- カテゴリ:一般
- 販売開始日: 2022/06/10
- 出版社: PHP研究所
- ISBN:978-4-569-70806-5
平成徒然談義
旅、友、礼儀、名利、機、芸、晩年、外見、色――。昭和を生き抜き、平成の世を大所高所から見渡す二人の碩学が、人の世のあれこれについて自由奔放に語りあう。その道先案内をするの...
平成徒然談義
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商品説明
旅、友、礼儀、名利、機、芸、晩年、外見、色――。昭和を生き抜き、平成の世を大所高所から見渡す二人の碩学が、人の世のあれこれについて自由奔放に語りあう。その道先案内をするのは、言わずと知れた古典的名著『徒然草』である。まず『徒然草』が日本の文学史上においてどのような役割を果たし、文豪たちからどう評されてきたか、またどう読まれてきたのかについての話をする。芥川龍之介はそして小林秀雄はこの古典とどう対峙したのか。話は尽きることがない。それから次には、二人が思うままに日々語ってみたいと思っていたことについて存分に語り合うことになる。その題材は、いずれも『徒然草』でもとりあげられているテーマである。人の世で生きることの、儚さ、楽しさ、面白さ、苦々しさ・・・・・・、どの話題においても長く濃い人生体験に基づく発言が縦横無尽に駆けめぐる。人生の妙味を知り尽くした著者らによる、これぞまさに平成「つれづれ」談義である。
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年賀はがきを、はばからず文書きちらすはよし。
2009/12/03 21:10
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:和田浦海岸 - この投稿者のレビュー一覧を見る
徒然草を読もうと思ったのは、谷沢永一著「百言百話」に載っていた箇所が印象に残っていたからでした。まずは、そこを引用。
「手のわろき人の、はばからず文(ふみ)書きちらすはよし。
見ぐるしとて、人に書かすはうるさし
字の下手なんか、平気で手紙なんかをドシドシ書くのは宜しい。見苦しいからと云うので、人に書かせるのは、うるさい厭味なことだ(沼波ケイ音訳文)。沼波ケイ音は『この段は短いが、言が実に強い』と嘆賞して、次の如く彼一流の『評』を記している。
――『私が中学に居た時、和文読本と云う教科書の中に、ここが引いてあった。鈴木先生の講義を聞いた時、少年心ながら、ハッとした。今から其の時の心持を譬えて云って見ると、凛然たる大将が顕われて、進め、と号令したような気がした。恥ずるに及ばぬ、自分を暴露して、其の時々のベストを尽くして、猛進するのだ、と云う覚悟は、この段の講義を聞いた時にほのかながら芽ざしたのであった』・・・・」(p122・中公新書)
つん。ささいなことですが、私は、この時から、ありがたいことに、たとえば、年賀はがきの宛名書きなど、はばからず書くようになりました。
それから、何年かたって、古本で沼波ケイ音著「徒然草講話」を手に入れて読みました。うん。よかった。もっとも、もうすっかり内容をわすれてしまったのですが(笑)。
そして、この谷沢永一・渡部昇一著「平成徒然談義」を今日読んだのでした。いろいろなことが刺激される対談なのです。とりあえず第三十五段についての谷沢さんの語りを引用しておきます。
【谷沢】 この『手のわろき人』で思い出すのは、司馬遼太郎です。司馬さんは『燃えよ剣』のなかで土方歳三に『筆蹟のうまいやつには、ろくな奴がいない』と言わせています。その司馬さんの字がまた読みにくい(笑)。小西甚一は『悪筆家元』という四角い判子をつくり、手紙に押していました。私はそれほど洒落てはいませんが、兼好とおぼしき肖像の上に、この文句が書いてある掛け軸をもっています。書いたのは松花堂昭乗(しょうかどうしょうじょう)。・・偽物でしょう・・・それでも、この掛け軸は気に入っています。(p157)
ついでに、もうひとつ。
【谷沢】私は『開運!なんでも鑑定団』をけっこう楽しみに観ておりますが、真贋を見極める力のある人、ない人、さまざまな素人さんが、さまざまなエピソードをもって登場して、人間の面白さが出る、それがとても楽しいです。(p108)
ここから、徒然草の第八十八段へとつなげておりました。