「honto 本の通販ストア」サービス終了及び外部通販ストア連携開始のお知らせ
詳細はこちらをご確認ください。
読割 50
はみだしオケマン挑戦記 オーボエ吹きの苛酷なる夢 (中公文庫)
はみだしオケマン挑戦記 - オーボエ吹きの苛酷なる夢
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
精力的オーボエ奏者の日記風エッセイ
2007/01/03 23:14
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
茂木氏はNHK交響楽団のオーボエ奏者である。ドイツの音大に留学してドイツのオーケストラのメンバーになったが、N響の楽員となるために帰国した。本編は、N響のメンバーとして活躍している現状を伝える生々しい本である。
本書を読んでいると、N響の楽員が日常何をしているのかがよく理解できる。通常のサラリーマンとは違い、土日以外の勤務日は9時から5時台まで拘束されているわけではない。オーケストラの演奏会へのオンステ・スケジュールが決められ、その練習と本番以外は拘束されない。
その拘束されない時間を利用して、自分でレッスンを行ったり、演奏会を開いたり、それは楽員の自由であるらしい。茂木氏は自分のレコーディング、演奏会、指導など多彩な時間の使い方を本書で露わにしている。
本書ではとくに演奏旅行にまつわるエピソード集と言っても良い。N響では海外や地方に演奏旅行に行く機会が多いようだ。その際に茂木氏はその土地での模型店めぐりが一つの楽しみになっている。よくもまあ空いている細切れの時間を利用してまめに行くものだ。事前に探しておくのだろうか。この傾向は海外への演奏旅行でも同じようだ。
さらに、オーボエ奏者などのダブル・リード楽器ではリードの製作が欠かせない。余分に作っておいて、良いものを選択して使用している。その保存の方法もなかなか厄介だ。湿気と乾燥が曲者で、どちらに行過ぎても演奏しにくくなる。木管楽器奏者が並んでいる列を見ていると、顔を真っ赤にして奮闘しているのがオーボエ奏者である。リードの構造上息が肺から排出されず、窒息状態に陥るわけである。また、リードをなめなめ調整しているのがオーボエ奏者である。
余談だが、人気テレビドラマの『のだめカンタービレ』では、モーツァルトのオーボエ協奏曲が演奏されたが、聴いているとそうは聴こえないのだが、演奏者にとっては難曲のようだ。
普段は伺えないステージ上の楽員の日常が面白く描かれている。とにかくエネルギッシュに音楽活動を展開する著者ならではの日記風エッセイである。