紙の本
樹霊 (ミステリ・フロンティア)
著者 鳥飼 否宇 (著)
植物写真家の猫田夏海は北海道の撮影旅行の最中、「神の森で、激しい土砂崩れにより巨木が数十メートル移動した」という話を聞き、日高地方最奥部の古冠村へ向かう。役場の青年の案内...
樹霊 (ミステリ・フロンティア)
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商品説明
植物写真家の猫田夏海は北海道の撮影旅行の最中、「神の森で、激しい土砂崩れにより巨木が数十メートル移動した」という話を聞き、日高地方最奥部の古冠村へ向かう。役場の青年の案内で夏海が目にしたのは、テーマパークのために乱開発された森だった。その建設に反対していたアイヌ代表の道議会議員が失踪する。折しも村では、街路樹のナナカマドが謎の移動をするという怪事が複数起きていた。三十メートルもの高さの巨樹までもが移動し、ついには墜落死体が発見されたとき、夏海は旧知の“観察者”に助けを求めた!“観察者”探偵・鳶山が鮮やかな推理を開陳する、謎とトリック満載の本格ミステリ。【「BOOK」データベースの商品解説】
魔法の木が空を飛んだ? 日高山系で続発する奇怪な樹木の移動は、やがて殺人事件へと発展する−。「観察者」探偵・鳶山が鮮やかな推理を開陳する、謎とトリック満載の本格ミステリ!【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
鳥飼 否宇
- 略歴
- 〈鳥飼否宇〉1960年福岡県生まれ。九州大学理学部卒業。「中空」で横溝正史ミステリ大賞優秀賞を受賞して作家デビュー。著書に「非在」「密林」など。
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紙の本
本格ミステリ?ちと違う
2010/04/15 10:15
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:空蝉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
まず最初に、本格ミステリとうたっているわりにはその必須要素である「探偵」役が後半まで出てこない。しかもさほど存在感があるでもなく、、ところどころに繰り返されるような「観察者」的な特徴も感じられない。印象的なのはむしろ、この事件に巻き込まれ語り手であり主視点者であるヒロイン猫田だ。彼女の現実味のある挙手挙動、言動は同じ女性としても共感できるし男性からすれば(おそらくは鬼木が惹かれたように)姉(アネ)さん的ながらも可愛らしい存在として好ましく写るに違いない。
ストーリーとしては非常に解りやすく、わりと勘の良い方は途中で犯人に気がつくのではないだろうか。
植物写真家の猫田夏美は北海道はアイヌの地、古冠村で撮影旅行をする間に、アイヌに今も神聖視される神の森で巨木が動いたという奇妙な連続事件に出くわす。村役場の青年・鬼木の好意的な案内で訪れたその森はテーマパーク建設のため乱開発が進み無残な姿と化しており、建設反対のアイヌ派と開発派と村長とが火花を散らしていた。
ナナカマドや神聖な巨樹が移動したのは人の手によるものか?だとしたら何の目的か?いやこれは土地の神の怒りなのかと意見が飛び交う中、アイヌ代表の議員が失踪、鬼木の屋上からの墜落死、土砂崩れによる新たな巨樹の移動と同時に発見された死体・・・と次々に事件が発生する。
と、ここで本格ミステリの必須アイテム、探偵が登場。
前作を読んでいないため探偵役・鳶山がどういう意味で「観察者」と呼ばれるのか、今ひとつピンとこなかったのが残念だ。
彼の見事な観察力・・・というより注意力と豊富な薀蓄・知識により事件はスルスルと解決するわけだが、
彼自身の魅力がどうしても薄い。
起承転結が非常に明確でこうなってこれが起きて誰が何してこうなった、というわかりやすさは
解りにくさ、謎、そしてその謎解きの醍醐味に価値を置くことが多いミステリーにおいてウィークポイントともなる。
・・・という残念さが浮き彫りになっている気がしてしまった。
とはいうものの、最初にあげたとおりヒロインの行動や言動は読んでいる私たちにとてもリアリティが在り、その感情はとても自然でキャラクターに魅力がある。
単純で、純情?で、意地っ張りで好奇心旺盛。
物語の本来の主人公である観察者探偵よりも、私は彼女の方が好きだ。
出来ることならば彼女によって事件解決までもっていって欲しかった。