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商品説明
「さあ、神無月だ−。出番だよ、先生」 2学期限定で奈良の女子高に赴任した28歳の「おれ」。ちょっぴり神経質な彼に下された、空前絶後の救国指令とは!? ユーモアがちりばめられた渾身の書き下ろし。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
万城目 学
- 略歴
- 〈万城目学〉1976年生まれ。大阪府出身。京都大学法学部卒業。「鴨川ホルモー」で第4回ボイルドエッグズ新人賞を受賞し、作家デビュー。
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紙の本
ドラマも小説も楽しめます。
2008/07/31 00:06
7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:拾得 - この投稿者のレビュー一覧を見る
刊行後一年も経たないうちにドラマ化もされた本作は、すでに多くの評も得ていますので、私が付け加えることはほとんどありません。設定に多少の違いはあるものの(藤原先生とか、ポッキーとか・・・)、小説もドラマもそれぞれで十分に楽しめます。私の評はこれに尽きます。青年の成長の物語としても、古代史ファンタジーとしても、ミステリーとしても、学園物語としても、いろいろな面から読み込めるようになっており、想像力に嬉しい作品です。
朱雀門を背景にした印象深い表紙イラストに誘われように、「奈良に行きたくなった」、もしくは「実際に行ってしまった」という人も少なくないのではないでしょうか。かくいう私もその一人で、この夏早々に過ごしてきました。駅の奈良をPRするポスターは、「この顔にキュンときたら」という謳い文句で、(神や仏ではなく)鹿が主人公をつとめていました。
ついその気になって鹿せんべい(150円になってました)もあげてきましたが、確かに奈良の鹿はお辞儀をしてくれます(年寄りはあまりしません)。そしてなにより、かれらは「美しい」のです。胴はがっしりしているのに、脚のきゃしゃなこと。そして、すっくとのばして首の見事なこと。遠くを見る目つきは哲学的ですらあります(実際には遠くの犬の散歩を監視してました)。気が荒かったりするやつや、(せんべいに)しつこいやつもいますが、見ていて飽きません。「なぜ、鹿せんべいを売っているオバチャンたちを襲わないのか?」などということを考えだすと、夜も眠れません。ただ、若草山は夏を含め時期によっては山登りできませんでした。残念。
鹿を扱った和歌は「奥山に〜」をはじめ多いのですが、この作家も日がな一日鹿を見ていて作品の構想を練っていたのでしょう。いや、実は鹿に話しかけられたのかもしれません。鹿の可能性をも広げた、新しい名作の登場です。
紙の本
ドタバタを楽しもう
2007/06/05 18:37
12人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:さあちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
大学の研究室での人間関係のもつれから神経衰弱のレッテルを張られたおれ。教授の半ば強制的な勧めにより奈良の女子校に1学期間だけ赴任することになった。そして赴任第一日目。ここでも慣れない女子高生相手に感情的に振る舞ってしまい結果みんなから反感をもたれてしまう。努めて冷静に対処しなくてはと思ってはみるものの慣れない環境にとまどうばかり。一体どうすればいいのか・・・気分も腹も下り気味のおれはある日りっぱな牝鹿に話かけられる。「神無月だ。出番だよ先生。」とうとうおれの神経はいかれてしまったのか・・・混乱するおれに鹿はさらに驚くべき事を告げる。このままではこの国は滅んでしまうと・・・
最初の方は坊ちゃん風に展開するのかなあと思っていたら鹿が
喋りだしたあたりから古代史ミステリー青春SFコメディみたいな感じでどんどん続きが読みたくなる。王道をいく展開ではあるが設定がユニークである。地震となまずってねえ・・・またなんといってもユーモアたっぷりの語り口が心地よい。思わずにやりとすること請け合いである。それでいて最後にホロリとさせられ読後感は清々しい。心から楽しめる作品である。
紙の本
東大寺の裏手で、鹿とお話がしたくなる。
2009/11/09 20:45
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kumataro - この投稿者のレビュー一覧を見る
鹿男あをによし 万城目学(まきめまなぶ) 幻冬舎
「あをによし」と聞けば奈良を思い浮かべます。「あをによし」の意味は知りません。でも「あをによし」は奈良なのです。枕詞(まくらことば)でしょう。
本書には奈良の有名な寺社・遺跡がたくさん登場します。観光案内書の趣もあります。ことに東大寺周辺の講堂跡、大仏池、転轄門(てんがいもん)などは、わたしも訪れたことがある場所なので、主人公が鹿と語る場面は、現実味がありました。
27歳ぐらいの主人公を、最初は大学生と思いましたが、その後の展開で、どうも大学院の学生さんか助手の方のようです。その主人公が東京から奈良女学館高等学校へ臨時講師として赴任するわけですが、「坊ちゃん」夏目漱石著や「二十四の瞳」壺井榮著のような雰囲気で始まります。
表面上は一見、平穏無事に流れているような現代社会ですが、一歩組織の一員として労働社会に踏み込めば、さまざまな問題に引きずりこまれることが世の習いです。今回は富士山噴火とか大地震の発生のようです。大ナマズに鹿、狐、鼠(ねずみ)の三角関係がからんできます。高校1年生堀田イトに対する主人公の叱責は世界が狭い。ネズミ、キツネ、シカの話はどこまで信用できるのだろう。
剣道の試合中継は、積み上げた練習の成果がないという不満をもちながらも興奮しました。「サンカク」探しの推理小説で、娯楽作品となっています。
紙の本
奈良の底知れぬ魅力を描いてほしかった
2010/02/08 23:51
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:JOEL - この投稿者のレビュー一覧を見る
奈良ファンの私は、本書に出てくる地名のほとんどを実際に歩いたことがある。ところが、読み進めても臨場感があまり湧かない。
奈良でこそ展開できるストーリーになってはいるのだが、著者の思い入れが今ひとつという感が否めないのだ。もったいない。
自然体の奈良であるからこそ、もう少し背伸びをさせてやって、魅力たっぷりに描いてほしかった。ただ、本書は評判が高いと聞いていたので、少し期待が大きすぎたのかもしれないが。
前半こそ淡々と物語は進むが、後半から謎解きの要素が加わり、徐々に面白さが加速する。いろんな要素を巧みに絡みあわせて、意外な結末に持っていくプロットはいい。ただ、高校を舞台にした分、全体的にさらりと軽めの印象に終わっている。
すでにドラマ化された本書であるが、鹿が人間と話をするところなど、本来は意外性に富む。ところが、SFタッチのこの要素が軽さにつながっている。休日の一日で読み終えてしまえるが、読了するのが惜しいという気持ちがあまり起きなかった。
著者はほかにも面白い作品をものにしていると聞くので、そうした作品に期待したい。