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紙の本
鬼のすべて 長編推理小説 (光文社文庫)
著者 鯨 統一郎 (著)
警視庁捜査一課の刑事・渡辺みさとは、友人の若江世衣子の死体を発見する。あたかも鬼に見立てられた死体を…。直後、新聞各紙に鬼と名乗る犯人から犯行声明文が送られてきた。鬼の意...
鬼のすべて 長編推理小説 (光文社文庫)
鬼のすべて
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商品説明
警視庁捜査一課の刑事・渡辺みさとは、友人の若江世衣子の死体を発見する。あたかも鬼に見立てられた死体を…。直後、新聞各紙に鬼と名乗る犯人から犯行声明文が送られてきた。鬼の意味するものは何か?「日本から鬼を消す」という言葉を残し警視庁を去った男・ハルアキとともに、みさとは鬼の正体を追うが…。連続殺人と伝奇を見事に融合させた傑作推理。【「BOOK」データベースの商品解説】
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紙の本
ミステリのようなミステリじゃないような。それにしても「鬼」とは不思議な存在。
2010/09/02 08:21
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みす・れもん - この投稿者のレビュー一覧を見る
今まで読んだ著者の作品は全て短編集だった。初めて読んだ長編。コミカルな雰囲気が消え、シリアスなタッチになっている。しかし、鯨統一郎氏らしく、本筋以外の情報(今回は「鬼」について)は盛りだくさんであった。民俗伝承上の「鬼」とは、一体何を表しているのか。それをいろんな立場の登場人物が、いろんな角度から述べていく。いずれもそれらしく、興味深いものだ。やはり、著者の知識の範囲は幅広い。
「鬼」が存在するのは日本だけではない。というより、日本が発祥ではないようだ。人類が文明というものを築き上げた瞬間からそれらしきものは登場しているらしい。それが姿を変え、形を変え、日本に伝わってきたときには・・・。
探偵役:ハルアキの本名は阿部清明。陰陽師の安部清明の子孫だという。そのため、ハルアキは鬼退治を自分の使命だといって警視庁を辞めていった。民俗学の視点から「鬼」を眺めていく彼の言葉は興味深い。
ハルアキが思う「鬼」の正体。それは悲しく切ないもの。それは昔話でもそうなのかもしれない。雪女だって、本当は悲しい女性ではなかったか。「鬼」とは強さの象徴ではなく、悲しみの象徴かもしれないとも感じた。
本書では殺人事件が起きる。そしてそれを解決しようと、主人公である渡辺みさと刑事が走り回る。結果、ハルアキの助けを得て、解決される。ミステリのようだ。けれど、ミステリとは少し違う。動機の情報などの開示がアンフェアだ。これでは読者は謎解きができない。だから、ミステリではない。だからといって、面白くないわけではなく、非常に面白かった。ミステリとしての要素以外の部分が面白いのだ。鯨作品らしい。