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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2008.1
- 出版社: 朝日新聞社
- レーベル: Nemuki+コミックス
- サイズ:19cm/188p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-02-213114-0
読割 50
見送りの後で (ソノラマコミックス 眠れぬ夜の奇妙な話コミックス)
見送りの後で
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紙の本
じんわりと、目頭を熱くして読み終わった。
2008/04/25 10:41
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
寡作な作家です。その昔「COM」という月刊誌があり、多分彼女の作品を最初に読んだのはそこだったとおもいます。「大人になるためには、捨てなくてはいけないものがあるのだ」という、成長の悲しみを描いたものだったと記憶しています。あれ以来数冊しか単行本は読んでませんが、同年代の心を代弁してくれる共感もあるのでしょう、どれも期待を外さない作品でした。
この一冊には、亡くなった人や懐かしい家族の昔を思う話5篇が収められています。
・「見送りの後で」は80を過ぎた母を送った女性が主人公。老いていく親への自分の接し方を反省したり、ぼけたように感じた母親の行動の真意に気付いたりします。葬儀に続く忙しさの中でなかなか泣く閑もないことが立ち直る時間をくれる、という隣人の言葉も、経験のある身には実感として感じられました。
・「星に住む人々」は幼い頃なくなった姉を思い、両親の経験を思う話です。
・「風のささやき」では大学紛争時代の、働くことに悩む女性が主人公。
・「また明日、ネ」では隣の空き家に自分の作り出せなかった家庭、思い出の家庭の幻聴をきく独身で働く女性が描かれます。
・「柿の木のある風景」には幼い頃引っ越した先の隣家の三代の変遷が、さまざまな思い出の回想という形で語られます。
暗くなりそうな題材を含んでいるのに、どれも彼女らしい明るさで静かにまとめられています。最後にじんわりと、目頭を熱くして読み終わる漫画作品でした。
20年ぶりの新刊、とのbk1書評を読み、購入しました。書評をみなければ、気付かなかったところです。書評欄に感謝。
紙の本
深い味わいをたたえた名作
2008/03/24 21:57
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:関 智子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
樹村みのりさんの作品を最初に読んだのは、小学校時代。りぼん誌上だったと思う。
生活の中で漠然と感じていた心の澱のようなものを、等身大の子供の視点のまま明晰に形にした作品は、子供であった私自身にとって虚を突かれた感じで深く心に残った。
高校生ぐらいになって、意識して樹村さんの作品を読むようになると、樹村さんがプロデビューした中学生時代(!)からその作風が一貫し、完成度が高かったことを知り、更に驚いた。
約20年ぶりの新刊であるこの本の作品も、(自然の成り行きで視点が年相応のものになっているものの)、人生の基本的なことへの洞察力を失わず、深い味わいを湛えたものになっている。
「見送りの後」での母親の描写や捉え方、「柿の木のある風景」の二軒の家と家族の時系列に沿った丁寧な描写は見事。名作です。
最後のページまで読んだ時、ふいに涙が出ました。