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孤独な交響曲 (講談社文庫 ミステリー傑作選)
著者 日本推理作家協会 (編)
神保町の「がらくた市」で古びた茶碗を見つけた、御茶ノ水署・生活安全課の斉木と梢田。実は値の張る骨董品であることがわかったが、意外な事件を掘り起こすことになり…。「欠けた古...
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商品説明
神保町の「がらくた市」で古びた茶碗を見つけた、御茶ノ水署・生活安全課の斉木と梢田。実は値の張る骨董品であることがわかったが、意外な事件を掘り起こすことになり…。「欠けた古茶碗」(逢坂剛)。横山秀夫「第四の殺意」、篠田節子「ヒーラー」、ミステリーの名手10人が競演するアンソロジーの開幕。【「BOOK」データベースの商品解説】
収録作品一覧
欠けた古茶碗 | 逢坂剛 著 | 5-78 |
---|---|---|
第四の殺意 | 横山秀夫 著 | 79-134 |
ヒーラー | 篠田節子 著 | 135-196 |
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気色の悪いものもあるが、ほとんどが短編として素晴らしい出来栄え
2007/09/23 22:33
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
あるまとまったテーマについて、作家が競うジャンルがアンソロジーというのだそうだ。本書でのまとまったテーマというのは、本書のタイトル『孤独な交響曲』であるからといって、クラシック音楽というわけではない。「ひとでなし」と「ひとでないでない」の2つである。何とも人を喰ったテーマである。このテーマ自体は解説に書かれていた。タイトルやサブタイトルには出てこない。
それにしても本書の短編は面白さの粋を結集したような傑作ぞろいであった。交響曲というタイトルに魅かれた訳ではないのだが、解説を読むまではそのテーマがよく見えないアンソロジーでもあった。
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