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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2007.9
- 出版社: 早川書房
- サイズ:20cm/341p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-15-208853-6
紙の本
NEXT 下 (Hayakawa Novels)
これは決して絵空事ではない。事実とフィクションを一体化させ、遺伝子研究がもたらす驚愕の未来図を描く最新作。【「BOOK」データベースの商品解説】これは決して絵空事ではない...
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商品説明
これは決して絵空事ではない。事実とフィクションを一体化させ、遺伝子研究がもたらす驚愕の未来図を描く最新作。【「BOOK」データベースの商品解説】
これは決して絵空事ではない! 遺伝子テクノロジーの濫用がもたらす悪夢の世界とはいかなるものなのか。事実とフィクションを一体化させ、遺伝子研究がもたらす驚愕の未来図を斬新かつ大胆な構成で描く。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
マイクル・クライトン
- 略歴
- 〈マイクル・クライトン〉1942年イリノイ州シカゴ生まれ。ハーバード・メディカル・スクール卒業。「緊急の場合は」でアメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞を受賞。ほかの著書に「恐怖の存在」など。
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紙の本
遺伝子に対するパテントとEMINENT DOMAIN
2008/01/17 00:15
12人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:塩津計 - この投稿者のレビュー一覧を見る
実は私はこの小説を原書で読んだ。私は小説を「つくり話」と蔑み、「アタマのよろしくない奴のこさえたつくり話なんぞで心を動かされてたまるか」と妙な片意地を張っているところがある。基本的に作家なる動物を軽蔑しているのである。しかし英語で原書を読むとなると話は別である。英語の勉強になるからと、裏口から小説を楽しむことを正当化する理屈をひねり出しているのである。クライトンの小説は私のお気に入りである。本書は原書で420ページだが通勤電車の往復で10日くらいで読み終えることが出来た。
本書のテーマの中心は、遺伝子(ゲノム)に対し製薬会社がパテントを申請取得しその所有権を主張することの是非(クライトンはこれを認めない立場)と、更に仮に製薬会社がヒトの遺伝子に所有権を持つことが出来たとして、仮にその遺伝子を持つ細胞のストックが何らかの事故等で製薬会社で保存していた細胞が遺伝子もろとも駄目になってしまった場合、製薬会社は今後の治療行為の継続という「公共の福祉」を理由にEMINENT DOMAINをその遺伝子を保有する本人またはその親族に行使できるかというものだ。EMINENT DOMAINとは聞きなれない概念だが、辞書を引くと米国では「公共の利益のためには、個人の私有財産権を無視して、その財産を国家の為に収容できることが認められている」とある。この小説の場合だと、ガン治療に聞く遺伝子というのがあって、それを本人の承諾無く勝手に本人からその遺伝子を採集して製薬としているわけだが、それが陰謀によって破壊されてしまうと、製薬会社はエージェントを雇って、同じ遺伝子を持つ本人の親族(子供や孫)を拉致して、その細胞を強制的に採集することも法律上認められるのだという議論を製薬会社側が展開する。この是非を巡るドラマが本書の中核なのだが、その結末は置くとして、このEMINENT DOMAINなる概念に出くわして、私は頭をカナヅチでなぐられたような衝撃を受けた。アメリカさまの憲法を作っていただいたわが国だから、その憲法にも財産権の定義というものはあって、確かに「これを公共の為に用いることが出来る」と書いてある。しかし戦後、この第二項は実質上空文化され、個人の財産権は実質神聖不可侵とされ、政府はもちろん地方自治体でも個人の財産を公共の為に収容することは、とてつもない困難の伴うようになった。成田空港にはいまだにバカな農民とそれを支援する極左殺人集団があの空港周辺にバンキョしていて世界第二の経済大国のクセに滑走路もろくろく延伸もできなければ増設も出来ない体たらくとなっている。日本の法律学者は何をしているのだろう。もっと「公共の為」に個人財産を粛々と収容する法理論を整備する義務が彼らにはあるのではないか。彼らの不作為のお蔭でわが国は空港を作るにも道路を作るにもマンションを建てるにも鉄道を引くにも恐ろしくカネのかかる国になってしまった。国民のほぼ全員がゴネトクを良しとするモンスターと化して、公共事業を財産形成のチャンスと看做すようになってしまった。おかげで東葉高速鉄道なんかは隣の駅に行くにも莫大な費用がかかる誠に不便な使いにくい鉄道になってしまった。私有財産権を尊重しすぎると、結局は全員が損をすることになるのである。まあ、「お国のため」と称して理不尽な犠牲を強いられたわが国のことである。羹に懲りて膾を吹くのもやむをえないのかもしれない。同様の経験をしたナチスのふるさとドイツでも土地収用はご法度なんだと仄聞する。しかし、そろそろ戦争の古傷を克服し、「普通の国」に戻って、国家が公共のために粛々と個人財産を召し上げられる国になっても良い頃合なのではないかと私は思っている。
本書の最後にマイケルクライトンの遺伝子操作や遺伝子に対するパテント申請の是非に対する彼のコメントが出ている。これもこれでなかなか読ませる。
紙の本
フィクション?ノンフィクション?
2007/12/01 15:04
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:さあちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
遺伝子にまつわる物語。メインストーリーは自分の細胞の使用権を求めて裁判をおこす男の物語だがそれに様々なエピソードが絡み合い、一見無関係に思えるものまでもが最後は大河にそそぐ川のように大きな物語へとたどりつくそのスピードと存在感はまさに息を付く暇を与えない。また登場人物も多岐にわたっているのでちょっと目を離すと誰だっけ?てなことになってしまうのでまさに一気読みと言う感じだった。
最近話題の遺伝子工学。DNAと呼ばれるタンパク質でてきた遺伝子情報をすべての生物がもっていること。個々に異なっていること。遺伝子治療によって従来不治と言われていたような病気も治せるようになるかもしれないこと。私の知っているバイオテクノロジーについての知識なんてこんなものだ。しかし今や昔はSFでしかなかったクローン動物も出現し人間の細胞から新しい細胞を作り出せる時代。私達の想像をはるかに超える進歩をとげているのだ。あとがきを読んでみるとこの本に書かれているエピソートはほとんど現実に起きたことを基にして書かれているという。
特に興味をひかれたのが遺伝子導入され人間並の知能を持つようになったチンパンジーのデイブのエピソードだ。この本の中でサブストーリーともいうべき話なのだが遺伝子研究の中で偶然作り上げられたチンパンジーである。さすがにこの部分はフィクションであると思われるがしかし現実に動物実験を行っている以上こういった生物動物などは密かに誕生しているのではないかと思わせる。進歩発展のためという名の下に多くの犠牲が存在することを忘れてはならない。
バイオテクノロジーは人類にとってパンドラの箱なのか?大きな可能性を秘めた分野だけにそこには色々な思惑や巨額な利権がからんでくる。そこにはまだ解決しなければならない問題が多い。でも未来は明るいものだと信じよう。そんな作者の真摯な主張が感じられる作品だと思う。