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紙の本
★での評価には向かないですね。なんたって手紙ですから。で、この本のいいところは各章についている訳者の解説。これは★五つです
2007/03/02 17:10
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ペトラルカ、といえばソネット。うーん、でもソネットって何?なんだかWEBで見たことあるような・・・。ありゃSonet、プロバイダーか。調べると、
「ペトラルカの作品で、もっとも知られる作品はラウラと呼ばれる女性へ捧げられた一連の恋愛抒情詩群である。これはCanzoniere(カンツォニエーレ、歌の本)と題された詩集にまとめられている。」(ウィキペディアより)
とある。ふむふむ、カンツォーネはここから来ているのね?なんて感心。じゃソネットて何よ?ま、それは置いといて、ボッカッチョなら分ります、『デカメロン』の人。高校で習ったけれど、どっちも読んでいない。
この二人、九つの年齢差があるものの、友人付き合いをしていたらしい。ただし、対等かというと、年齢、地位の差を感じさせるものではあります。編訳者の近藤恒一は、ペトラルカからボッカッチョに出した手紙はたくさん残っているけれど逆のものは少ない、といい、その関係でこの往復書簡集にもペトラルカが出した手紙が主体。
ふむふむ、それも当然か。目下のものは目上の手紙や記事などを宝物のように扱い、目上の者は逆。それからいえば、ペトラルカ関係の手紙が残って当たり前。しかもペトラルカは自分の書簡集をいくつも編んでいるといいます。しかも、ボッカッチョのほうが長生きしている。でも、よくよく考えれば1300年前半の手紙が良く残っているものだなあ、と別の意味で感心してしまいます。
カバー折り返しの案内文は
「桂冠詩人と『デカメロン』の著者。ルネサンス二大文豪の文通はイタリア都市国家時代の証言でもある。ユマニスムの創始者と偉大な弟子は書物愛に結ばれ、古典研究を築きあげた。晩年の手紙にはペトラルカの叡智が光り、稀有の友情が読みとれる。全書簡本邦初訳。」
カバー 中野達彦
カバーカット ペトラルカ(右)とボッカッチョ ラファエロ《パルナッソス》(部分)
構成ですが
凡例
地図
序
1 最初の文通
2 都ローマから
3 母国フィレンツェからの誘い
4 友情の危機 ——詩人のミラノ居住をめぐって
5 古典の探索と収集
6 自著との交換
7 ダンテをめぐって
8 キケロからホメロスまで——文芸復興のために
9 中世文化の継承
10 精神的危機——ボッカッチョの苦悩と詩人の助言
11 ペストの猛威のなかで
12 自由をめぐって
13 牧歌的なひととき
14 共同戦線
15 最後の文通——文学的遺言
訳注
解説
年譜
となっています。この本の成り立ちは編訳者・近藤恒一による序に丁寧に書いてあり、むしろ分量の多い解説より凝縮された情報が入っている気がしますが、どうでしょう。それはともかく、文学研究者でもない私には、手紙の方は、白鳥の歌ともいうべき「15 最後の文通——文学的遺言」の、友情というより死に行くものの覚悟の部分に感心した、とだけ言っておきます。
むしろ読んでいてためになったのは、各章の前振りともいうべき解説。誰の文かは書かれていませんが、多分、編訳者の近藤恒一のものでしょう。私などは、この近藤の文章だけで十分にもとは取ったな、なんて思ってしまいます。それにしても、昔の人は相手の歓心を引くために、貴重な本を探し出しては、その原本ではなく写本を作って、相手に贈っていたんですね。
ボッカッチョがペトラルカのために入手困難な古典を探し出してはせっせと写本にはげむ姿は、健気というか、今の「おっかけ」を連想してしまいます。あまりに熱を入れるあまり、相手の行動に苦言を呈しては不仲になる、ま、それはペトラルカが折れるというか相手にもしないという形で納まるんですが、これを友情と呼ぶか否かは受け取る側の人生観。ま、同性愛的な気配がないのは救いといえるかも・・・