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商品説明
「慰安婦問題」とは何なのか? 日韓・日朝関係の専門家であり、当初からこの問題に真剣に取り組んできた著者が、きわめて明快かつ説得力ある論旨で、問題の核心と真実とを明らかにする。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
西岡 力
- 略歴
- 〈西岡力〉1956年東京都生まれ。筑波大学大学院地域研究科修了。東京基督教大学教授。北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)常任副会長。著書に「韓国分裂」等。
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紙の本
慰安婦問題を考えるにあたっての必読書
2007/07/27 16:17
17人中、13人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:越知 - この投稿者のレビュー一覧を見る
米国の下院で日本のいわゆる従軍慰安婦問題に関する非難決議が行われようとしている。この決議が事実をふまえたものでないこと、つまり日本軍による朝鮮人従軍慰安婦の強制連行などは存在しなかったことは、すでに日本では主流な見解になっているが、あらためてこの問題を分かりやすく解説した本が出たので紹介したい。
従軍慰安婦論争は93年の河野談話によって火が付けられた。政治家としてまことに不用意な「談話」を出した河野洋平の責任は重大だが、その後の様々な調査によっても、韓国人慰安婦の強制連行が検証されるどころか、むしろその逆の事実が浮かび上がってくるばかりなのである。
例えばよく名が出る金学順。彼女は雑誌『宝石』92年2月号に載ったインタビューで「自分は40円でキーセンに売られた」と語っている。要するに売春施設にお金で売られましたと言っているのであって、日本軍に強制連行されたなどとは一言も言っていないのだ。同誌に匿名で載った他の二人の慰安婦の発言も同様である。
金学順が元従軍慰安婦として名乗り出たのはその一年前の91年8月だが、それを報じたのは朝日新聞で、その記事は「『女子挺身隊』の名で戦場に連行され、日本軍人相手に売春行為を強いられた『朝鮮人慰安婦』」と書かれており、強制性が強調されていた。
ところが、同じ頃に韓国の左派系新聞に載った金学順の記者会見記事では、「生活が苦しくなった母により14歳で平壌のキーセンに売られた。日本軍相手にキーセンの修業をした」となっており、上述の『宝石』と同じ内容になっている。
ではなぜ朝日新聞の報道だけが違っているのか? これについて著者は、記事を書いた植村隆記者の捏造だと断じている。著者は以前からこの点について雑誌や単行本に書き続けているが、朝日新聞からの反論や訂正や誤報への社内処分などは一切ないという。報道機関としての朝日新聞の見識が問われるところであろう。
話を金学順に戻す。以上のように当初の彼女の証言は強制連行などとは無縁であった。ところがその後彼女の証言は少しずつ変わっていく。91年12月の証言では「売られた」という言葉が省かれる。さらに西岡氏が『文芸春秋』92年4月号で証言には強制性がいささかも含まれていないことを指摘すると、92年7月から始まった韓国人学者による聞き取り調査では、日本軍人に暴力的に連行され娼婦にされたという内容に一変してしまう。この変化が何に由来するかは明らかだ。日本の左翼ジャーナリストや弁護士が慰安婦問題で訴訟を起こせと策動しており(この点についても本書では明快に説明されている)、それに合うような形に修正していっているのである。
他にも強制連行されて慰安婦にされたという証明がなされた例は皆無であることが、きわめて分かりやすく解説されている。
一方、慰安婦を強制連行したという旧日本軍人の証言はどうか。有名なものとしては吉田清治の告白があるが、これは秦郁彦の調査によりそのインチキが暴かれた。本書でも簡潔に説明されているが、詳しく知りたい方は秦郁彦『慰安婦と戦場の性』(新潮社)を読まれたい。
もう一つ、41年に陸軍が朝鮮総督府に8千人の慰安婦派遣を依頼したという関東軍参謀・原善四郎の証言がある。千田夏光『従軍慰安婦』により有名になった話だが、これについても原の間近にいた軍人からの反証があり、また千田が原に直接ルポをしていない疑いもあって、信じるに足りないという。
以上は本書の内容のほんの一部である。他にも65年の日韓基本条約で支払われたカネのうち民間賠償に充てられた分や、日本外交の拙劣さなど、貴重で基本的な指摘が多い。慰安婦問題を考える上での必読書と言えよう。