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商品説明
日中戦争から70年。日本の軍部と政府がどのような意図で対中国政策を悪化させ、全面戦争にまで至ったのかを、国際法と最新のキーワードで読み解く。兵士の体験記・回想・写真をもとに、戦死者と戦争責任を考える。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
伊香 俊哉
- 略歴
- 〈伊香俊哉〉1960年宮城県生まれ。立教大学大学院文学研究科博士後期課程退学。都留文科大学教授・博士(文学)。著書に「近代日本と戦争違法化体制」など。
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今ならまだ間に合う
2007/07/10 03:21
24人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:良泉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本が侵略する意図を持ってアジア諸国に軍を派兵したのは、近代においては日露戦争が最初である。そしてそれ以降ずっと、ほぼ50年間にわたり日本は他国に軍隊を派遣し続け、ほぼ10年おきに大きな戦争を行ってきた。
日本がアジア諸国に対し行った戦争が侵略戦争であったこと、日本の当時の行いが過ちであったことは、今となっては否定しようもない。
そして、日本が派兵していた50年の間に、この過ちを決定的にし、過った路線を拡大させた時のポイントが二つある。柳条湖に端を発する満州事変の勃発と盧溝橋に起因する日中の全面戦争への突入である。
結局、日本はボロボロになって敗戦を迎えた。広島・長崎は原爆により末代まで及ぶ被害を受けた。その他の主要都市も戦略爆撃により一夜で甚大な被害を被った。
なぜもっと早い段階で戦争の拡大を止められなかったのか。当時の国民は本当にこのような戦争を望んでいたのか。
大きな時の分岐点である満州事変から日中戦争への時代を、後世に生きる我々はしっかりと検証しておく必要がある。二度と同じ過ちを繰り返さないように。過った政治の流れは、国民の意思で民主的に変えることができるように。
本書は、満州事変から日中全面戦争にかけての時代を徹底的に検証する。
何が起こったのか。それに対して政治はどう対応したのか。軍部はどういう行動をとったのか。国民はどう考えていたのか。ジャーナリズムは。知識人たちは。
日本の軍国主義が限りなく歯止め無く膨張していく過程が克明に描かれる。
有事立法が大きな反対も無く成立し、時の政権は憲法「改正」を恥ずかしげも無く口にする。自衛隊の海外派遣は珍しくもなくなり、ついには戦闘の続くイラクにまで派兵する。日の丸・君が代問題に露骨に示されるように政府は国民の心の支配にまで触手を伸ばし、管理社会を着々と形成していく。
そんな今だからこそ、過去に学ぶことが大切となる。まだまだあきらめるには早い。我々の手で民主的に日本という国の進むべき道を軌道修正させることは、今ならまだ間に合う。