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- カテゴリ:幼児 小学生
- 発行年月:2007.3
- 出版社: 福音館書店
- サイズ:26cm/28p
- 利用対象:幼児 小学生
紙の本
みんなおなじでもみんなちがう (かがくのとも傑作集 どきどきしぜん)
著者 奥井 一満 (文),得能 通弘 (写真),小西 啓介 (AD)
いろいろな場所の海からとれたアサリは、おもしろい模様をもっています。でも、同じ模様はひとつもありません…。ヒマワリの種、サクランボ、クワガタムシなど、同じ種類でもそれぞれ...
みんなおなじでもみんなちがう (かがくのとも傑作集 どきどきしぜん)
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商品説明
いろいろな場所の海からとれたアサリは、おもしろい模様をもっています。でも、同じ模様はひとつもありません…。ヒマワリの種、サクランボ、クワガタムシなど、同じ種類でもそれぞれ個性的な生物を紹介した写真絵本。【「TRC MARC」の商品解説】
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紙の本
「同じ」ことと「違う」ことは、共にとても大切なこと
2007/08/27 16:15
13人中、13人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:hamushi - この投稿者のレビュー一覧を見る
この夏、二歳半の末娘に一番愛された絵本です。
「みんなおなじ でも みんなちがう」
そういいながら、いろんな長さの鉛筆をならべてみたり、自分の指を眺めたりしています。
末娘にとって、この絵本との出会いは、カテゴライズするということと、かけがえのない、唯一の個体として認識するということの違いを意識する、貴重な経験であったようです。それはある種の快感をもたらす体験でもあったようで、同じ文しか出てこないこの本を、とにかく何度も何度も、親のほうが音を上げるまで、繰り返し音読することを求められました。
みんなおなじ、でもみんなちがう。この認識は、たとえばハンディキャップを持った人と生活の場面を共にするときにも、とても大切なものであると思います。同じ人間であるということと、同じようにはいかない問題が存在することを、共に正しく認識し、相互に分かり合うことは、簡単なことのようでいて、なかなか難しいことだからです。
我が家には自閉症の息子もいて、「同じだけど、違う」「違っているけれど、同じところや、結構似ているところもある」ということを、日々痛感させられていますけれども、この絵本の教えてくれていることを素直に受け入れている末娘は、いずれ自分の兄弟の問題についても、客観的な理解と思いやりを持って相対することができるようになると信じています。
紙の本
児童書としての紹介は簡潔に終わらせられる気がする。でも、本の作り方がアートやデザイン関係者、バイオや進化論の研究者、哲学する人など多様な視座を持つ人びにとって刺激的かな……。
2007/04/26 14:26
7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:中村びわ - この投稿者のレビュー一覧を見る
たとえば、「何でよりによって表紙に選ばれたのが地味なアサリなのかな」と疑問に思い、「みんなおなじアサリ、でも、みんなちがうアサリ」を眺めながら考え出すと、読むのに大変な時間がかかる。手に取って眺めながら考えてばかりいるわけにもいかないので、電車に乗ったり自転車をこいでいたりするときにぼんやり考えるに、トマトやサクランボのように目をはっと惹く派手さはないけれども、「ちがい」という点においてのバリエーションが一番多いのがアサリだからなのかと推察する。おなじアサリでも、大きさがまちまちであるし、色は白、鮭色、薄茶、こげ茶、灰色、黒とさまざまであり、形や模様にも統一性がない。改めて、これもそれもアサリであるか、ではアサリの同一性とは何なのかと考え込まされる。
あるいは、表紙をトマトやサクランボにしてしまうと、「旬」の問題がある。書店の店頭に並べるには、季節を選んでしまうことになる。児童書は季節性を大切にするアイテムなのである。そこで、単に出版元の販売促進上の問題で、そうは季節性を選ばない表紙にしたのかもしれないとも思う。表紙にはわざわざアサリだと断り書きがないもので、ぱっと見には、これはただの貝であり、好都合なのである。
この絵本は写真絵本で、表紙で分かる通り、ちがいを見比べて楽しいように「おなじもの」を並べただけの内容である。表紙をあけて出てくる前扉以外は、左右見開きが1つの単位となっていて、ヒマワリの種、ウズラの卵、ヤママユガの繭、ショウガ、サクランボ、ソラマメ……とつづき、計14種類のものが登場する。
それぞれの写真に添えられたことばは、すべて「みんなおなじ でも
みんなちがう」というもの。「えっ、そういうことばを考えただけで印税がもらえるの」とは言わない。どういうものを選び、どう構成していくかということもまた、絵本作家の仕事だからだ。著者の奥井一満氏は動物行動学の研究者であり、昆虫学者でもある。このなかに虫は4つ含まれている。
ほとんど自然物なのだけれども、なかに「ウメボシ」が入っているところが、また考え込んでしまうところだ。自然食品には違いないが、シソの葉や塩とともに漬けられた、つまり人の手がかかったものをなぜ含めたのだろうか。シワの刻まれ方がみんなちがうウメボシを注意深く眺めながら考える。「ニボシ」についても同じ疑問を持つ。
先ほどページ構成は作家の仕事と書いたが、その構成にはアートディレクターのアドバイスもあっただろう。何色の次に何色を持ってくればページをめくるたびの変化を楽しめるのか。また、各見開きのレイアウトはアートディレクターの仕事であろう。前扉のヒマワリの種やニボシの並べ方は緻密であり、動きがあって面白い。アサリやウズラの卵を並べたときは、隣り合うものの色や形を慎重に選び抜いたはずである。さらに言うなら、撮影状態も興味深い。ぜんぶ並べて一発撮りにしたものもあれば、1つずつ撮ってコンピュータ画面上で処理したものもあるはずだ。
もちろんこの本には、「みんなちがって、みんないい」「ちがいがあるからこそ自然、同一に作られるのは人工物」というメッセージも読み取れなくはない。けれども、「ちがいの発見」というのは、子どもにとっても大人にとっても驚きをもたらしてくれるものだ。その驚きに心が動かされる。その感覚こそ大事にされるべきものではないかと思える。「センス・オブ・ワンダー」は言い尽くされていても、常に人の科学的興味の原点だろう。その体験を絵本で擬似体験させて自然に直接ふれあうことを誘うために、ここにどれだけの手間がかけられているかを考えると、ちょっとやそっとでは作れない絵本だということが分かる。
紙の本
「おなじ」ってどういうことだろう。「ちがう」ってどういうことだろう。
2011/02/19 16:43
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
お子さんとみるのなら「あ、これもアサリ、これもだね」「これは三角がいっぱい。これはなんだろう?」「こんなのもあるね。これもアサリだよ」と会話が進むでしょう。
短い言葉のくり返し。おなじようなものが沢山並んだ紙面のくり返し。 でも、こんなに単純で、単純であることがとっても深い。なまじ「言葉漬け」の大人が読むから、そう感じてしまうのかもしれません。表題がくり返しくり返し現れ、くり返し問いかけられている気持ちになるのです。
「みんな おなじ でも みんな ちがう」。
「おなじ」ってどういうことだろう。「ちがう」ってどういうことだろう。
「ちがう」けれど「おなじ」ってどうして思うのだろう。
一個だけ見たときに「これもおなじ」とどこで決めているんだろう。
気づかないで誰もがやっている「認識論」の始まり?絵本を前に大人はどんどん哲学してしまいそうです。
「これはお山みたい。これは波。」「赤いのもあるね。これもじ?」・・いろんな会話をしながら、子どもたちはどんな風に感じていくのでしょう?「・・というもの」をこうやって体感していくのでしょうか。
子どもになってこの本に出会ってみたい。そんな気持ちになりました。