ラジオの戦争責任
著者 坂本慎一(著)
なぜ当時の国民は太平洋戦争を支持したのか? この根本的な疑問に答えるために、本書では、戦前戦中のラジオ放送にかかわった五人の人物を取り上げる。労働=修行の思想を説いた高嶋...
ラジオの戦争責任
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商品説明
なぜ当時の国民は太平洋戦争を支持したのか? この根本的な疑問に答えるために、本書では、戦前戦中のラジオ放送にかかわった五人の人物を取り上げる。労働=修行の思想を説いた高嶋米峰と、それを引き継いだ友松圓諦、受信機の普及に情熱を燃やした松下幸之助、「大東亜共栄圏」を広めた松岡洋右、玉音放送の真の仕掛け人・下村宏。これまで見過ごされていた「声の文化」の歴史的影響力を真正面から検証する。昭和天皇の「終戦の御聖断」の内幕も新資料から明らかに。当時世界最強のマスメディアの功と罪。 【おもな内容】(序章)世界最強のマスメディア・日本のラジオ/(第一章)「超絶」の演説家 高嶋米峰/(第二章)時代の寵児 友松圓諦/(第三章)熱意の商人 松下幸之助/(第四章)希代のラジオ扇動家 松岡洋右/(第五章)玉音放送の仕掛け人 下村宏/(終章)昭和初期ラジオの功と罪《あの戦争はラジオに始まり、ラジオに終わった!》
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ラジオという新しく登場したメディア発展のガイドブック。
2010/01/24 23:28
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:浦辺 登 - この投稿者のレビュー一覧を見る
高嶋米峰、友松圓諦、松下幸之助、松岡洋右、下村宏というラジオにかかわった五人の人物の評伝に近い形でのメディア論だが、著者の年齢からして、真空管ラジオとは無縁の世代がラジオという新しいメディアが果たした役割を述べているところが斬新だった。
表題に戦争責任という言葉があるために、ラジオ放送やラジオ製作にかかわった五人を糾弾する内容なのかと思いきや、そうではなく、淡々と事実を列記しているので読みやすい内容になっている。
ラジオ放送という新しいメディアを日本人が受け入れていった背景が、プライバシーの無い住環境であったこと、情報を共有する社会であったことを提起しているところに、視点の新しさを感じる。
毎年、終戦記念日にはお馴染みの昭和天皇の玉音放送を耳にするが、あのラジオ放送の仕掛け人である下村宏を第五章に持ってきたのが良かった。その前の第四章に松岡洋右を持ってきているので、なおさら、インパクトが強い。
できれば、ラジオ放送を最初に企画した後藤新平も入れたらば、日本という国がラジオ放送をどのように拡大発展させ、どのように国策に利用しようとしていたのかが分かって良かったのではと、少し残念。
また、出身地の山口県以外にも東京青山霊園に松岡洋右の墓があるが、ここで、彼が意外にもクリスチャンであったことが分かると、国際連盟脱退の演説で十字架のキリストを持ち出した思想の背景もうかがえて良かったのではと思う。
いずれにしても、インターネットの登場で新聞、ラジオ、テレビなどの媒体の在り方が再検討されているが、その資料として一読しておいても損はないのではと思いました。