紙の本
経済や政治のニュースが理解できるようになるかも?
2008/12/27 19:02
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:れごぼく - この投稿者のレビュー一覧を見る
副題の「経済学で日常生活を読み解く」のとおり、日常生活に関する様々な疑問を経済学の観点で、その理由を説明しようという内容です。
例えば、アメリカでオーラル・セックスをする高校生が増えていること、都市部の空洞化現象や、人種差別がなかなかなくならない問題などについて、どういう合理的な決断があって、今の世界の出来事をが起こっているのか解き明かして行きます。
経済学というと、価格決定のメカニズムなど経済と直接結びつく話題が多いのだと思っていましたが、経済学が扱う考え方は人の日常生活のあらゆることに応用できるのだと理解できました(もともと経済学は人間の意思決定の仕組みを探る学問でもあるのでしょうね)。
本書を読んだ後は、政府の政策やニュースに関しても、「人々にどういう意思決定を促そうとしているのか?」という視点で見ることができそうです。
紙の本
借りてきた言葉に説得力を感じない
2009/06/30 21:59
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
正直言って半分くらいで読むのをやめました。時間がもったいない。人間の経済的行動が合理的判断に基づいて行われていることを、様々な人の研究を紹介することで説明しようとしているのだけれど、本人が芯から理解しているかどうか分からないことをもっともらしく語られたところでちっとも心に響かない。底が浅く感じる。
同じ様な内容の本を読むならば、この中でも取り上げられている「ヤバイ経済学」を読んだ方がまだ良い。あちらは一応、最後まで読ませてくれる。
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合理的であるがために無知。その事柄
に対して時間労力金を注ぐ価値があるか
どうか。インセンティブで説明。
人は予想どおり不合理であり、意外に
合理的でもある。
ズームアウトして見てみれば合理的、
ズームインしてみてみれば不合理。
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心理経済学が、いよいよ脚光を浴びてきました。この本では、経済だけではなく広く社会問題にスポットを当てて書いてあります。一読では、読みにくいところもありますが興味深く読めました。このような本が早く日本でも書く人が出ることを願います。やはり、イギリスやアメリカの事例ではピントこない部分がありますから。
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第1章 日常生活に潜むロジック
第2章 ラスベガス
第3章 離婚は過小評価されているか
第4章 どうして上司は給料をもらいすぎているのか
第5章 居住区にて
第6章 合理的な人種差別の危険性
第7章 ギザギザ化する世界
第8章 合理的な革命
第9章 100万年のロジック
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さて、この本で一章を裂いて「合理的な人種差別の危険性」というテーマが書かれています。基本、アメリカ黒人についての話なんだけど。
要するに、生得的な能力に人種間に差がなく、「黒人嫌い」というような不合理な差別意識が雇用側になかったとしても、黒人労働者は教育を受けることをやめ、雇用者は黒人をなるべく傭わないよう、負のスパイラルが起きてしまう可能性とそのメカニズムの話がありまして。
さらに、「白人の真似」をするやつは嫌われるというシステム、「勉強好きな黒人の子供は仲間から徹底的にいじめられる」という背景にも残酷だけどある種の合理性がある、どんよりする話が載っている。
一応念のため、この章の最後には(とてもアメリカらしい)希望の種も乗っています。しかしこの希望の種は日本では、特に現代日本では成立しにくい要員があるので、ますますうんざりできます。
という章を読み終わった後で、Twitter読んでいたら姉と知人がこんな会話をしていた。
* 「そえば小学校高学年の頃の勉強のできる女子には、独特の「優等生やってらんねーなあ」的アンニュイ感があって、あれはよかった。萌える。...」
* 「彼女たちが向かった高偏差値の私立の女子高ってのは、シェルターだったのかもしれないな。」
ああそうだった、日本の場合、自縛的に発生してしまう最も顕著な差別は性差だった。
昔から分からないことがあって、少なくとも僕は自分の周りにいる人たちを見る限り(まあなんていったって妻はどう考えても僕より優秀なエンジニアだ)、 Computer周りの作業をさせたりさせたときに、女性が男性よりも優れている理由はあっても、劣っている理由はあまり見つからない。ただ単に人口が少ない。
この前中3相手に教えていて改めて気づいたのだが、「それが分かるか分からないか」以前に、コンピュータに関する話と言うだけで、女子の一定層が "It's not my business!" 感を醸し出しているような気がしたのだ。
気がしただけなのか本当にそうなのか、合理的に説明できるような統計は取っていないので、印象論なのですが、コンピュータに限らず、「理系に女子が少ない」のは、「理系に女子が少ない」から。「女性の社会進出が進まない」のは、「女性の社会進出が進んでいないから」というような、自己完結的な説明と、それを裏打ちする自縛的なコミュニティによる同調圧力がかかってるせいなんじゃないのか、という仮説がだんたん重くのしかかってくる。
勉強をすること、特に理系の勉強をすることが「男の子の真似」というような明示的な揶揄をされることは少ないとは思うのだが、「女の子のくせに」というフレーズであれば、まあ馴染みがあるでしょう。
ちなみに、ちなみにその続きで知人がtwitいたのだが、
「子供の頃、いじめられるのって真っ直ぐっていうか純粋っていうか不器用な子じゃない?勉強できるできない関係なく。真っ直ぐ学問にうちこんでる人もその中に含まれるかもしれないけどー...」
まあ、そうなのかもしれず。要するに自分の知的能力を「空気��読む」事に振り向けているほうが、短期的な生きやすさに圧倒的に寄与する。それをしないですむのは、「空気を読んでかつそれを無視して自分のしたい方向に空気を作れる」HPとMPを持つ革命家か、「空気を読んでないと言われてるのを無視して、自分のしたいことに熱中できる正負両方の鈍感さ」を持つ魔法使いしかないのだろうか?
となると、シェルターとしての私立女子校は一種のアフォーマティブ・アクションとして機能して居るんだろう。一次逃避には有効だろうけど、中期手に社会全体にとっては逆に足かせになってしまう可能性もある。
まあいろいろ考えつくんだけど、この章の「黒人」を「女子」だと思って読んでみると、気味が悪いほど一致するような気がするんだよ。そして、その事がものすごくこの社会を僕にとって生きにくくしているような気がして成らないんだよね。
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人の日常の生活は、意外とそれなりの合理性があるのだということを解説している。
まず、若者のオーラルセックスが増えた訳を、性病予防の観点から解説する。
また、黒人と白人の就職率の違いについても行動経済学の観点から解説する。
しかし、訳文のため読みづらい。また、内容も自分の仕事からすると若干関係が薄いため、関心が続かず。途中で読み止める。
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雰囲気は「ヤバい経済学」とよく似ている。社会のさまざまな事象について、実証データから経済学的な考察をするというアプローチ。ただ「ヤバい経済学」が実証研究の有効性に重きを置いているのに対して、こっちは人間の行動の合理性というものを前面に押し出しているのが大きな違い。
経済学が批判される(とくに経済学以外の分野から)一番の理由の一つは、やっぱり”人間は合理的”という仮定を置いていることにあると思う。”合理的”というのは、情報を正確に解釈していつでも自分の選考にあった適切な意思決定ができる、ということ。周りを見まわしたって、いつでも合理的な人なんていなくて、誤ることもある。そういう、実際の人の姿からは大きくかけ離れて非現実的に思える。それに、いつでも合理的な意思決定をする人、というのはなんだかとても冷たい印象を受ける。そういう、非現実的で冷徹な人間観を中心にして理論を組み立てている(しかも金の話ばかりする)経済学なんて信用できないと考えたくなるのも分からなくもない。
それでも経済学が”人間は合理的”という仮定をつかってきたのは、経済学者が人間を理解していないからでは全くない。現実のひとりひとりの人間とはかけ離れていると知った上で、経済事象の分析を容易にしてくれて、しかもそれが現実と一致するから使っている。そういう非現実的(見える)仮定から現実を分析できることは、たぶん経済学を知らない人からしたら信じられないかもしれないけど、まぎれもない事実だということがこの本を読むとよくわかる。
【メモ】
・経済学者は価格に関する情報を使うが、経済学者に取って本当に大切なのは、私たちがする選択であり、私たちが持っている価値観である。
・愛に不合理なところなどなに一つない
・人は間違いを犯すが、よく知っていることをする時には間違う危険性は低くなる。だから合理的選択理論が世界を理解するツールとして支持される。
・人々はたいてい賢い選択をするが、人々によりよい選択肢を提供することは可能である。
・フォーカル・ポイントとは、有る均衡点に達するか、別の均衡点に達するかという大きな違いを生み出す小さな事柄である。
・通信技術は対面での接触を代替するものではまったくなく、むしろそれを促すものだとしたらどうだろう
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人を突き動かすものが合理的な思考であったり、不合理な感情であったりする。この書の場合は前者のものであり、日常を異なる視点で解き明かしている。
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・予想どおりに不合理パクったタイトルで便乗か出版社セコいなー
・と思ったら作者自身が乗っかってたー!
・けどまあ面白い話たくさんあった
・合理的なのだって言い切ってるだけなんだけど
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経済学部こそ読むべき本かと。
こんな面白く、研究をアウトプット出来る才覚に驚かされる。
内容を自分でどう活かすかは、あまり考えつかない。むしろ、日々の思考様式に影響を与える書物だろう。
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私のブログへ
http://pub.ne.jp/TakeTatsu/?entry_id=3616262
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昨年から読書会に参加するようになり、経済学のそれなりに分厚い本を読むようになりました。といっても経済学を体系的に学んだこともなければ本職でもなく、それゆえにもっぱら読み物的なものしか読んでおらず、素人に毛が生えた程度ではあるのですが、この本はそれなりにおもしろく読めました。
経済学の理論といえば、現実にはあり得ない制約や単純化がなされた市場モデルや、難解な数式の羅列というイメージがありますが、本書で取り上げられるのは日常生活の中の、およそ経済学とは関係のなさそうな問題であり、数式を全く使わずに人の行動を解いていきます。
経済学のモデルでは人間は完全に合理的な判断を下す前提ですが、実際には趣味嗜好もあれば感情もある。そのため不合理に見える判断を下すこともありますが、実は不合理に見えるという私たちの常識のほうを疑うべきだ、というのが、本書全体を通した考え方と言えるでしょう。
さて本書、1章がいきなりセックスの話なので、読んだ矢先にどん引きする人もいるかもしれません(しかも2章がギャンブルの話だから、なおさら)。ですがセックスもギャンブルも経済学の理論から、常識に反すると思われる行動が実は合理的だったということを導いています。
後半の、都市と農村(人口過密と過疎)の問題は、自分の経験としてよくわかります。2009年に、自分は徳島から東京に転職し、住まいも埼玉に移しました。元の仕事が嫌だったということはなかったのですが、東京という大都会が持つ強い魅力――多くの人に会え、刺激を得て、知識を獲得すること――にとりつかれ、住宅や通勤の環境が悪化することは受け入れることができました。
それと同じことが、多くの人の身に起こっているのだというのがわかります。交通網の発達とインターネットの普及で、地球のどこにいても同じものを食べ、同じ情報を得ることができます。ところが実際には生きた情報を得るため、人の多いところにさらに人が集まってきます(交通網の発達により、移動も楽になったことも理由でしょう)。これが、都市がさらに発達し、農村がますます過疎化するロジックです。
こういった、一見不合理に思えることが実はそうではない、ということが、経済学の立場から見えてくるというのは、非常に示唆に富んだ話だと思います。
先日のブログにも書きましたが、大相撲の八百長問題を経済学的に研究する人はいないでしょうか。
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67冊目。合理的であるとは、「インセンティブに反応すること」だと筆者はいう。一見不合理に思えてしまう人間行動をの裏側を、インセンティブ論で解き明かす本。
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日常のトピックを経済学で読み解く内容。原題は「The Logic of Life」こっちの方が内容のイメージに近いかも。一見不合理にみえる人の行動もそのメカニズムを紐解くとそれぞれにおいて合理的な判断をしている、という話。もちろんそれぞれの合理性を積み上げた社会が合理的ともハッピーとも限らない、とも。
人種差別について論じた章では、求人シーンにおける人種差別について、選考者はただ「効率」の観点でのみ白人と黒人を区別しているということを実験で証明し、またその状況が黒人にとって努力するインセンティブを下げて負のスパイラルの構造になっている、と言っている。一方で白人と黒人の統合が進んだ都市では経済が活性化されている、これが人種隔離を是正するカギだと。
差別や犯罪などの人間の負の行動を合理性とインセンティブで捉えて、ルールチェンジで是正しようとする(ex.刑務所をつくって犯罪を”割りに合わなくする”)という発想はいかにもアメリカらしいが、一見非合理にみえるものをただそう決めつけるのではなくその裏にかくされたメカニズムを見つけよう、という思考の癖づけのきっかけにはいい本。