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日本の歴史 18 開国と幕末変革 (講談社学術文庫)
著者 網野 善彦 (編集委員),大津 透 (編集委員),鬼頭 宏 (編集委員),桜井 英治 (編集委員),山本 幸司 (編集委員),井上 勝生 (著)
世界史的視野と新史料で描く維新前夜開国と攘夷の激しい角逐幕府はどのようにして倒壊への道をたどったか。十九世紀は一揆、打ちこわしが多発した。その中、雄藩は独自の改革を進め、...
日本の歴史 18 開国と幕末変革 (講談社学術文庫)
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商品説明
世界史的視野と新史料で描く維新前夜
開国と攘夷の激しい角逐幕府はどのようにして倒壊への道をたどったか。
十九世紀は一揆、打ちこわしが多発した。その中、雄藩は独自の改革を進め、自立をめざした。一方、ペリーの来航、開国を迫る列強の圧力に幕府は根底から揺さぶられる。「開国」「尊皇」「攘夷」「討幕」が入り乱れ、時代は大きく動き、幕府は倒壊への道をたどる。本書は、特に沸騰する民衆運動に着目し、世界史的視野と新史料で「維新前夜」を的確に描く。【商品解説】
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「維新の前にあった変革」という視点から見えてくるもの
2010/12/15 23:36
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:拾得 - この投稿者のレビュー一覧を見る
『幕末・維新』(岩波新書)で、幕末研究の新しい視点を提示した著者の、「その前」に出されていた通史著作である。『幕末・維新』が新書という量的制約があったので、物足りなさを感じた人はこちらも読んだ方がよいだろう。
本書序章では、アイヌと蝦夷地がとりあげられる。「開国」とはペリー来航がはじまりではなく、すでに「四つの口」のひとつであった、北方ではじまっていたのである。また、アイヌや蝦夷地のもたらした産物、特に海産物とニシン肥は、この時期の列島の農業生産発展を支えていたのでもある。石見銀山の銀が世界に影響を与えたのであれば、北方がもたらした産物の列島への影響もまた大きいのである。
もうひとつ、本書前半で力を入れて書かれているのは、民衆運動としての「百姓一揆」である。時代劇をみている現代人の想像をはるかにこえて、江戸時代には一揆は頻発していたことはよく知られている。本書では、そこにみられる「作法」にまで踏み込んで考察を加えている。その統制ぶりや、(攻撃的な)竹槍ではなく(農民のシンボルとしての)鎌が中心にあったことなどを緻密に再現し、さらに朝鮮等とのアジア他国の民衆運動との比較も試みている。首謀者に対する処罰にも言及しているが、「獄中死」が意外に多いことに気がつく。罰則を決めずして、実質的な処罰を加えるという、為政者の作為があったのだろうか。
この2つのはじまりは、「政治の季節」と思われがちな「幕末・維新」を、もっと広いもっと豊かな視点から提示して見せてくれる予感が十二分にある。
さて本書の中核をなすのは、『幕末・維新』でもあったように、開国から維新へと至る過程を、改めて読み直すことである。歴史の通例にたがわず、幕末史は勝者である「維新」の側から描かれることが多く、この「読み直し」はとても新鮮だ。わかりにくかったテーマも整理され、考え直すきっかけを与えてくれる。
第一に「幕臣は無能であったか?」。幕府が、風説書などによって海外事情をかなりの精度で理解していたことは徐々に知られるようになったが、「黒船来航」から条約締結にかけて、幕臣が無能ぶりをさらけだしたような書きぶりが今でも時々見受けられる。本書における条約交渉のやり取りの再現などを見るように、最善ではなかったかもしれないが、実に妥当な交渉を進めようとしていたことがわかる。
第二に「尊王攘夷とは何であったのか?」。倒幕派の薩長連合が攘夷派の流れを汲むものであれば、なぜ明治新政府はその攘夷を実行しなかったのか? 本書では、いわばレトリックとしての攘夷とでもいうべき視点を提示する。自らの行動を正当化するための尊王攘夷とでもいえようか。
第三に「列強とは何だったのか?」。たとえば、彼らは単純に日本の開国だけを望んでいたのか、それとも植民地化するまでの意図があったのか。帝国主義研究はまだまだ必要であることを痛感する。本書で興味を惹くのは、ペルーやハリスのやり口を、当時の彼らの本国との関係とにおいて理解につとめていることである。文明を気取っていた列強における野蛮とは何か、というものを改めて考えさせてくれる。
他にもいろいろな「考え直し」が可能だろう。
幕末・維新というものは、未だに物語世界の中では好まれるテーマでもあり、身近である。それだけに簡単に政治的にもレトリックとしても安易に利用されやすい(「幕末の志士」に自らをなぞらえる政治家のいかに多く、いかに滑稽なことか)。しかし、そこには「わからないこと」がまだまだいっぱいある。単に政治の流れや、志士を追うだけでは見えないことが多い。その背景にあるものへの目配りと理解・想像力が欠かせないことを気づかせてくれる。それは歴史学と社会科学との責務でもある。本書はその道しるべを与えてくれる。
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江戸末期の沸騰する民衆運動に着目し、討幕、維新前夜の社会の様子を生き生きと描いた一冊です!
2020/03/27 11:13
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、江戸時代の末期における一揆の多発や雄藩における着々とした藩改革の進行といった人々の運動に着目しながら、開国、尊王、攘夷、討幕などが進行していく明治維新前夜の我が国の社会の様子を生き生きと描いた一冊です。同書の内容構成も、「序章 人間の静かな大地」、「第1章 成熟の進展」、「第2章 民衆運動の高まり」、「第3章 19世紀世界と天保の改革」、「第4章 開国と外交交渉」、「第5章 開国から尊王攘夷へ」、「第6章 動乱の幕末」、「終章 富貴繁昌」といったテーマで語られ、読み応え十分の面白い中身となっています。