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- カテゴリ:小学生 中学生
- 発行年月:2010.6
- 出版社: 理論社
- サイズ:20cm/359p
- 利用対象:小学生 中学生
- ISBN:978-4-652-08635-3
紙の本
闇の喇叭 (ミステリーYA!)
著者 有栖川 有栖 (作)
平世21年の日本。第二次世界大戦後、ソ連の支配下におかれた北海道は日本から独立。北のスパイが日本で暗躍しているのは周知の事実だ。敵は外だけとはかぎらない。地方の独立を叫ぶ...
闇の喇叭 (ミステリーYA!)
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商品説明
平世21年の日本。第二次世界大戦後、ソ連の支配下におかれた北海道は日本から独立。北のスパイが日本で暗躍しているのは周知の事実だ。敵は外だけとはかぎらない。地方の独立を叫ぶ組織や、徴兵忌避をする者もいる。政府は国内外に監視の目を光らせ、警察は犯罪検挙率100%を目標に掲げる。探偵行為は禁じられ、探偵狩りも激しさを増した。すべてを禁じられ、存在意義を否定された探偵に、何ができるのか。何をすべきなのか。【「BOOK」データベースの商品解説】
平成21年、南北に分断され、政府が国内外に目を光らせる日本。探偵行為も禁じられ、探偵狩りが激しさを増す中、謎めいた殺人事件が起きる。存在意義を否定された探偵に、何ができるのか、何をすべきなのか?【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
有栖川 有栖
- 略歴
- 〈有栖川有栖〉1959年大阪生まれ。「マレー鉄道の謎」で日本推理作家協会賞、「女王国の城」で本格ミステリ大賞を受賞。ほかの著書に「モロッコ水晶の謎」など。
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紙の本
ファンの間で大変評価の高い作品です。正直、それらを読んでいて不安になりました。誤読をしているのは私かもしれない、って。でも、本格ミステリと政治は水と油なんじゃないかな、天才でもないとその融合はできない・・・
2011/02/21 20:18
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
好きなブックデザインです。理論社としては初めてではないでしょうか、こういう大人のデザイン。カバーの文字とそこから透けて見える表紙の絵。その両方がとてもいい感じでバランスを取っています。でも、やはりカバーの文字とそのかすれ具合、そしてこの本のテーマ色といっていい赤。装画・挿絵・地図 佳嶋 マークイラストレーション 谷山彩子、ブックデザイン 渡邊民人+小林祐司+荒井雅美(TYPEFACE)。
ちなみに理論社は新しい会社に生まれ変わり、その関連でしょうか、本格ミステリ作家クラブのトピックスに
*
有栖川有栖:理論社から出た『闇の喇叭』は絶版とし、講談社から出し直すことになりました。今度は「シリーズもの」であることを謳っての再スタートです。
*
という記事が出たそうです。また噂では続編が今年中に講談社からでるとのこと。二冊そろった装いで書店に並ぶ日も案外早いかもしれません。で、有栖川有栖、苦手です。今まで、一つとして楽しんだことがありません。本格ミステリが嫌い、っていうわけじゃ、ありません。法月綸太郎なんて大好きだし、島田荘司も嫌いじゃあありません。泡坂妻夫も好きだし、佐野洋なんてどれほど読んだか。勿論、クイーンもクリスティも好き。
とはいえ、この10年に限って言えば面白いのは英国の警察小説、ということになるのでしょう。ともかく、人間や組織、社会に対する掘り下げが深いし、高校生や大学生がイチャイチャしながら謎を解くといった、安直さがないのが全く違います。とはいえ、ユーモアはある。日本でも警察小説には横山秀夫という切り札がいましたが、最近は殆ど発表をしていません。
そのかわり、刑事ものに色々な作家が取り組んでいるのですが、正直、甘い。殆どが英国作家のものの足元にも及ばない。本格ミステリにはコアなファンがいて、例えば有栖川の『闇の喇叭』にしても、殆ど仲間褒めじゃないか、って思うほど絶賛の嵐。ふーん、それなら理論社つぶれなかったんあじゃないの? なんて思うほどです。で、なんでこんなこと書くかというと、やっぱりつまらなかったから。
また高校生かよ、なんて思うんです。ま、ミステリYA!だから当然、ちゃあ当然なんでしょうが、高校生、大学生、大学教授っていう探偵はもう要らない、なんて思う。誤解されるといけないので、書いておくと子供が登場しても、あ、っと言わせる作品はあります。たとえば、はやみねかおるの名探偵夢水清志郎シリーズ、それから歌野晶午の舞田ひとみシリーズ。はやみねのレーチを軸にしたお遊び部分は趣味じゃありませんが、ミステリの完成度は高いし、舞田ひとみなんてもう見事としかいいようがありません。でも、有栖川の登場人物には甘えしか感じないんです。
それと二つに分割された世界=韓国、北朝鮮というあまりにも明白なモデル化。ま、読者の反応も殆どが北朝鮮はいやだ、みたいなところで終わっている。で、です。なぜ探偵行為が禁じられるのか、禁じられたら困るのか、です。日本では犯罪行為の真相を解決する探偵は、物語の中でしか存在しません。現実における日本の探偵業は、人物調査であり、浮気の証拠集めであり、行方不明人の捜索がせいぜいでしょう。弁護士ですら、無罪を勝ち取るための行動はしても真犯人を探すことはしていません。
この作品を褒める人の多くが「探偵行為が禁じられた世界」=北朝鮮、と反応していますが、禁じられていなくても日本ではそんな探偵は存在しないし、弁護士もいない。精々が他人のスキャンダルを暴くか、離婚裁判のための証拠集め、そして幸せな縁組のための身元調べてしょ。探偵行為を禁じられた世界と人権が抑圧された世界は単純に結びつかないわけです。
もっといえば、探偵が公的な存在として認められている、といわれる欧米ですが、実は私たちはそれが実際であるかどうかを知りません。あくまでわが国に紹介されているミステリにそう書いてあるだけです。逆に、日本のミステリを海外にそのまま紹介したら、世界中の人は「日本では中学生、高校生、大学生のカップルがイチャイチャしながら犯罪を暴いている」と信じ込むでしょうか?
いや、それは小説世界の出来事、と割り切って楽しむはずです。ところが、この小説を褒める人の多くが、フィクションと事実を混同し、北朝鮮=悪という結論に飛びついています。有栖川は少しもそんなことを書いていないのに。いや、もしかすると書いている? だとすれば、なにかとフィクションを真実と混同しがちな日本人をどこに連れて行こうとしている? なんてことがキニナル。どうも政治的誤読を期待するお話は、好きじゃないなあ・・・
カバー折り返しの言葉は
平世21年の日本。
第二次世界大戦後、
ソ連の支配下におかれた
北海道は日本から独立。
北のスパイが日本で暗躍しているのは
周知の事実だ。
敵は外だけとはかぎらない。
地方の独立を叫ぶ組織や、徴兵忌避をする者もいる。
政府は国内外に監視の目を光らせ、
警察は犯罪検挙率100%を目標に掲げる。
探偵行為は禁じられ、探偵狩りも激しさを増した。
そんな中、謎めいた殺人事件が起きる。
すべてを禁じられ、
存在意義を否定された探偵に、
何ができるのか。
何をすべきなのか。
目次は
序章 分断
第一章 スパイと天使
第二章 怒りの日
第三章 誰も知らない男
第四章 海慧鼻の死
第五章 男と女
第六章 落日の喇叭
終章 ソラへ
あとがき
です。