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商品説明
日本語は真実を語りうるか? 樋口一葉、夏目漱石、宮澤賢治、大江健三郎の文学作品を通して、「ことばを生きる個人の倫理」と「ことばをあやつる国家の道徳」の相克を明らかにし、日本国憲法の意味を問う。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
小森 陽一
- 略歴
- 〈小森陽一〉1953年東京生まれ。北海道大学大学院文学研究科博士課程修了。東京大学教授。専攻は日本近代文学。「九条の会」事務局長。著書に「心脳コントロール社会」「村上春樹論」など。
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紙の本
近代日本文学から日本国憲法の深い意味を読み直そう
2007/01/13 07:52
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:未来自由 - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本国憲法の深い意味を日本近代文学から考える、これまでの憲法の本とは少し違う角度からの本がこれだ。樋口一葉、夏目漱石、宮澤賢治、大江健三郎の作品から、人権思想や主権在民、平和思想を読み取る、面白いといえば少々表現が妥当でないかもしれないが著者の専門分野からの論だけにスッと読めた。
ことばの意味を考える重要性が浮き彫りになるだけでなく、日本国憲法の文言の深い意味について改めて考えることができた。なぜ憲法を守り、実現させなければならないのか。人間として主体的に生きるとは何かを考えさせてくれる。
戦争が、人間性をもったままでは成立しない状況も浮き彫りになっている。教育基本法改悪でなぜ「愛国心」が必要なのか、その本質が主体的に人間的に考えることを停止させようとするものであることがわかる。
言葉ひとつの置き換えで、どれほど意味がかわってくるか。例としてわかりやすいのが、第13条の「公共の福祉」を自民党新憲法草案が「公の秩序」に変えようとする意味である。自民党九条第二項改悪案に「公の秩序」とある。
「戦時態勢になったら、国民の生命、財産、自由は奪われますよ。幸福追求の権利もなくなりますよ」と著者は説明する。
その具体的な歴史的事実を近代日本文学の作品からも明らかにしているところに本書の特徴がある。
憲法をこういう角度からあらためて考えると、いままで気付かなかった事にも思い当たるから不思議である。
樋口一葉とジェンダー問題はなかなか興味深く読むこともできる。ぜひ一読されたい。