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紙の本
入門書で自分を表現する哲学者
2007/04/21 01:40
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:アルケー - この投稿者のレビュー一覧を見る
目次をかかげる。新書にも索引を付すことにこだわった田中の書物にせめて目次だけはほしい。
哲学とは何か——その根源的な意味
哲学は生活の上に何の意味をもっているか——生活と哲学との結びつき
哲学は学ぶことができるか——学問的知識と哲学的智
哲学の究極において求められているもの——プロトレプティコスを中心に
この書は田中のなかでも最も読みつがれてきたものの一つである。50年に出版されて、77年に改訂された。哲学書で、しかも入門書で、改訂版をだすことは最近では稀なことになった。(それほど著者たちは自著に愛着をもたなくなったのであろうか)そして今回、07年にこの文庫に入った。知識を求める時代にあって、このような知識とは無縁な書物が文庫化されるのはよろこばしい半面、不安もともなう。
これは入門書となっているが、普通の入門書と違って、不案内な者にたいする案内書ではない。マニュアル本でもなければ解説書でもない。そのことは目次に見られるように、田中自身が哲学に付随する根本問題について、素朴な形で問いかけ、それに田中自身がその問いに応答する形で書かれている。だから、これは読者に哲学についての解答を提供するのではなく、哲学に興味をいだいた者に、哲学とはどのような営みであるのか、哲学は生活にどのようにかかわるのか、などを著者の専門領域であるギリシャ哲学から説き起こしていった——近代ではカントに触れることが多い——田中自身の哲学でもある。
だから、この本から哲学の知識をえることは少ないと思う。哲学史的知識以前の問題を扱っている。かわりにここには哲学に関心を抱く者に、つねにまとわりついている問題が提起されている。「どんな初歩的な問題を取り上げてみても、それはいつも哲学の根本問題につながっているのであって、早急にその答えを見つけることはできない」。「何か公式的な結論を予定しておいて、そこへ読者を言葉たくみに案内するような種類の」ものではなく、「著者が読者と共に(中略)哲学の問題のつながりを辿ってみようとする、哲学初歩なのである」という。
上の引用文からもわかるように、田中は文章の明晰性にこだわった。にもかかわらず、問題が問題だけにそれにつき動かされて、他の書物へと向かわせるにたる十分な力をもっている。それはギリシャ哲学だけの問題だけに終わっていない。
紙の本
哲学初歩
2007/01/06 18:04
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:扶桑 - この投稿者のレビュー一覧を見る
哲学の根本問題とは何か.ギリシャ哲学の碩学が,西洋哲学の源流に分け入りつつ,生きること,考えることの意味を執拗に問い続ける.生硬な言葉遣いを排して,平明かつ明晰な思考で読者とともに探求する姿勢は,刊行後半世紀以上にわたって多くの読者に支持されてきた.今なお最適の哲学入門.