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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2007.10
- 出版社: 白揚社
- サイズ:20cm/282p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-8269-0139-0
紙の本
統計という名のウソ 数字の正体,データのたくらみ
離婚率、平均所得、失業率、病気のリスク…。社会の中で統計数字がどのようにつくられていくかに焦点を合わせ、統計数字について批判的に考えるとはどういうことかを具体的に示す。数...
統計という名のウソ 数字の正体,データのたくらみ
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商品説明
離婚率、平均所得、失業率、病気のリスク…。社会の中で統計数字がどのようにつくられていくかに焦点を合わせ、統計数字について批判的に考えるとはどういうことかを具体的に示す。数字のトリックをあばく統計リテラシー読本。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
ジョエル・ベスト
- 略歴
- 〈ジョエル・ベスト〉カリフォルニア大学バークリー校で社会学のPh.Dを取得。デラウェア大学社会学・刑事司法学部教授。著書に「統計はこうしてウソをつく」がある。
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紙の本
いかにして数字がつくられ、いかに使われるのか、というプロセスをきちんと把握することの大切さ
2008/06/17 23:54
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:拾得 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ここ数年だろうか、「統計」や「データ」の「ウソ」とか「罠」とかという本が少なくないようだ。無色透明なはずの数値が、いかにいいかげんで、ごまかしがあったりするのか、を暴くというのが趣旨らしいが、これだけ増えるといまひとつインパクトをもたない。数字を使ったもっともらしい報道というのは沢山あるので、こうした本を書くネタには事欠かないだろうが、新鮮味もあまりない。読者にとっても大して勉強にもならない。
本書もタイトルだけ見るならば、そうした類書と同列に見える。しかし、原題のサブタイトルに "How Numbers Confuse Public Issues" とあるように、社会問題にかかわって発表される数値が、どのように生み出され、「一人歩き」してしまっているか、というある種「数字のライフサイクル」とでもいえる視点で一貫している。「統計学入門」というよりも、「数字入門」としたほうがわかりやすいだろう。
公表されたなんらかの数字が、政治的立場やイデオロギーによっていかようにも解釈されるというのはよく聞く話ではある。単にそれを指摘するだけで芸が無い。本書の著者は社会学者であるゆえ、統計数値は社会的構成物であるといったテーゼから議論を展開するが、小理屈をこねずに、数字がどのように生まれるのか・どう使われやすいかといったプロセスをうまく一般化しながら丁寧にまとめてくれている。具体的な数字を出されると、ましてや「公的な機関」や各種メディアが発表したりすると、それだけで説得力をもってしまうが、数字にはなんらかの出生元がある、というあたりまえのことを気がつかせてくれるのである。人間にかかわる社会現象を対象にした場合、正確な測定というのはなかなかむずかしい。それゆえ「数値」というのは、測る時の定義や手法、測定者の主観、計算の段階(見積もりか、概算か、実態か、どうか)などといったもので大きく変わるのである。
本書でとりあげられているこの種の最も印象的な数値は、例の「9・11」の死者の数であろう。事件発生後一月内に発表された数値は6453名だ。ただし、これは各方面からの関係者リストを足し合わせたものであったため、重複などを消していくなどすると、一年後の推計は2801人になったという。当初の数字に「作為」があったわけではないが、それはあくまで見積もりにすぎなかっただけである。ただし、この概算をあえて使い続けることには作為があるのだ。
本書でも、タイトルにはやや扇情的な言葉がならんでしまっているのだが、こうした数字ができてくるプロセスに目を向かせてくれる意味で、類書の中でも、シンプルでまっとうな啓蒙書である。結びで述べられている「統計リテラシー」の提起についても穏当なものといえよう。