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麗しのオルタンス (創元推理文庫)
金物屋が次々に襲われ、深夜0時直前、大音響とともに鍋が散乱する。平和な街に続く“金物屋の恐怖”事件。犯人は?動機は?哲学専攻の美しい女子大生オルタンス、事件担当のブロニャ...
麗しのオルタンス (創元推理文庫)
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商品説明
金物屋が次々に襲われ、深夜0時直前、大音響とともに鍋が散乱する。平和な街に続く“金物屋の恐怖”事件。犯人は?動機は?哲学専攻の美しい女子大生オルタンス、事件担当のブロニャール警部、そして高貴な血を引く猫のアレクサンドル・ウラディミロヴィッチ…。何がどうなる?文学実験集団ウリポの一員である詩人で数学者の著者が贈る珍妙な味のミステリ…なのか。【「BOOK」データベースの商品解説】
オルタンスというのは哲学を専攻する美しい女子大生、そしてアレクサンドル・ウラディミロヴィッチは、さる高貴な血を引く猫だ。彼は大哲学者にゴロ鳴きを聞かせるために雇われた雌猫チューチャに心を寄せている。そんな平和な街に起きる連続〈金物屋の恐怖〉事件!深夜0時直前、金物屋で大音響とともに鍋が散乱する。犯人は誰? 動機は何か? 文学実験集団ウリポの一員である詩人で数学者の著者が贈る、珍妙でミステリアスな物語。訳者あとがき=高橋啓【本の内容】
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男性の欲望を刺激してやまないお嬢様、これはフランス人だからこそあり得る設定かもしれません。彼女の前に、パリス・ヒルトンなんて単なる成金・・・
2009/09/26 18:36
7人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
オシャレなカバーです。正直、ジャケ買いしても満足できる、そんなステキなデザインです。これは装画だけで達成できるものではありません。装幀家のセンスがあって初めて成り立つ、そういうものです。無論、樋口たつのの絵が足を引っ張っては何の意味もありません。とはいえ、全体を縁取りして四角で区切り、そこに黒を配することでこの少しレトロで、それでいてモダンな雰囲気が生まれました。センスあふれる装幀は本山木犀、近くで見るとかなりタッチが目立つ装画は樋口たつの。
カバー後の案内は
*
金物屋が次々に襲われ、深夜0時直前、大音響とともに
鍋が散乱する。平和な街に続く“金物屋の恐怖”事件!
犯人は? 動機は? 哲学専攻の美しい女子大生オルタ
ンス、事件担当のブロニャール警部、そして高貴な血を
引く猫のアレクサンドル・ウラディミロヴィッチ……。
何がどうなる? 文学実験集団ウリポの一員である詩人
で数学者の著者が贈る珍妙な味のミステリ……なのか?
*
東京創元社の文庫は、カバーと扉で紹介文が異なるので、そちらも写しておけば
*
哲学を専攻する美しい女子大生オルタンスは、パンとケーキの店でアルバイトをし、世の男どもをパンを買いに走らせる。それを眺めるアレクサンドル・ウラディミロヴィッチは食料品店で暮らす、さる高貴な血を引く猫。彼は大哲学者の雇う雌猫に心を寄せている。そんな平和な街に起きた〈金物屋の恐怖〉事件! 金物屋が次々に襲われ、深夜0時直前、大音響とともに鍋が散乱する。犯人は何者? 動機は何? クノーやカルヴィーノとともに、文学の新しい可能性を追求するグループの一員であり、詩人で数学者の著者が贈る珍妙かつミステリアスな物語。
*
となります。いかにもフランス、といった小粋でエロチックな始り方をします。それがどういうものであるかは、実際に当たってもらうとして、その後も、映画にしたらR-15指定くらいにはなるかなあ、といった場面が満載です。とはいえ、ポルノには決してならない品のよさがるとはいえます。
そのすべてが、タイトルにもある主人公にあります。オルタンスは哲学専攻の女子大生で、資産家の娘でおまけに美女。勿論、体型はスレンダー。自分の肉体を披露することにほとんど抵抗を感じていないあたりは、お金持の美女によくあるタイプで男性関係も奔放というのがピッタリです。
ともかく、フランス人女優が演じたら、話題になるだろうなあ、としか言いようのない、なんとも魅力的な女性で、悪意全く持たない小悪魔とでもいったらいいでしょうか。お金持であってもアルバイトをしているというのがちょっと珍しい。その仕事というのがパン屋さんのレジ。ところが彼女、必ずしも数字に強くありません。
それでも、雇い主が彼女を手放さないのはオルタンス嬢の自分の肉体を披露することに無頓着な性格。彼女がミニ姿で店に立てば男たちが続々と集まってきて、しゃがまなければ取れない商品を指差したり、胸元が奥のほうまで見えるよう姿勢をとらせます。男たちの気持を知ってか知らずか(知ってるに決まってるでしょうが!)彼女は喜んでアブナイ姿勢をします。
おまけに、彼女は下着をつけるのを忘れることもある。それを楽しみにしているのはお客様だけではありません。近くの食料品店の主人というのがこれまた変わっていて、頭の中にあるのは女性の下着のことだけ。何もオルタンスだけを鑑賞しているわけではないのです。買い物に来るお客、観光客、女性と見ればもう頭の中は下着一色。
そんな町に不思議な事件が起きて、オルタンスに新しい恋が始って・・・
気になるのは、紹介文にも出てくる高貴な血を引く猫・アレクサンドル・ウラディミロヴィッチのこと。重要な役のはずなんですが、正直私には印象が薄いです。
紙の本
変なミステリ好き必見。
2009/06/10 16:24
7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:わたなべ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ポテンシャル文学工房「ウリポ」のメンバーで、引退した数学者にして詩人の書いた瀟洒な諧謔溢れるミステリー。「アンチ・ミステリ」と宣伝文にあったが、どちらかといえば「ポスト・ミステリ」とでも言うようなミステリ及び小説の形式的なフィクション性と積極的に戯れるスタイルの作品。著者自身を想定させる非人称の語り手と登場人物の一人で推理作家の「私」に分岐した「語り」や、逸脱する「事件」と「謎」をめぐって、軽快に物語は進んでいくのだが、実際この作品の真の主人公は、《シトワイヤン通り》《ヴィエイユ=デ=ザルシーヴ通り》《グラン=ゼドルドン通り》《ミルギエット通り》の四つの街路に囲まれたパリの一角(マレ区がモデルと言われる)と、そこに住まう人々の生活生態にこそスポットが当てられているように思えた。とくに貴種流離譚を想起させる猫アレクサンドル・ウラディミロヴィッチの優雅な生活と、タイトルロールのヒロイン、オルタンスのいきいきした姿は大変気持がよいものだった。かのブルバキの出身地であるというボルデヴィアへの興味も尽きない。続編(三部作)があるらしいので、これはぜひとも翻訳して欲しいものだと思う。