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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2007.8
- 出版社: ランダムハウス講談社
- レーベル: ランダムハウス講談社文庫
- サイズ:15cm/249p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-270-10116-2
紙の本
全日本貧乏物語 (ランダムハウス講談社文庫)
家出して、一年間同じコートを着つづけた遠藤周作。ちり紙を買う金さえなかった内田百〓(けん)。作家や芸術家らが貧乏だったあの頃を振り返る、ちょっと懐かしいエッセー集。【「B...
全日本貧乏物語 (ランダムハウス講談社文庫)
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商品説明
家出して、一年間同じコートを着つづけた遠藤周作。ちり紙を買う金さえなかった内田百〓(けん)。作家や芸術家らが貧乏だったあの頃を振り返る、ちょっと懐かしいエッセー集。【「BOOK」データベースの商品解説】
収録作品一覧
遠藤商会の慶応時代 | 遠藤周作 著 | 7-21 |
---|---|---|
漫画行商人 | 東海林さだお 著 | 23-56 |
平和で裕福な秋の休日 | 椎名誠 著 | 57-83 |
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紙の本
分かります。
2008/10/06 21:36
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ばー - この投稿者のレビュー一覧を見る
分かります。皆さんそれぞれ、たくさんの貧乏体験があるかと思います。格差格差、と叫ばれていますし、ワーキングプアとかいう言葉をよく耳にする時代になったかと思います。貧乏はいつの時代でも永久不滅です。私自身だって、きっと貧乏です。すぐお金は本代に消えちゃうし、誰かが私の口座から秘密裏に引き落としているに違いありません!いや、冗談です。こんなこと、ただの金遣いが荒いだけなのでしょう。ここで言葉にするのが出来ないほどの貧乏体験もあれば、もう過去の良い思い出になっている貧乏体験もあるかと思います。ましてや、今現在貧乏の方がいるでしょう。そもそも貧乏という言葉は一言でその意味を捉えきれるものじゃないのでしょう。もっとも、それは全ての言葉に当てはまりますが。私が赤瀬川源平の『全日本貧乏物語』なんていう、表題からして面白そうな貧乏話のアンソロジーを読んで思ったのは、そんなたくさんの貧乏のイメージの中の、「楽しい」、言わば、貧乏とは正反対のプラスのイメージです。そもそも、このタイトルからして、著者は貧乏をマイナスで捉えようとはしていないのかもしれません。どこかおかしみが漂いませんか?私は嗅ぎ取りました。貧乏も過ぎ去ってしまえば良い思い出、なんて標語は無いかと思いますが、貧乏というのは辛い、そんな時を乗り切った私にとっては良い思い出だ、なんてなことなんでしょう。そんな過去の体験を省みる貧乏物語、貧乏体験が多い中で、収録作である、種田山頭火「貧乏の味」はとっても新鮮だった。まさに貧乏そのもの、放浪の身なんて貧乏の極致ではないですか、そんな山頭火の現在進行形貧乏話。つまりは日記なのですが、これは過去ではなく、現在、良い思い出もクソも無い。今、まさに、苦しい、腹減った、そんな状態を描くには日記がうってつけなのですね。非常に新鮮。それでも山頭火が偉いのは、もうなんか悟りきっちゃってるよ山頭火、ちっとも苦しそうに見えない。どこまでも無常、なんてなこと。他の作品にもそれぞれおかしみがあったけど、この山頭火の日記こそが、この表題『全日本貧乏物語』のトップなのではないか。貧乏を通した感情を技巧で隠したり、そのものズバリの「俺は頑張った」だったり、色んな作家(堂々たる面々!)が書いてるけど、山頭火が描いてるのは、ちゃんとした現在のちゃんとした素直な心なんではないでしょうか。良かったです。山頭火。他には、源平さんのハナクソ食ったり爪食ったり(お食事中失礼)は、壮絶、というより、素朴で。渡辺和博の話には、多分本当である事が書かれていて、それがきっと本当なんだから、思わずむかついちゃったけど、それを言えば、森茉莉の話は、読み始めは変にうざったく思ってたけど、これはこれで変におかしみがあって、「可哀想…」(貧乏が、という意味ではない)って思わせるのが作者の技量で、引っかかった自分は悔しかった。この一冊で今の日本をどうこうとか言いたくないし、きっと言えないけど、読んだら元気になると思う。頑張ったんだなあ、ではなく、普通に笑って読んだら元気になると思う。貧乏話に特に感動がなくても面白いものは面白い。分かります。