紙の本
だから歴史は面白い
2009/04/18 00:13
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:さあちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
明智光秀というと本能寺の変をおこしわずか三日天下をとっただけで秀吉との戦に敗れ最後は名も無き雑兵によって打ち取られたというのが私の最大の知識。そんな薄っぺらな光秀像に血と肉をつけた人間にしてくれたのがこの作品だ。
いままで世間に多く流布されていた明智光秀像は勝者である側からしか語られてない。しかし見方を変えることでこれまで歴史上の出来事がまったく違うものに見えてしまう。もちろんこの作品に描かれていることが真実であるわけではない。歴史上の事実はかえられはしないが見方によって変わる万華鏡の様に視点を変えることによって色々な光を放ってくれる。
この作品でも一人の忍の目を通して光秀はもとより多くの歴史上の人物が登場する。よく知られた戦国絵巻だが作者の新しい調理法もまた美味である。
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下巻はミステリー色がぐっと濃くなって面白かった。
本能寺の変がクライマックスかと思ったら
意外に通過点だった。
フィクションながらも史実に疑問を投げかける作品だが
その中でこっちは完全フィクションだろうけど
やはり小平太の物語に特に惹かれた。
【図書館・初読・10/30読了】
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語り部の語りが挿入されているのがどうも最後まで馴染めなかった。
両方のファンだけどつい隆慶一郎と比較してしまう。
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天海僧正は明智光秀であったという、第15章が出色。
秀吉は山崎の合戦で勝利した後、直ちに日吉大社の再建に取りかかった。
天下布武には自らを神と称すべきと思い、目をつけたのが猿を神獣とする日吉大社、自分の幼名を日吉丸と称した。
日吉の山王七社には樹下(きのした)社もあり、木下と名乗って天下を治め、神の子である証とした。
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面白かった。
明智光秀の生涯について。
改めて明智光秀という人物に興味を持ったし、史実がこうであってほしいとも思った。
のぼうの城を書いたときに、オールスターと言ったが、それなら今回はスーパースターばっかりだった。
大河ドラマにはならずとも、1クールのドラマで実写化してほしい。
明智光秀には唐沢敏明にぜひとも!
もともと明智光秀が好きなので贔屓目にみて星5つになりました。
真保 裕一の作品、他にも読んでみたくなりました。
今度イタリアにも行くのでアマルフィかな。
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真保さんの作品の主人公っていっつもめっちゃかっこええ〜やけどこれもその例にもれず、
明智光秀っていままではあんまりいイメージがなかったんですが180度変わりました。
覇王とは信長のことで光秀はまさしく番人。
なぜ光秀が本能寺で信長を屠らなければなかったか?
真保さんなりの新解釈にうならされました。
また光秀とその忍び小平太とのインサイドストーリーもなかなか読ませてくれます。
ただラストがちょっと弱いのがちょい残念な気がします。
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明智光秀が本能寺の変を起こし
信長を討ち取り、秀吉に討たれることは
史実として知っているので、読み進めることは辛くもあったが
フィクションならではの希望が感じられるラスト。
史実とつき合わせても、「あり得ない」ではなく
「もしかしたら本当にそうだったかもしれない」
と思わせてくれるフィクションぶりが 流石真保さんで
これが事実だったのではと半ば本気で思った。
そこには救いがあった。
歴史は勝者が語るもの。
なればこそ、史実こそが作り話かもしれない。
事実だとされていることも、人が伝えたこと。
人は多くの場合、冷静に公平に見ることが出来ず
自分の立場や利益や感性に任せて伝えることもある。
歴史小説の中には、ただのミーハー心や
作者の妄想に近い希望ばかりが盛り込まれていて
見ていて不快であったり、子孫の方の心情が心配になるものも多々あるが
この小説はそれぞれがそれぞれに魅力的に描かれており
その上で真保裕一個人の感性で立ち入りすぎもせず
『こうだった』と断定するのではなく
『こうだったかもしれない』とする筆者の弁えぶりとセンスの良さ
はたまた読者の想像をかきたてる描き方には脱帽。
これが物足りないと感じる人もいるのだろうが
私はひたすらに、好感を持った。
歴史上の人物は夢物語のヒーローではなく
実在した人物ということは、意外と見落とし勝ちな事実で
作家や歴史家先生でも平気で土足で踏みにじるようなまねをすることもある。
そういった点が全く無かった、と言って良いと思う。
個人的に興味があったかごめかごめの歌の『謎』など
さらりといろいろな説が取り込まれており
この小説に感動するだけでなく
史実を学ぶことへの興味ももたせてくれる
素晴らしい歴史小説と言えるだろう。
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途中に【本能寺(上)】を挟んでしまったので、どっちがどっちのエピソードか混乱しながら読んで行く羽目になりました。
結論を申しますと、
本能寺の変の黒幕はサルでした。更にその裏から手を回したのは細川藤孝。
どうなのよそれ?!
とゆーカンジですが、この本の中ではとてもシックリいってましたよ。この本の中(=真保本と言ってしまえ)のサルはとにかく狡猾。頭を下げるのはタダだからいくらでも下げる。そして人懐っこい演技をし、当人が背を向ければ舌を出す。天下を獲ることしか頭にない。みないな描写でした。
本能寺での殿の描写はありませんでした。
当然ですが、日向守(光秀)と殿の邂逅などありえるはずもなく…。(←それは【戦国無双】だけの世界だ)
情報係より「奥に下がり火を放ちました」「遺骸は見つけられません」の報告だけで終わりました。
呆気ないね殿……。
そして、日向守は天海和尚として江戸幕府のブレインとなるのです。
↑真保さんがこの説を採るとは思ってもいませんでした。
天海和尚が明智の桔梗紋だったという噂は知っておりますが、マユツバすぎて好きではない説なのです。まさか、真保さんが採用するとは……。
その為の布石は敷いているのですよ。日向守が狸の為に助命するためにそれとなく手を回したり、助言したり。
真保さんは某小説の日向守の凡才な描写が我慢ならなくて描いたと言っています。
確かに凡才ではなかったと思いますが、かと言って取り立てて頭が良かったとは思いません。あの時代に孔明や仲達のような軍師はいませんでしたからねえ。人の裏の裏を掻かなければ頭が良いとはいえないし、軍師とも言ってはいけない。(本当に頭が良かったら藤孝の裏切りは気付かなればいけない)
これも一つの明智光秀像でしょう。と思わされた本でした。
殿の描写は途中から「外道」と言われる様になります。最後の最後まで殿について天下布武を為そうという目的に邁進していたように描かれているんですけれどね。どこで「謀反」という言葉を思い出したのか、その辺の描写は不足気味に思えました。いきなり殿が悪人に豹変したような描写でした。
人物の描写はお上手です。さすが真保さんです。登場人物多すぎて書ききれなかったところもおありでしょうが、途中までの殿(←途中からの殿を詳細に描写しては謀反への布石に支障を来たす為遭えて描かなかったのだと思います)、光秀、光秀子飼いの忍である小平太の描写は詳細で読み応えありです。
そして帰蝶はえらく引っ込み思案な正室のまま終わりました。(←こんなの帰蝶じゃない)
真保本の中ではこういう位置にするしかなかったのだと思いますが。
日向守に思い入れも概念もないので、これもアリちゃう? とゆートコロです。
殿に関しては、まぁ、いんじゃね? 台詞を小杉VOICEで読めなかったのは減点ですが……。
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上巻に比べると、勢いが足りない気がするのは
登場人物達がトシとったからなのかシラ?
史実ミステリとして読む分にはいいデスけど
真保さんファンだから、と読むには少々しんどいかも。
とは言え、
あの信長さんが、まじめひとすじと言われる人物を重用したのはなんでかな?
そういう積年の((?◇?))に対するひとつの答えとしては面白かったデス。
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この時代の女性たちの受け答えの仕方がとてもステキだと思う。光秀の妻。一を聞いて十を知り、二十を答えるみたいな。阿吽というのか、頭が良いなぁと感心する。
それと。この本以前読んだことがあるかもしれない、と本能寺の変に入るころやっと、裏切ったのってあの人じゃなかったけ?と浮かんできた。忘れすぎ、私ww
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名言
①信長がうつけを通した理由は大人の値踏みをしていた。我をはって孤立し真に頼りとなるものを見極めていた。
②人をうまく使うばかりが名将ではない。誠の将とは孤独なもの。
③考えてこそ人
明智光秀と忍びがメインの話。織田信長に仕えるまでの経緯が記載されており大変面白い。この作者もそうだが心理状態を詳細に描写する様はすごい。信長の先を見通す能力を見事に描ききっている。普段行き当たりばったりで行動している自分は反省しきり。長篠合戦を終えこれから天下統一に後半は向かう。忍びの心の葛藤が最後どうなるか見物。
安土城でのもてなしが家康暗殺を狙いにしていた事と細川藤孝が秀吉と裏でつながっていたのは面白い視点かな。光秀を終始慈悲深いが故に最後裏切られたあたりは分かりやすいかも。光秀が生き残って家康の参謀として支えた説は面白い。でも信長暗殺にいたるプロセスが本作者には珍しく雑な気がする。
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下巻になって、光秀の苦悩が伝わってきたので、ポイントアップ。しかし、信長、秀吉は嫌な奴だなあと、つくづく再認識。
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明智光秀を待ち受ける苦難と絶望の日々を徒然なるままに。
かなり無理をして読んではみたけれど、いつまで経っても面白いと感じる場面が現れなかった。途中で投げ出してしまった。物語の設定は面白いと感じるけれど文章が悪いのか、私の想像力が足りないのか、まるで2,3人が登場する紙芝居をみているようなイメージでずっと話が進んでいった。
明智光秀がいい奴だという設定はいい。でも戦国の世に生きた人間の思考がこんな風に軟弱でナヨナヨしているというのは、どうにも腑に落ちなくて、まるで現代の中間管理職の日記でも読んでるような気分。
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薦められたので読んでみました。
うーん、ちょっと光秀、格好良すぎないか。
こーんなできたお殿様ちょっと胡散臭いなぁ。
と、上巻で思ってしまいました。
で、下巻に入ると、あれよあれよとあの事件に・・・ふむ。
個人的に、私は信長のこと嫌いじゃないんだなぁ。
だから、信長の暴挙から体を張って民を守ろうとした賢臣・光秀の図がいまいちぴんと来ないのです。
別に光秀を愚かだと言いたいのではなく、
どちらかが正当化されると歴史は面白くないんじゃないかなと思うのです。
せっかく薦められたんだけどなぁ。
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正直、忍者が斥候程度のものなのかそれ以上の存在なのかには疑問符がつくが、物語としてはよくできていた。ハードカバー二巻一気読みは初めてで引き込まれた。
大河ドラマなどでは明智=悪者の図式が成り立っているが、明智の才能に重点を置いていることに好感が持てる。
但し、明智・天海説はやっぱり無理があるのではなかろうか。