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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2008.8
- 出版社: 洋泉社
- サイズ:18cm/271p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-86248-309-6
紙の本
環境活動家のウソ八百 (新書y)
著者 リッカルド・カショーリ (著),アントニオ・ガスパリ (著),草皆 伸子 (訳)
環境活動家たちの行動背景には、「優生学」思想や途上国の発展抑制、バースコントロールといった意図が隠されている! 地球温暖化、森林破壊、人口過剰などで、扇動的災害論を振りま...
環境活動家のウソ八百 (新書y)
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商品説明
環境活動家たちの行動背景には、「優生学」思想や途上国の発展抑制、バースコントロールといった意図が隠されている! 地球温暖化、森林破壊、人口過剰などで、扇動的災害論を振りまく環境活動家たちの矛盾を徹底検証する。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
リッカルド・カショーリ
- 略歴
- 〈リッカルド・カショーリ〉1958年イタリア生まれ。CESPAS(人口、環境、開発に関する欧州研究センター)所長。
〈アントニオ・ガスパリ〉1955年イタリア生まれ。バチカン教皇庁レジーナ・アポストロルム大学大学院教授。
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紙の本
ローマ・カトリックは地球環境を救う・・・・?
2008/08/10 18:46
9人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:越知 - この投稿者のレビュー一覧を見る
原著者二人はイタリア人である。タイトルからは、グリーンピースやWWFといったいわゆる環境保護団体の欺瞞をあばいたものかという印象を受ける。たしかに第4部はそうした内容なのだが、全体としてみると本書はだいたい3つの部分から成っている。
*
(1)「地球環境は危機的だ」「こうすれば地球にやさしく生きられる」といった俗説の誤りを批判している部分。日本なら武田邦彦氏などの本と類似している。
(2)ローマ・カトリック側からの正しいエコロジー認識の訴え。特に環境保護団体の持つ優生学的・人口抑制的・左翼的な主張への論駁。
(3)グリーンピースやWWFといった環境保護団体の内幕暴露と批判。
*
さて、私としては(3)を求めて本書を読んだわけだが、そして色々教えられるところもあったのだが、分量的には物足りない印象が残った。ただし、日本では現時点では環境保護団体の内幕を暴いた本はほとんど出ていないから、とりあえずの参考にはなるだろう。
例えばグリーンピースである。この団体は運営が民主主義からは程遠く、しかもカネの流れがきわめて不透明であり、どうやら運営している一握りの人間が左うちわで暮らせるように行動しているとしか思われないという。「グリーンピースのカネが環境のために使われていると考えるのは間違っています。幹部たちはファーストクラスに乗って旅行し、最高級のレストランで食事し、優雅なエコ・セレブの生活をしているのです。……クジラのことで大騒ぎするのは、そうすれば儲かるからにほかなりません」と述べるのは、一時期グリーンピース・ノルウェーの会長を務め、運営について公の場で議論しようとしたために追放された人物である。
WWFにしても、大企業の経営者が理事の多くを占めており、自然環境の保全を訴えても、自分の経営する大企業が環境を汚染している問題には口を閉ざしているという。
次に(1)だが、ここも読んでおいて損はないだろう。もっとも上述のように日本でも武田邦彦氏などがこの手の本を出しているので、さほど目新しい感じはしないが、地球全体で森林資源は増加しつつあるので木を切ることを敵視するのはナンセンスであるとか、温暖化は危険だというけれど過去の地球には今以上に温暖化した時期があったし、寒冷化した時代よりも温暖化した時代の方が文明は栄えていたという指摘など、参考になる部分がそれなりにある。
最後に、(2)なのだが、これは多分日本では本書でしか知り得ない部分であるかも知れない。バチカンが環境保護問題にいかなる態度をとっているかが、一読、よく分かるのである。と言うと、何それ?と思う人も多いだろう。実は本書の著者二人は、ローマ法王庁立の大学――というものがあるのだ――レジーナ・アポストロム大学の教員であり、本書はローマ・カトリックの立場から環境問題に関して正しい認識を持てと訴えた本なのである。ローマ法王庁は単に信仰のみを訴えるにとどまらず、シンクタンクを有し、科学と信仰の両面から世界に情報を発信して、自らの威信の維持に努めているのだ。その辺の事情は訳者あとがきに詳しい。
したがって、本書が優生学批判から始まっているのも当然と言える。なぜなら優生学は人口抑制政策とつながっており、バチカンが妊娠中絶を今でも認めていない以上、不自然な――バチカンからすれば――形での人口抑制やバースコントロールは到底容認できないからである。本書では、優生学と反体制左翼主義とフェミニズムのアマルガム的なイデオロギーが、誤った環境問題認識の張本人だとして槍玉に挙げられている。なるほどとも思うけれど、いかにもカトリックらしい護教的な書き方には、やはり普通の日本人として違和感が残る。この辺はまあ、距離をおいて読んでおけばいいだろう。
なお、優生学というとナチズムを思い出す人も多いだろうが、本書でも多少触れられているけれど、優生学は「ファシズム」国家だけでなく、北欧やフランスなどの「民主主義」国家でもかなり積極的に受け入れられたのであり、近代主義と切り離せない関係にある。その辺の事情について知るには、本書の断片的な記述よりも、米本昌平ほかの『優生学と人間社会』(講談社現代新書)をお薦めする。
また、エコロジーとは、本来的には自然環境保護のことではなく、地球上の生態系のことであり、この概念の提唱者であるエルンスト・ヘッケルはここから生物同士のヒエラルヒー(上下関係)や人間同士のヒエラルヒーを打ち出したが、後者はユダヤ人を劣等民族と位置づけ虐殺したナチズムとつながっているのである。この点についてはボリア・サックス『ナチスと動物』(青土社)を参照されたい。
紙の本
日本人が書いた本とはちがう視点を提供してくれる
2008/12/01 22:13
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
武田 邦彦をはじめ,数人の日本人が環境問題に関する主流の議論に異をとなえる本を書いているが,この本はバチカンの大学教授が書いたものだという.そのため「正しいエコロジーとは何か」などの点でキリスト教の影響がつよく,日本人にはうけいれがたい部分もあるとおもわれる.また,論旨に疑問の点も多々ある.
しかし,人口増加や優生学と環境保護運動とくにグリーンピースや WWF との関係など,日本人が書いた本とはちがう視点を提供してくれる.地球温暖化の問題はもちろんとりあげられているが,ほかに森林破壊,種の消滅,遺伝子くみかえ,大気汚染などの問題もとりあげられている.環境問題をひろくとらえるためには,参考になる 1 冊である.