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商品説明
人気ブロガー「切込隊長」が描く産業社会の未来とは? 資本と産業構造の変化について、通信、情報、コンテンツといった業界の個別事情を市場の側から解説する。『Voice+』連載をもとに書籍化。【「TRC MARC」の商品解説】
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紙の本
一発芸に近いネット関連企業は生き残れない
2010/08/09 20:25
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:MtVictory - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルの真意が分からなくて本書を手にした。帯には「YouTubeは儲からない!ウェブ進化論なんて幻想だ!」と書いてある。当たっているようで、でもそうなの?と疑いも感じた。なんでもネットでは著者は「切込隊長」とか物騒な名前で呼ばれているらしい。
目次を見ると分かるように、「ものづくりからシステムづくりへ」とか、瀕死の状態のメディア産業、アニメ、ゲームは成長産業にはなりえない、情報革命はブームに過ぎなかった、といった全体的に否定的・悲観的論調だ。いずれもどこかで読んだような話ばかりだ。
本書はタイトルとは違って、「ネットビジネスだけじゃない産業」の現状分析と展望を語っている。携帯電話に見る製造業の限界、国内外の出版社、新聞社の実情と展望、ポップカルチャー関連産業の経営上およびファイナンスの問題、なども取り上げている。
ネットビジネスに関して言えば、今は「ネット関連事業では無料モデルを支えた広告収入や物販収入の成長鈍化が表面化」し、サービスの撤退も相次ぎ、「今後はネット関連企業も統廃合」が進み、 Yahoo!のような大手と、専門性を軸とする専門サイトとに二極分化する、と分析している。これは十分にありえる。ただ、「ネット利用ビジネスは終わらない」。一発芸に近いネット関連企業は生き残れまい。
少し視野が狭すぎるのでは?と思わせるところもある。自分の得意分野だけの話をしているような印象を受けた。例えば第三章では「コンテンツ業界自体の状況はより悪くなっている」としているが、ポップカルチャーだけを取り上げて言うのはどうかと思う。悲惨な日本のアニメ制作現場を強調するが、ディズニーのような手法は日本では出来ないのかとも考えてしまう。
「まえがき」の低成長時代の日本として、「より合理的で弾力性のある産業秩序のあり方を問い直し、日本の産業基盤を支える適切な規制と社会制度、国民の職業訓練体制を整えること」が最重要であるという点には共感する。
ユニークな見方だと感じたのはGoogleを指して述べていると思われる以下の記述だ(第4章)。「情報に左右されず節度ある人間の営みに回帰したいという反知性主義的な動きが先鋭化したとき、その輝きを失う可能性はある」。この一文は「切れ味」がよかった。情報に振り回されたくない気持ちは分かる。それが「情報は要らない」という反知性主義に転じたら、人類文明は停滞・衰退だ。
紙の本
ネットは革新をもたらさず,社会はますます不確定になる
2011/09/04 09:20
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本の企業は古典的な 「ものづくり」 からぬけだせないでいる. 出版業界には倒産しているべき会社がいきのこっている. ネットバブルの時代にはネットビジネスが従来とはすっかりちがう,あたらしいビジネスのやりかたをもたらすようにみえたが,いまいきのこっているネット企業は従来的な経営で成功した企業であり,革新的なところはひとつもないと著者はいう. ネットは情報をタダにしたが,その結果,新聞社はたちゆかなくなっている.
著者はこういう問題点をつぎつぎにあげているが,それに対する解決策をしめしているわけではない. 不確定な社会のなかで各人がみずからかんがえて行動する,そこからうまれる多様性が社会を活性化し,そのなかから解決策がみえてくることを期待しているということだろう.