「honto 本の通販ストア」サービス終了及び外部通販ストア連携開始のお知らせ
詳細はこちらをご確認ください。
読割 50
紙の本
6ステイン (講談社文庫)
著者 福井 晴敏 (著)
愛する男を待ち続ける女、隠居した天才的スリ、タクシー運転手として働きながら機が満ちるのを待った工作員。心に傷を持ちながら、独り誇りを抱き続けた者たちの消せない染み。あきら...
6ステイン (講談社文庫)
6ステイン
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
商品説明
愛する男を待ち続ける女、隠居した天才的スリ、タクシー運転手として働きながら機が満ちるのを待った工作員。心に傷を持ちながら、独り誇りを抱き続けた者たちの消せない染み。あきらめることを知らない6つの魂が、薄明の世界に鮮烈な軌跡を刻む。著者が織り成す切なく熱い人間讃歌、人生を戦うすべての者へ。【「BOOK」データベースの商品解説】
愛する男を待ち続ける女、隠居した天才的スリ、タクシー運転手として働きながら機が満ちるのを待った工作員。心に傷を持ちながら、独り誇りを抱き続けた者たちの消せない染み。あきらめることを知らない6つの魂が、薄明の世界に鮮烈な軌跡を刻む。著者が織り成す切なく熱い人間讃歌、人生を戦うすべての者へ。(講談社文庫)
福井晴敏が短編の名手でもあることの証明! 人は皆、自分の人生しか生きられない。不器用だが胸の奥に熱い魂を宿し、所属する組織の中でもがき抗いながら、信義をつくす人間たち。心ふるわせる珠玉の6編。【商品解説】
目次
- いまできる最善のこと
- 畳算
- サクラ
- 媽媽
- 断ち切る
- 920を待ちながら
収録作品一覧
いまできる最善のこと | 7-60 | |
---|---|---|
畳算 | 61-122 | |
サクラ | 123-164 |
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
●なんという加速!
2007/10/03 11:12
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひろし - この投稿者のレビュー一覧を見る
読み始めてすぐ、ああこれはウマいな!と一人ごちる。福井さんといえば「終戦のローレライ」や「亡国のイージス」など、いわゆる「冒険モノ・諜報モノ」でファンも多い。この「冒険モノ・諜報モノ」っていうのは、ラストのドンパチが楽しみ。それまでの諜報機関と国家転覆の危機設定などなどは、そこへ導く導入材なのだ。もちろんそれがリアルであればあるほど、ラストのアクション部分が面白くなるのだが。
ではそのラストのアクション部分だけを、短編としてすっぽり抜き取って作品にしてしまったらどうか。読み手はラストのドンパチを期待してるわけだから、これはありがたい。いやもちろん導入部分が全く無い、ただ戦いの描写を書いたってちっとも面白くは無い。短いならがらも、ハラハラドキドキの戦闘シーンにリアリティを与えるだけの導入部分を描ききらなければならない。それをこの作品では実現してしまった!のである。
ひとつめの「今出来る最善の事」などはまさにそんな感じ。一介の建設会社社員が、山奥の現場にローカル電車で向かっている所から始まるのだが、いきなり「北の工作員」が現れて、手榴弾で電車を吹き飛ばされる。この、現実から非現実への切り替わりの早い事。この加速感はたまらなかった。そしてその工作員との交戦の中で、実はこの社員が過去にとある諜報機関に属し、恨みを買っているのが分かってくる。そして戦いが激しさを増す中、物語は一つの小さな命を守るという方向に向かうのだが・・・。
これほどさっと読めてズン!と来る作品は他に読んだ事が無い。大体上下セットで下巻の真ん中くらいまでは導入部分で・・・なのだけど。これはウマい設定をしたものだなぁ・・・と思っていた。
そして実際、ふたつめの「畳算」やみっつめ「サクラ」あたりまではその様相を呈していている。のだけど。ちょっと、色合いが違ってくるのだ。「畳算」では愛した男から預かった品を、後生大事に隠し持った老婆の話し。その品が、「核爆弾」というのが問題でw。「サクラ」では、組織を抜けたいけれども抜けられない女の子が、とある戦いの中で取った驚天動地の仕掛け。それはもうミステリーの味わいさえ感じられた。そう短編でありながらもただのドンパチじゃない、その底にある色々な深い思い、が作品に味わいを与えているのだ。
そして「媽媽」では、闘う母親、とでも言うのだろうか。その苦悩と愛情、のようなものが描かれ、しかもつぎの「断ち切る」への連作になっている。短編二作ではあるけれど、スケールは大きく、深い愛情の物語となっていた。
さらにラストの「920を待ちながら」では鳥肌が立った。まさか、のキャスティング。福井ファンなら「おおお!」と思わず声が出てしまうに違いない、ファンサービス。
各々の短編の加速力もすごいが、一冊通して、1ファンとしての感動の加速力が凄かった。設定に多少の無理を感じるものの、魔法の言葉「市ヶ谷」で、もしかしたら・・・とさえ思わされてしまう。さすがの福井作品、久々にスカ!っとした加速感を味わわせてもらった。