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運命はまわる
2016/05/07 18:47
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:猫目太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者のヘッセが、一時期送った神学校での出来事。優秀であったはずの主人公が、悩み苦しむ。車輪の回転にように、運命がまわる。最後に悲劇がある。
誰もが経験するだろう、思春期ゆえの悩みか。真面目に勤勉な人間が、陥る苦しみ。当時の教育制度の不備を批判した作品。
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思春期の少年の、細かな心の動きをしつこく客観的に描いた作品。
10代の頃に出会っていたら、すごく救われるか図星すぎて直視できなかったか。
思春期って命がけなことを思い出した。
それとは別に季節と風景の捉え方が秀逸。
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真面目で勤勉で良いことだけを信じてきた若者の行き着く果てが描かれている。過剰な教育に対する批判であり、警告でもある。ひとつのことにとり憑かれた者が如何に盲目で正しい者の声が耳に入らないことか。また、幼少期の教育が如何にその後の人生に影響を与えるかを示唆しているように思える。何度も読み直したい一冊。
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ヘッセの本を読んでいて感じることは、これは自分の体を一度通していることなんだな、ということ。
自然の描写、未発達な少年の心の動き、細やかで、みずみずしい表現が秀悦。ヘッセの眼を通してみると、
こんなにも世界は美しいんだなと感じる。
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2018年43冊目。
「穏やかな川沿いにある牧歌的な水車の車輪のそばで繰り広げられる青春物語」かと勝手に想像していたのだけど、全然違った。「そば」じゃなくて、車輪の「下」。ドイツ語で「車輪の下敷きになる」という言い回しには、「落ちぶれる」という意味もあるそう。エリート教育のなかで瑞々しい感性が奪われ没落していく様を見て、牧歌的だった車輪のイメージが恐ろしいものに変わってしまった。逆に、肉体労働の歯車のなかに入ることで慰みを見出すシーンも印象的だった。「車輪」という言葉のなかに、絶望感と希望感が両方込められている作品なのだと、読み終えて気づいた。ヘッセの本は、『デミアン』以降の、精神世界や東洋思想に傾倒していった後のものしか読んだことがなかったので、新鮮な感覚だった。
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ほんとうによい作品だった。
「中途半端な進学校に行き、入学当初は期待とやる気に胸をときめかしていた体をとっていたのに、根っからの反骨精神やできる人間からの重圧感と不安感、周囲の他人事な期待から来るプレッシャーと勉強に対しての嫌悪、子供時代を思い出して後悔をし、大人になることをためらう上、昔は勉強できたけれども今じゃあとてもついていけてないくせに、昔培った他人を見下す精神はいまだ健在で、口ばっかりの無能になりつつある人間」に是非読んでほしい本の一つ。
勉強と子供であること、趣味に生きることを丁度50:50で生きていたい。自分にとって、その思いがとても強くなる本だった。
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ヘッセの幼少時代を重ね、学校教育・期待に踊らされる少年を描いた作品。
ハンスがどうしたら救われたかはわからないが、幼少期は野を駆け回り過ごすのがよいと思う。
つい期待をかけてしまいがちだが、多感な時期を奪ってはいけないと思うなぁ
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見えない「将来」の為に我慢するよりも、生きてる「今」を大切にしたいと思わせてくれる。詩的な情景描写も◎
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主人公の少年ハンス・ギーベンラートは小さな田舎町の秀才。痩せていて小さくても、他の子より圧倒的に勉強ができるハンスは、親・先生・牧師さん・町中の期待を受けて神学校を受験する。受験のため大好きな魚釣りや川遊びを禁じられ、猛勉強により毎日頭痛を抱えながらも受験には成功し、神学校へ入学する。そこではハイルナーという親友ができるが、彼は問題を起こし退学、ハンス自身も成績が落ち、初めは彼に一目置いていた教師たちからも見放され、退学になる。その後彼は故郷に戻り機械工として新たな人生を始めるが・・・
可愛そうな少年ハンスを抱きしめてあげたいと思ったり、思春期特有の苦しい思いは自分のことのように感じたり、2人の自分がハンスを見ていた。私はちょうど今、思春期と大人の中間にいるのかもしれない。
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児童文学の名作。そんな予備知識だけで読んでみたら、思いっきり、教育批判。作者ヘッセの時代には、生徒の個性を尊重する教育なんて存在しなかった。生徒を枠に当てはめることこそ、優れた教師。金八先生なんてトンデモ教師扱いだ。
都会のエリート教育からはみ出してしまったヘッセの分身、主人公ハンスは故郷へ戻る。そんな彼の劣等感を取り払ってくれたのは、故郷の友人であり、自然だった。
ヘッセは当時の教育に落ちこぼれてしまったものの、その憤慨をバネにノーベル文学賞。ある意味、良い反面教師に恵まれたってことか。
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周囲の期待を一身に背負い猛勉強の末、神学校に合格したハンス。しかし厳しい学校生活になじめず、学業からも落ちこぼれ、故郷で機械工として新たな人生を始める……。地方出身の一人の優等生が、思春期の孤独と苦しみの果てに破滅へと至る姿を描いたヘッセの自伝的物語。
(裏表紙紹介文より)
***
新訳だからか読みやすかったです。
私的にはハンスの父親がハンスを労ってくれてたのがすごく嬉しかった。
学校を退学したハンスに対して厳しく接すると思ってたので。
とても共感できるとこがたくさんある話でした。
共感したうえで頑張ろうと思えるか、共感したまま引きずられてしまうか、微妙なところですが…。
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なんて 弱くそして強いのか・・
昇華できない心の澱は どこに溜まるのか
小学生の時 仲良しの友達から「もう遊ばない」といわれて非常にショックだった事を思い出した。 あのときの澱はいまだに昇華できてないのかもしれない。
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2009.12.12 三洋堂書店購入
ヘッセの自伝的小説。
思春期の苦悩を描き出している。結論がちょっと納得できない・・・。
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前に感想文かくために読んだんだけどあのときは新潮文庫のだったかなあ?なんかすごくむずかしくてよくわかんなかったんだよね
でもこれはやばかった!めっちゃおもしろかった!前半の神学校のところはずっときゅんきゅんにやにやしてた^^かわいいなあ~!
やっぱり男の子同士のキスとかどきどきするよ じょしだもん!
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中学生の頃に母親がこの本を買い与えてくれ(訳者が異なりヘッセ翻訳者として高名な高橋氏であったが)、読んだのが初めての記憶。しかし読んでいる途中は主人公のハンスがかわいそうでならなかった。その感想は今も変わっていない。
好き嫌い関係なく、そしてなんの疑問も持たない(持てない)子供に勉強をさせるのが本当に正しい教育の姿なのだろうか…
私自身も親からの期待を裏切れずに過ごした塾漬けの毎日に嫌気がさし、勉強嫌いになってしまった人間だからそう思うのかもしれない。
やはり今でも読んでいて辛い物語で、結果的にヘルマン・ヘッセという素晴らしい作家を10年以上も遠ざけてしまうことになったのは残念でならない。少なくとも本書はヘッセ諸作の中で、中学生に読ませる本ではないのではないか。親が子供に与える本の大切さはもっと認知されてしかるべき問題だと思う。