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紙の本
読まない力 (PHP新書)
著者 養老 孟司 (著)
「言葉は意識の産物である。現代は意識優先、つまり脳化社会で、だから情報化社会になる。人生は『意識のみ』になってしまった」…。著者はあまり言葉を信用していない。言葉を読み過...
読まない力 (PHP新書)
読まない力
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商品説明
「言葉は意識の産物である。現代は意識優先、つまり脳化社会で、だから情報化社会になる。人生は『意識のみ』になってしまった」…。著者はあまり言葉を信用していない。言葉を読み過ぎず、解剖学者の眼で世の中を見つめ、静かに考える。すると現代日本人が気づかない、人間社会を取り巻くシステムが立ち現れる。本書は二〇〇二年以降の日本と世界を論じた時評集。石油問題、自衛隊のイラク派兵、靖国参拝、振り込め詐欺、オリンピック…。日本人がいかに行動すべきかを考える上で示唆に富む一冊。【「BOOK」データベースの商品解説】
2002年以降の日本と世界を論じた時評集。石油問題、自衛隊のイラク派兵、靖国参拝、振り込め詐欺、オリンピック…。日本人がいかに行動すべきかを考える上で示唆に富む一冊。月刊『Voice』連載をまとめて単行本化。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
養老 孟司
- 略歴
- 〈養老孟司〉1937年鎌倉市生まれ。東京大学医学部卒業。同大学医学部教授を退官し、名誉教授に。「からだの見方」でサントリー学芸賞受賞。他の著書に「唯脳論」「バカの壁」など多数。
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紙の本
「読まない力」と「勝手読み」。
2009/03/12 00:44
11人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:和田浦海岸 - この投稿者のレビュー一覧を見る
最初の「まえがき」の7ページを読めば、それこそ本文は「読まない」でもいいわけで(笑)。
その肝心な「まえがき」を引用。
たとえば、こんな箇所。
「本を読むな、という教育を受けた。大学院生のときに、恩師からそういわれた。ただし専門書のことである。本を読むと、考えなくなるというのである。古くはソクラテスもそういったらしい。・・文字は批判的思考を鈍らせる。そう考えていた。
・・・その意味では、私はよい教育を受けた。小学校二年生のときに、それまで使っていた国語の教科書に、先生にいわれて墨を塗ったからである。私の前後の世代には、その記憶がはっきりあるはずである。当時は大切だった教科書に、あそこはダメ、ここはダメと、子どもが墨を塗ったんだから、みごとな教育だったと思う。・・「正しく」書かれた教科書を使わないと、「子どもが悪くなる」と大人は信じているらしい。私は信じない。だって、教科書が間違ってたら、墨を塗りゃあいいんだから。」
ちなみに、養老孟司氏は1937年生まれ。
ところで、河合隼雄氏は1928年生まれ。
まえがきで、その河合さんが出てきます。
「平成20年に、前年亡くなられた河合隼雄元文化庁長官を追悼する会がたまたま二つあった。そこでお話をさせていただく機会があたので、河合さんのいわれたことを思い出そうとしたら、一つしかないことに気づいた。河合さんはまじめになると、『私はウソしかいいません』といわれたのである。『日本ウソツキクラブ』の会長をされていたくらいだから、私にだけではなく、いつもそういっておられたに違いない。それ以外は、ダジャレしかいわれなかった。
この叙述は典型的な自己言及の矛盾で、意味がない。『ウソしかいわない』のが本当なら、河合さんはここで本当のことをいってしまっているのだから、この叙述はそもそも成立しない。河合さんの真意は、言葉なんてその程度のものですよ、ということだったと私は思う。臨床心理の場で、ひたすら患者さんの話を聞いた人の言葉である。拳拳服膺(けんけんふくよう)、しっかり耳を傾け、記憶すべきであろう。」
このあと、こんな言葉がありました。
「言葉は意識の産物である。現代は意識優先、つまり脳化社会で、だから情報化社会になる。人生は『意識のみ』になってしまった。」
以上は、「まえがき」から。
ですが、これだけじゃ、いけないかなあ。
すこし、本文を引用します。
そこに、「勝手読み」という言葉がありました。
「いささか考える力に欠けている。学生を教えているあいだ、よくそう思ったものである。もう一押しできないものか。その一押しがむつかしい。碁や将棋であれば、相手より一手先が読めたら必勝のはずなのである。しかし下手な人は、相手の一手先どころか、いわゆる勝手読みをする。相手の出力を自分の都合のいいほうに来る、と勝手に決めてしまう。」(p94)
「読まない力」を文字通り信じると、さっそく「勝手読み」という読みがはじまってたりする。
ああ、こんな箇所もありました。
「教育に外国も日本もない。教育の基本は学問で、だから江戸時代ですら基礎は四書五経だった。考えてください。これは中国の古典ですよ。それで育った人たちが蘭学を学び、明治維新を完遂したのである。そろそろ親もしっかりしたらどうかと思う。教育なんて、四書五経で十分かもしれないのである。」(p79)
ここには、教育と四書五経と蘭学と明治維新とが、短い文に肩を並べていたりして、驚かされます。
う~ん。私の紹介はここまで。
「バカは死ななきゃなおらない」とは、浪曲師・広沢虎造のセリフの一節ですが、「バカの壁」以降、浪花節ならぬ「養老節」は別に一つのことを言っているだけなのかもしれませんね。ということで、この新書。残りを読まないですますか、どうかはご勝手・ご自由に。
電子書籍
「読まない」を読むのも面白い。
2016/09/19 09:40
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mistta - この投稿者のレビュー一覧を見る
読書をするのに「読まない力」とは、少し拍子抜けするようで、
それはそれで面白い。
養老氏は、まえがきで「読書が思考力を低下させる」
という考えが有ったことを紹介している。 不思議な話だ。
だが、そういう考えもあるかと思えた。
この本に書かれている内容は2002年~6年
くらい。一昔前の話だなというのが正直な感想。
安倍首相の前回首相時代のことにも触れられている。
読まない力を読むのはなかなか一興である。.
紙の本
軽い、あまりにも軽すぎる養老節
2011/08/18 11:45
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:塩津計 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は養老孟司が雑誌「VOICE」に連載しているコラムをまとめたものである。コラムニストとしても養老は、それなりの人気があるようだ。しかし、しかしである。同じコラムニストとして私が敬愛する故・山本夏彦さんのコラムに比べると、養老のコラムは如何にも軽い。内容が浅い。浅すぎる。山本夏彦コラムは長年にわたる同氏の思索と教養が詰め込まれた重厚なもので、しかもそこには毒がある。山本コラムの毒は、しばしば寸鉄人を殺す、いや、そんなものではない。猛毒のハブのような強力な殺傷力を持ったモノで、それが故に、多くの読者は、山本コラムを通じて啓蒙されるし、溜飲を下げることが出来るし、読んで快哉を叫ぶことさえ出来るのだ。養老のコラムにはこの毒がない。あくまで淡々と時事ネタにコメントしているだけで、サラサラと文字が目の前を通り過ぎて行くだけ。本当にそれだけなのだ。あとには何も残らない。これは養老が医学部の中でも解剖学という特殊なタコつぼにこもり切った人生を送ってきたことと無縁ではあるまい。もちろん私は養老がコラムを書く視点に反発は覚えないし、説教くさくない養老節を了とする読者である。しかし、20年も30年も40年も前に書かれた山本夏彦のコラムが、今日なお、その光を放ち続け、我々を啓蒙してやまないのに比べ、養老のコラムは文字通り「一陣の風のごとし」であって、それ以上でもそれ以下でもないのである。