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紙の本
無芸大食 (ポプラ文庫 Tanabe Seiko Collection)
著者 田辺 聖子 (著)
「日々の喜びを小説の中に書いていきたい」(巻末の著者インタビューより)。食べることも料理をするのも大好きな著者が綴る、食にまつわる5篇の小説。オムライス、いわしのてんぷら...
無芸大食 (ポプラ文庫 Tanabe Seiko Collection)
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商品説明
「日々の喜びを小説の中に書いていきたい」(巻末の著者インタビューより)。食べることも料理をするのも大好きな著者が綴る、食にまつわる5篇の小説。オムライス、いわしのてんぷら、ブイヤベース…。食べものと人が織りなす物語をいきいきと描いた傑作短篇集。【「BOOK」データベースの商品解説】
収録作品一覧
いわしのてんぷら | 9−52 | |
---|---|---|
うつつを抜かして | 53−101 | |
オムライスはお好き? | 103−150 |
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紙の本
悲哀を笑いで装って。
2010/12/09 23:23
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:きゃべつちょうちょ - この投稿者のレビュー一覧を見る
かわいらしい表紙に反して、なかなか渋めの短編集。
5編のうち、3編の内容をさっくりと。
「いわしのてんぷら」
58歳の現役OL(独身)、うらら。
外野のステレオタイプなかわいそうというジャッジに対し
本人は明るくのびやかにエンジョイしているというギャップが、
軽快に描かれていて気持ちがよい。
うららは、会社関係の葬儀の席で、ひさしぶりに会った河中と
個人的なつきあいが始まる。
「オムライスはお好き?」
会社の経営不振により、中間管理職をはずされた滝本は
あと何年かで定年を迎える、30年来の古参社員。
仕事はきっちりこなすが、定時退社になったことを喜ぶ。
家では息子に生意気を言われたりしているが
時折キッチンに立ち、卵料理をつくるのがたのしみである。
「無芸大食」
食べることが大好きで、量もかなりいけてしまう。
そんな主婦・秋江には子供がいない。
前妻に子供ができないのを理由に離婚し、
秋江と見合いで再婚した夫は、秋江に嫌味を言う。
食べるだけ食べて、子も産まない。お前は無芸大食だ、と。
しかし、姑と仲良くごはんをおかわりしたりして
秋江の毎日は、決してブルーに包まれているわけでもなかった。
全編をとおして思うのは、哀愁があるのにユーモラスということ。
「いわしのてんぷら」に代表されるように、
外野の目とは裏腹に、本人がのびのびとやっていること。
ほんとうにたのしんでいることだ。
幸せは相対的に評価できるものではない。
じぶんが感じる一瞬一瞬のことなんだなぁと、
つくづく思ってしまう。だから幸せはじぶんでしか捉えられない。
辛辣な内容をユーモアでくるみ、風通しをよくしてある。
このからっと乾いた感じが、魅力的な短編集である。