紙の本
国のでしゃばりは百害あって一利なし
2007/07/24 04:50
9人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:良泉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
新潟県中越沖地震では多くの被害が出た。特徴的だったのは、倒壊家屋のほとんどが古い木造家屋であり、死者はすべて高齢者であったということだ。
「古い木造建築ばかりピンポイントで倒れている(18日付朝日新聞)」
河田京都大学防災研究所教授の言葉が端的に今回の被害の様相をあらわしている。
しかし、このような街並みは決してこの地方独特のものではない。それどころか、日本全国の「地方」と呼ばれる地域は、どこも似たりよったりである。
「地方の時代」などと呼ばれたのはずいぶん昔のこと。しかし、言葉とは裏腹に地域の活力は衰退する一方である。いま、全国の地方は危機に瀕している。
新聞で「地方」「地域」といった単語と出会うとき、肯定的な使われ方をしていることはほとんどないことに気付く。たいていの場合は、少子化・高齢化・過疎化などとセットで、地域衰退が語られる。そして東京をはじめとする都市部との間の様々な面での格差は拡大する一途である。
第二次世界大戦敗戦後、特に高度経済成長時代を通じて、国の行ってきた国土政策とは何だったのか。国は地方に対して何をしてくれたというのか。日本国有鉄道の民営化に象徴される公共交通機関の破壊。経済発展の過度の土建資本依存による公共事業拡大が引き起こした自然破壊。偏った産業立地政策の推進による地域格差拡大。無責任なリゾート誘致政策による経済的・自然的な地方からの搾取。
地方を衰退から救い出す処方箋を早急に見つけ出す必要がある。
本書で示された「地域再生が目指さなければならない原理・原則」。
1.すべての人々の人権が補償された地域につくり直すこと
2.人々がその地域の仕事で生活しうることを再構築すること
3.自然と共生しうる地域に再生すること
4.そこに住む人々自身により再生を図ること
国の”でしゃばり”をあてにしなくて済む、地方が主体となった地域再生策を求めるヒントがここにある。
紙の本
「地方再生」という言葉が政治家の飯のタネになってしまっている現状
2024/01/04 09:43
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本は2007年に刊行された本、「地方再生に向けて」いろいろと提案してくれているのだが残念ながら「地方再生」という言葉は政争の具、政治家の飯のタネになってしまっているのが現状
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都市と地方の格差が広がっている現在、一体どのような形で地域を再生していけばいいか書かれた本。武蔵野市の実例なども書かれている。
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ざっと斜め読み。
いかにも評論家らしい内容の一冊。
だったら自分やってみたらどうか?
知識をたかめるための一冊。
2007/03
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第一次産業の地域では過疎化、産炭地は荒廃。今、都心では中心街が空洞化している。地域開発計画が、霞ヶ関を頂点とした官公庁の官僚・役人によって立案され、短期間の人事異動サイクルで交代するシステムのもとで、計画策定と計画実施に「責任を取るものがいない」と、著者は指摘する。
手法はいろいろあって、成功例も数少ないが、そこに共通するものは、地域住民が参加し、知恵を結集。「横並び」ではなく、オンリーワンの施策が成功しているという。しかし、「焼酎特区」のように成功する地域が出てくると、たちまち他の地域が真似る。これでは、「横並び」であって「共倒れ」を結果するーと、国民性を指摘する。
「地域再生」。多くの人が関心を寄せている。政治家が経済人が、声高に叫ぶわりには、永続性と成功例に乏しい。環境、健康、文化、民度。地域再生の新しいキーワードなのかも知れない。
読んでいるうちに、チャンレンジしてみようかとの気持ちを抱かせる点で、一読をお勧めしておく。
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地域再生にはただひとつの正解はない。大事なのは他に流されず、自らの地域を知り、住民の意見を尊重し、要するに自分の地域に目を向け続けることなのだと思う。
http://d.hatena.ne.jp/hachiro86/20070424#p1
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地域をいかに価値のあるものにするか。
資源としての観光名所。
資源としての名店・老舗。
資源としての著名人。
資源としての市民。
県や市主導ではなく、
商工会議所や商店街、組合などの地域市民主導で行うべき。
行政に問題はたくさんあるし、改善すべき点が多いけれど、
一番の急務は、地域としての教育。
地域が好きになるような、
自分自身が地域に魅力を感じれるような、
そんな教育の必要性を感じた。
本文では成功例や失敗例、時系列での行政の功績・負の遺産等・・・
どうやって直せばいいか分からないものをこれ以上壊すのはやめましょう。
共同体の再構築がこれから始まる。
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以前に紹介した「地域の力」よりも、やや硬く書かれているけれど、この本も、論点は「地域再生」「地域活性化」など「地域をどうしていくか?」についいて、各地の事例を紹介しながら書かれている本。
本書の題名になっている「地域再生」、正直、自分はあまりこの言葉が好きではない。トップダウンのようなニュアンス・響きを感じるから。どの地域だって、少なからず今よりも良くしようって取り組んでいるわけですから。
自治体の事例として、一番の鍵だと思います。となると、本書で出てくるユニバーサルデザイン、地域資源、地場産業、地域のブランド化といった取組が紹介されている。ただ、本書の視点はどちらかというと、行政サイドの視点から見た新たな取組みであったり、既成概念にとらわれない取組みが主眼でかかれている。
そういう取組を見ていて思うのは、 今の「地域再生」で行われている「地域から色々なメニューを出して下さい、補助金や新たな地域債を出しますから」というスタンスよりも、「地域自治体が頭や知恵を絞っているけれど、やろうと思っていることが実は国の制度的・法的な縛りがあってなかなか実行できないから、変えてください」といって、下から上に対する申し立てに対して、上が認めていく・緩和していく方が、よっぽどうまくいくんじゃないかと思う。
本書で出ている事例を見ていると、「既成概念にとらわれない地域からのアイディア勝負」がこれからの自治体に問われていることのような気がしました。
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地域の活性化、そこにある資源を最大限生かし、かつそれが持続することだよね。これは地域経営ゼミでも言われたし、他のどの地域活性化の本を読んでも書いてあること。
本書では、人権・地場産業・自然・脱横並び・住民主体…など様々な角度から、『地域再生』を試みた事例を紹介している。一般論→具体論って流れだからイメージがわきやすいかなぁ??
特に『人権』という切り口から街を考えているところが、本書の特徴というか他ではあまり取り上げられていなかったから、興味深かったなぁ。
医者のない地域に人は住めない。交通網が発達しなければ満足に医者にかかれないしね。
そして地域再生っていうと、都市部の人間は他人事のように感じるかもしれない。…けどそうはいかないんだなー!都市部も問題なんだな。
整理されていない路地裏は災害が起きたら非常に危険。
東池袋が取り上げられていたけど、墨田区の北部もまさにそうだよね。
ただ路地裏も地域コミュニティ形成には大きな役割を果たしたから、路地を壊せばいい、とは一概に言えないのだよね。
地域活性化は何か考え出すと止まらない…
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本書は都市政策や国土・地域政策の専門家であり長く研究活動を行ってきた著者が自ら行った豊富な事例研究を基に「地域再生」について考察している一冊。
著者が本書の課題として挙げるのは、タイトルにも表れているように地域再生の条件を探ることであるが、その前提としてまず、そもそも地域が衰退・荒廃するに至ったのは何故かという問題について、過去の地域政策や地域自らが実施してきた政策を反省しそこから教訓を得なければならないとする。
この前提部分に関して筆者が強調的に述べるのが従来の国の地域政策の失敗であり、それは第一に国土計画の失敗であり、第二に第一次産業政策の失敗である。
「国土の均衡ある発展」の名の下に地域の特性を無視した画一的な政策を取ってきたことが地域衰退の最大の原因であり、地域が自ら課題解決する姿勢を失った原因であるとする。
この前提に立った上で、今後地域が再生していくために必要な原理・原則として筆者は4つを掲げる。それは
①全ての人々の人権が保障された地域であること、
②人々がその地域の仕事で生活しうることを再構築すること、
③自然と共生しうる地域を再生すること、
④国に主導されて地域を作り直すのではなく、そこに住む人々により再生を図ること、
である。
筆者はこの原理原則のうちで④が一番重要であり、住民の意識向上が地域再生最大の鍵であるとしている点は他の多くの議論と同様である。
ただ、地域再生のための原理原則は全てを達成しなければ地域再生が成らないのではなく、地域の実情に合わせてプライオリティをつけることが肝要としている点はある程度現実的な感じを受けた。
本書の後半に多く分量が割かれている事例紹介も上述の原理原則に従って章分けされているので、各人の関心によって読みやすいものとなっており、自身の問題関心を確認するのにはとても良かった。
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本書の中で筆者は「何のために地域再生をするのか?」と問いかけているけれど、本書の内容に対してもその言葉を投げかけたくなった。
大型店が進出し商店街が衰退し、地域全体が衰退しきった後には大型店もいなくなってよりいっそう暮らしにくい町になる-
田舎の川や、道路など自然がコンクリート漬けにされている-
このように昔の活気ある都市や美しい自然がなくなるのは悲しいことだ-
でも、それが地域再生の理由にはならない。
2番目のことについて(は、地域住民からすればありがたいことじゃないなかと思いました。(農業後継者もいなくて使わなくなった用水路を整備することで、清掃管理なんかをする必要がなくなるから)
それから住民主体が求められているけれど、今問題なのは「住民の主体性をどう育成するか、現在関心がない住民をどう巻き込んでいくか、また外部からも呼び込んでくるか」てことではないかと思いました。
住民に主体性・積極性があることを前提としてはならない。
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正直この本を読むまで小泉内閣の三位一体改革をはじめとする近年の政府による地域政策が地域をこんなにも痛めつけているとは思ってませんでした。
経済発展の段階で自然環境が破壊されまくってきたことは想像してましたけど。
この本ではその中でも頑張って自立に向けて頑張ってる地域や、自然再生に取り組んだ地域などを例に地域再生の条件を論じている本です。
経済・政治の地方化を考えたい私にとっては面白い本だったし、例としてあげられてる地域に足をはこんでみたいなぁと思いました。
何か途上国の開発については勉強してきたけど、結局日本だろうとアフリカだろうと同じなんだなーと思いました。
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地域間格差は広がる一方で地域は再生できるのか。「地域を再生させるために第一に掲げるべき目標は、そこに住み、暮らす、すべての人々の人権が保障された地域をつくること」というのでは、あまりに岩波新書的。確かに国や自治体の政策の失敗もあるだろう。あるべき地域を目指して取り組み続けることも必要だ。
でも、東京や大阪が崩壊して人々が地域に移ってこない限り地域の再生はないような気がする。
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2011.4.29 なぜ、地域が疲弊しているのか。地域活性化の成功例や地域再生の処方箋について書かれている。個人的には強く印象には残らなかった。
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[ 内容 ]
少子高齢化や過疎化などを背景に、多くの地域が衰退しているなか、自治体と住民が知恵を出し合い、個性的なまちづくりによって活性化に成功している地域が存在する。
これまでの地域政策の問題点を明らかにし、地場産業の復興、持続可能な地域づくりなど、地域が真に再生するために必要な条件を、豊富な事例を示しながら提言する。
[ 目次 ]
第1章 なぜ、地域再生なのか
第2章 人権が保障された地域をつくる
第3章 地場産業で生活できる地域を作る
第4章 自然と共生し、持続可能な地域をつくる
第5章 ヨコ並びでない地域をつくる
第6章 住民の意思で地域をつくる
第7章 地域再生に向けて
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]