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紙の本
ネオリベラリズムの精神分析 なぜ伝統や文化が求められるのか (光文社新書)
著者 樫村 愛子 (著)
自分探し、心理学、お笑い、オタク文化、メディア・スピリチュアリズム、リアリティ・ショーの隆盛はいったい何を意味するのか? ラカン派社会学の立場から、現代社会、あるいは現代...
ネオリベラリズムの精神分析 なぜ伝統や文化が求められるのか (光文社新書)
ネオリベラリズムの精神分析~なぜ伝統や文化が求められるのか~
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商品説明
自分探し、心理学、お笑い、オタク文化、メディア・スピリチュアリズム、リアリティ・ショーの隆盛はいったい何を意味するのか? ラカン派社会学の立場から、現代社会、あるいは現代人がぶつかっている難問に処方箋を示す。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
樫村 愛子
- 略歴
- 〈樫村愛子〉1958年京都生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科社会学専攻博士課程満期退学。愛知大学文学部人文社会学科准教授。著書に「ラカン派社会学入門」ほか。
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著者/著名人のレビュー
“自分自身を意識的に...
ジュンク堂
“自分自身を意識的に対象化し、メタレベルから反省的視点に立って自己を再構築する”「再帰性」の時代、イギリスの社会学者ギデンズは、現代をそう捉えた。個人が責任をもって自分をデザインしていく「再帰化社会」は、ある意味で人類の解放の歴史の帰結であり、それ自身悪いものではない。だが、そうした能力は人によって違いがあるから、「格差社会」に容易に繋がるし、そもそも自己再構築のための模索・試行は、それを保証する「イマジナリーな領域」;基本的信頼という恒常性に依拠している。「ニュー・エイジ」や「心理学化する社会」、ネット空間を中心とした若者のコミュニケーションや「お笑い」は、それぞれなりに「恒常性」の役割を果たそうとするが、十分には担いきれない。
書名の「の」は、主格・目的格の両方を担う。主格としては、「精神分析」がネオリベラリズムの戦略そのものである、目的格としては、そのネオリベラリズムを著者樫村が精神分析している、本書のそうした二層構造を、「の」は示す。ラカンを援用しながらの樫村の試みは十分なスケールと迫力を持つが、新書という「乗り物」に載せるには、少し欲張り過ぎか?
紙の本
ハードボイルドで行こう
2007/09/20 09:09
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:わたなべ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「ネオリベラリズム」と言われる現代社会の政治的・経済的なあり方の問題点を、さまざまな現代思想、哲学、社会学、精神分析学などの理論を通して検討し、ラカン派の精神分析理論をベースにした社会学的分析でその解決への道筋を提示しようとする本。近代社会の「再帰性」(英社会学者ギデンズが提唱した概念で、「活動条件についての情報を、その活動が何の活動であるかをつねに検討し直し、評価し直すための手段として活用すること」と定義される)が発達することで、みずからの行為の起源を問うことなく反復される「伝統」が解体され、人間が他者とともにあり創造性を発揮するために必須の「恒常性」(著者によれば、「幼児期の他者の全能のイメージを保存しながらも、その担保のもとで現実認識を可能にさせる機能である」と言う。現象学派心理学の「自明性」にも似ている)が失われようとしている、という立場に立って、それで何が起こっているのか、何がまずいのか、を細かく分析した本である。もっとも解決方法として提示されるのが「文化の必要性」であって、具体的な方策はまったく語られないので、最後まで読んで、うそーんといった気持ちにもなる。しかし、問題そのものについてはとても包括的かつ丁寧に書かれていて、ちょっとした現代思想辞典といった観がある。また、普通の新書だったらもっと読者に対して誘惑的と言うか物語的な「読ませる」工夫が為されるのが慣例だと思うのだが、そういうサービス(?)が一切なく、朴訥と言うか剛直と言うかなストレートであっさりした記述はちょっと笑ってしまう。これはたぶん「使える」本で、それだけに単に読んで面白いという本ではない。微妙だが、いや、こういう硬派な感じはいいんじゃないかと思う。あとがきであの樫村晴香が小説を執筆中であると書いてあって吃驚。うーん。。まあ、楽しみだということにしておこうか。