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商品説明
テムジン(のちのチンギス・ハン)はモンゴル族キヤト氏族の長イェスゲイの長男。11歳の時、別の氏族長の子ジャムカと盟友を誓う。13歳で母ホエルンと同じ部族の支族長の娘ボルテと婚約するが、翌春父が急逝。一家は氏族民からも見捨てられ、孤立した極貧生活に陥る。その上、氏族民を連れ去った仇敵の部族長に捕らわれるが、馬乳酒造りの従属民に助けられて逃げ帰る。21歳になったテムジンは妻ボルテを迎え、100人弱の集団を持つまでになる。そこには未来の世界帝国を築く若き人材が参集した。だが、メルキト族に妻を掠われてしまう。父の盟友トオリル・ハンと自分の盟友ジャムカとの共同作戦でメルキトを破って妻を取り返したが、妻はメルキトの子を生んでいた…。【「BOOK」データベースの商品解説】
テムジン(チンギス・ハン)はモンゴル族キヤト氏族の長の長男。父が急逝した後、仇敵の部族長に捕らわれるが逃げ帰る。21歳のテムジンは妻ボルテを迎え、100人弱の集団を持つまでになるが、メルキト族に妻を掠われ…。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
堺屋 太一
- 略歴
- 〈堺屋太一〉1935年大阪府生まれ。東京大学経済学部卒業。作家。元経済企画庁長官。著書に「エキスペリエンツ7」「平成三十年」「油断!」など多数。
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紙の本
「人間(じんかん)に差別なし、地上に境界なし」=グローバリゼーションの創業者としてのチンギス・ハンは究極の逆境から立ち直る天才だった
2007/08/12 12:34
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:イッペイ - この投稿者のレビュー一覧を見る
一年半にわたって続いた堺屋太一による日本経済新聞の連載小説「世界を創った男 チンギス・ハン」が2007年8月5日に最終回を迎えた。本書は全4巻となる単行本化の第1作である。
現在の超大国アメリカに比肩する超大国を世界史に求めてみるとそれはモンゴルをおいてない。これが堺屋太一のチンギス・ハンの基本モチーフだ。アメリカとモンゴルには多くの共通点がある。たとえば大量報復戦略は巨大な版図を安価に維持するための知恵である。無論これは800年間も進歩していない悪い方の模範である。
容赦のない無差別な大量報復戦略は大東亜戦争における日本軍による重慶爆撃、続いて米軍による東京大空襲、広島と長崎への原爆投下へと続く。今日の核兵器体系はモンゴルが提示した悪い模範の究極の姿である。
他方では大量の不換紙幣発行による経済支配。米ドルは金との交換を停止して久しい(1971年以来)。金との交換機能の無い米ドルは紙に印刷した幻影に過ぎないのだが。この幻影もオリジナルは800年前のモンゴル帝国にあったのだ。
しかし、かつてのモンゴルにあってアメリカにないものがある。モンゴルは宗教に対してきわめて寛容であった。複数の宗教の共存を許していたのである。グローバル化という仮説「人間(じんかん)に差別なし、地上に境界なし」とういう思想はかつてのモンゴルのほうが実はよりよく体現していたと言えるだろう。「異教徒」にたいするアメリカの対峙の仕方は偏狭で姑息でありモンゴルの切りひらいた地平からは大きな後退以外の何ものでもない。
汲めどもつきない興味がわくのはチンギス・ハンという人格である。チンギス・ハンは連戦連勝の軍事的天才ではなかった。むしろ大事な戦(いくさ)においては無惨に敗北しているのである。これは世界史におけるモンゴル研究の権威である杉山正明も再三指摘しているところである(『遊牧民から見た世界史—民族も国境もこえて』ほか)。
チンギス・ハンは軍事の天才というよりも究極の逆境から立ち直る天才だった。本書の副題にある「絶対現在」は筆者は西田哲学の用語でもあろうかとおもったが、著者の巻末の解説によれば、最終決戦状態を指す軍事用語だという。絶対現在とは後も先もない生死の限界をも超えた究極の状態なのだ。
チンギス・ハン、少年時はテムジン、の生涯は絶対現在の連続から始まる。まずは「堺屋チンギス・ハン」のスタートである。
なお、本書では新聞連載で読者を魅了した大沼映夫の挿絵が、より高品質に随所に再現されている。巻末の地図、年表、注釈が親切である。
紙の本
今頃、チンギス・ハンにはまる
2020/10/11 15:45
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る
史実には忠実でなければならない歴史小説という難しいジャンルに、果敢に挑戦しながらも筆致はいつも読みやすく、ちゃんとエンターテインメントしているこの作家のすごさ。本書も、12世紀頃のモンゴル高原ののっぱらへぐいぐいと引き込まれてゆきました。まだ全4巻あるなかの1巻読了と読み始めたばかりだが、モンゴル高原に降り注ぐ日差しと草原を吹き渡る強い風を感じています。
本編でエンターテインメントしながらも、それを裏付ける解説も面白く、巻末の注釈だけ読んでも、チンギス・ハンとモンゴル帝国概論ぐらいの充実度はあるのも魅力。特に、1巻の巻末の「全体解説」は永久保存版の貫禄があると思う。