紙の本
エッセイ風の日仏文化比較
2010/11/18 22:36
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
フランス人と結婚してパリ郊外に住んでいるという著者だから,日本人にもフランス人にも書けない日本女性とフランス女性とのちがいを書くことができたのだろう. そのちがいがフランスと日本の出生率のちがいにつながっているのかどうかはかならずしもわからないが,納得させられる理由とともに書かれている.
最後に日本の少子化対策のためにフランスからまなべる点が分析されているが,結局は日本はフランスとはちがうので,まねしてもだめだという. すぐに少子化対策につながる内容ではないが,エッセイ風の文化比較として読めば,いろいろおもしろい.
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[ 内容 ]
女性がハッピーな国は子どもも増える!?
その真相を歴史的背景から解き明かす。
[ 目次 ]
第1章 フランス人は「セックスレス知らず」か?
第2章 「恋愛大国」だから子どもが増える?
第3章 フランスにはなぜ専業主婦がいないのか?
第4章 婚外子が多いと子どもは増えるのか?
第5章 フランス人たちはなぜカップルになれるのか?
第6章 フランスは少子化対策に成功したのか?
終章 フランスから何が学べるのか
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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今までのフランス出生率関連の書籍のなかでは比較的イイ出来。フランスの出生率の高さは、決して出生率向上を目指した近視眼的な政策からではなく、60年代別からの女性の社会進出を推進する政策や、労働者の権利を守るための法律、68年革命以降のピルの解禁や中絶の合法化、同一労働同一賃金など、非常に重層的に仕組が出来上がったのだと納得。それらは結果的に出生率向上に繋がったのであって、政府はむしろプライベートには干渉しない立場を取っていたようだ。ヨーロッパに比べ、日本が遅れているというのは最近あまり使われない論法だが、ピルの解禁が90年代後半だったことや、男女雇用機会均等法にしても壮絶な闘争の末に勝ち取った権利ではないことを考えると、やはり日本人の権利に対する意識はヨーロッパより遅れているのだなという感想を持たざるを得ない。単純に出生率向上という視点で政策を考えていたのでは、あまり効果は見込めないだろう。
自分がフランスにいた経験から思うのは、フランスでは子供は未熟な大人であり、子供中心の生活になることはない。子供と大人は別世界に住んでいる。また子供時代への郷愁も比較的少ない民族である。児童文学の貧しさはそれを明確に表している。そんな子供や子供時代を理想化せず、過剰すぎる期待をしないことも、子供を作る重圧を下げていると思う。日本は子供に期待しすぎるし、子供時代への郷愁が非常に強い。それは悪いことではないが、出産へのプレッシャーを上げていると思う。
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少子高齢化待ったなしの状況でこういう本が読まれるのだろうなとおもうが、フランスの制度の歴史が分かりやすく書かれている。
著者も書いている通り、全く文化の異なる日本で同じことが導入されるかは難しいが、経済状況の変化から、専業主婦が減り続けていかざるを得ない状況は30年前のフランスと同じかもしれない。どちらかと言えば、低所得階層への出産、育児、教育への各種手当が手厚く国家と雇用主負担の家族手当金庫から拠出されているというのは興味深かった。
日本では企業が支払っている、家族手当や住宅手当等、家庭維持の為の経費を雇用者と雇用主、及び国家とで管理していると言うしくみはある種公平かもしれない。
女性の多くが専業主婦を自明のものとして志向し、結果として出産後のパートや派遣へと就業する流れは、文化的な背景もさることながら、配偶者控除や第3号被保険者と言った家族政策、及び企業の低賃金労働者獲得とのニーズが合致しているからなのだろう。
あと10年後ぐらいに、若い人たちがもっと結婚しやすく、子供を産みやすくする方向へ社会を変えていくためには参考になることは幾つもあるように思う。
人生一人より二人の方が、生きるのは楽しいと私は思っている。
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これまでの著作は著者の主観的な要素が比較的多かったように思うけど、本作は史実やデータなども用いて客観的な視点から書かれている。女性に求める母性的な要素を減らすこと、子どもの教育にかかる費用を社会で負担する…などなど色々と女性の出産や子育て促進に向けた提言が紹介されていたけど、アラサーの日本女子としては、女性自身の意識も結構、相手に依存的な部分が多くて、フランス式?を取り入れるに際し先ずは意識改革も必要なんじゃないかと思った次第。
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あまり肩に力を入れて読んではいけません。
とにかく、フランスの文化を知ることのできるエッセイとしては素晴らしいけれど、フランスの出生率が高い理由を述べる論文としては、全く掴みどころがなくて無責任な本だと思う。
「乳母」文化(17世紀)が根付くフランス、子供より夫婦、のフランス、母より女、のフランス。3歳児から「保育学校」に入るフランス、労働者の権利が確立されたフランス、事実婚「パクスPACS」が制度的に保証されているフランス。
これらのファクターのどこに、日本の少子高齢化を少しでも改善するヒントが隠れているのだろう???
多分、専業主婦というシステムは、出生率向上に寄与しているのだと思う。周りを見ていても、そういう古いタイプの家には複数の子どもがいる場合が多い。
問題は、そういう古いシステムを選ぶ女性が減っているということ。或いは、減らして女性の社会進出を進めなければ、日本の国力維持がままならない、ということ。
そういう前提で少子化を食い止めるには、「土日も勤務場所もいとわないオトコ」と「お茶くみ程度のジョシ」という二元的な食の在り方を見直す必要があるのだろう。
「働き方」という姿勢論ではなくて、「仕事」というアウトプットの質と量で労働を評価する文化を少しずつ根付かせていくことが必要だし、大企業を中心に、物理的なインフラ整備を進めること、そういう整備を進めている企業を世の中が認めること、そういう評価が株価などの経済的な価値に繋がるような情報開示とシステムの導入を進めること。
そういうことが必要なのだろうと思う。
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いわゆる行政における少子化対策を求めてこれを読んだら、ちょっと期待していたのとは内容が異なっていました。もちろん、フランスの教育制度や手当のお話もあるんだけど、メインはフランス女性は母というより女性であるということの意識の高いとかそういう話かな。
興味深かったのは、フランスでは3歳からの保育学校全入制度と保育園より乳母を雇うのが割と一般的であること。あと、ミクシテという言葉。
フランスというとボーヴォワールのイメージ(古い)なので、フランス人女性の就業率が高いという話には驚きました。
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フランス女性はセクシャル、かつ小さい頃からころから自分の体は自分で守るという意識をもったうえで恋愛をつくりこむ。男性任せではないということだ。また、能力さえあればそれに見合った就業の機会が提供され、一生涯社会的にも自立できるシステムが構築されている。働きながら安心して子育てできる環境が万全であり、寧ろ働かない女性は無能とさえみなされる。男性側には妻を食わせなきゃならないという気負いはなく、主夫業に専念する男性も少なくないようだ。婚姻関係はパスク、事実婚など緩やかな男女の結びつきから始まり必要に迫られれば結婚すればいいという気安さ。なお、フランスでは同一労働同一賃金であり、日本のよう非正規・正規間差別はない。若年でも気軽に結婚できる環境がある。意外だったのは婚外子が多いこと、移民が多いことは多産の理由ではないということ。日本女性の高学歴化は男性にほぼ匹敵するほどに進んできている。企業側も優秀な女性を引きとめておくために自然に働きながら育児ができる環境を作らざるを得ないのでなかろうか。フランスにおける出生率の高さはフランス女性の自立心であり、自立できる環境づくりがその最たる要因と見た。フランス書院・・・。
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少子化対策が成功している例として、よく取り上げられるフランス。話だけは聞いていたが、中身をよく知ろうと思って、読んだ。
事実婚が多いとか、婚外子が多いとか言われるけれど、大きいのは、女性に母性を求めないことだと書いてある。これは、私にはすごく難しくてついつい母性が出てしまう。
あとは、やはり制度の問題。日本の場合、女性の高学歴化を促しながらも、こどもを育てながら働く環境は整っていないと指摘。また、低賃金でも子供が産めるセーフティネットが整備されてない。
確かに…。お金があったら、あと二人は産みたいと思ってしまう。私も妥協しないで、正規職員の椅子にかじりつくべきだったのかなー。
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2013.01.22読了。
雑誌で取り上げられてて気になった本だけど、おもしろかったし、日本の少子化対策の参考にもなるのではないかと。
日本人が気になっている、知りたいことをメインに話は進んでいく。
フランス女性の色っぽさ、ミクシテの文化、子育てをしないフランス女性の歴史、フランスの妊娠、出産、子育てに関する歴史、法律。
カップル率の高さと出会いのシステムなんかは、結婚式のゲストを相性の良さそうな人同士席に配置するとか、カップルが周りの友達同士をくっつけようと紹介したりするなど日本ではあまり馴染みがないことで面白かった。
最近観たレ・ミゼラブルの内容を引用しフランスの子育てしない、できなかった歴史を知った。
子育てをしない時代にはかなり驚かされた...
そのため乳児死亡率が高かったとか。
そんな歴史背景も影響し法律、保障などかなり子どもを産みやすい環境になっているフランス。
未婚の私にもフランスの環境は正直うらやましく思った。
子供は社会の未来。
日本も著者の言うとおり、フランスの真似ではうまくいかないが日本なりの少子化対策、女性が子どもを産みやすい環境を模索し、少子化に歯止めを打ってもらいたい!
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わかりやすく、かつ、事実・統計・見聞きしたことがそれぞれ独立に述べられ、論理的に処理されていたのがよかった。
そんなに違うかー、という感想。
問題は歴史を巻き来んで複雑に絡み合ってるのね。。。
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それぞれの国に、それぞれの恋愛の起源があって、それが現代の人々の意識にも根付いているってのがおもしろい。
日本ではそういう面のタブーなんかが多いから捻くれた人が増えがちで、わたしはフランスの考え方のほうがさっぱりしてて好きです。
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フランスに学ぶ少子化対策」
日本で少子化が問題となってすでに久しい。ところが、同じ経済先発国でもフランスでは子どもが増えている。私も長年フランスに住んでいて、子どもを持つ両親に対する保護政策が功を奏しているのだろう位しか考えていなかった。しかし、中島さおりの『なぜフランスでは子どもが増えるのか』を読むと、そう簡単にはまとめられない事情がからんでいることが良く分かる。
話は、洋服の胸の開き加減から始まる。中島は日本とフランスの服の違いは、胸の谷間の深さの違いにあると言い、フランスの服は日本のものより5ミリほど深くなっていて「女がセックス・アピールを誇示することに対する社会の許容度の差が、あの五ミリの差なのである。」と述べる。
私の家の近くに、日本人のシェフが経営するフレンチレストランがある。豊かな胸のウェイトレスが入ると男性客が急増し、彼女がやめると男性客が減ると、シェフの奥様が話してくれたことがあった。嘘のような本当の話である。たかが5ミリ、されど5ミリなのである。
下着の話も面白い。日本では女性が下着を買うときに男性が付き添うのはなかなか抵抗があるが、フランスでは普通のことだ。そして、日本でヒットしている下着は、フランスでは売っていないらしい。つまり体型をカバーするような下着だ。これはフランスでは薬屋にでも行かないかぎり、ほとんど売っていないようだ。中島の結論は以下の通りである。
「日本とフランスの下着は、目指す方向が逆なのではないかと私は思う。日本の女性下着の強みは、上に何か着たときに女性を美しく見せることだ。それは、万人向けに女性を美しくするが、それを脱がせる男のことだけは考えていない。」
手をたたいて賛成している不埒な紳士の姿が見えるようだが…
フランスでは元来「婚外恋愛」が基本であるというのも興味深い。かつての貴族らの結婚は財産相続が目的であり、それ故に夫婦間に恋愛感情は育たないし、そういった感情を持つことは「恥」であった。故に恋愛スキャンダルには寛大だ。クリントン大統領は、研修生との密会が大スキャンダルになったし、日本でも愛人問題であっという間に首相の座を下ろされた人もいた。だが、フランスのミッテラン大統領は、隠し子についてマスコミに質問されたときに「いるけれども、それで?」の一言で済んでしまった。
フランスは恋愛に関して「大人」であり、カップルで人生を楽しむのが当然となっていて「子どもは神様」ではない。中島の夫はフランス人だが、娘が2歳の頃パパとママが仲が良いのに嫉妬して父親に「C’est pas ta maman!(あんたのママじゃない)」と抗議したらしい。日本だと父親はどうするだろうか。分かった分かったと言って、母親を譲るか、一緒に遊ぼうと言うのではないだろうか。だが中島の夫はあわてずに「Oui, mais c’est ma femme(だが、私の妻だ)」と言う。
中島の考察は「母親というアイデンティティ一色に染まらなくてもよい。つまり、子どもを産むことによって失うものが比較的少ない。」となる。確かに日本では、出産すると��と二人で出かける機会は極端に少なくなり、母親は家に縛り付けられ、友人と会う機会も少なくなる。せいぜいママ友ができるくらいだろうか。フランスでは幼い子をベビーシッターに預けて、二人で食事や映画に行くことは当たり前だ。要するに大人中心であり、カップル中心なのである。
ピルが解禁され、専業主婦がほとんどいなくなり、パックスという「結婚」より緩やかな関係が存在し、3歳以上はほとんど子どもの教育費がかからない。こういった条件があるからこそ、フランスでは子どもを産みやすく、育てやすいのである。移民が多いせいだという人もいるが、移民が出生率に貢献しているのはせいぜい0.1%にすぎない。
日本がフランスの制度を取り入れたからといって、すぐに子どもが増えるとはいえないだろう。培ってきた伝統が違うので、そう簡単な話ではない。だが、「草食系」男子が増えたから、若者が結婚しなくなったからと嘆く前に、結婚しやすく、子どもを産みやすく、子どもを育てやすくする方法を考えてみる価値はある。この一冊にはそのためのヒントが数多く潜んでいる
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果たして2015年の日本人は少子化を解決したいと思ってるのか?とこの本を読んで思ってしまった。
フランスの少子化対策は何かこれ一つという解決方法があったわけではない。
女性の職業への自立
3歳までの子供の補助
結婚契約の緩和(パックス)
など
いい方向へ可能性を繋げていくという事しか
やりようがない。
今の日本にそのまま当てはめるのは難しいように感じる。日本では解決するためにお飾りの少子化大臣を置き、頑張ってますアピールをするのが関の山だ。
ただ悲観するのはよくない。
子供が生まれて歓迎しない社会は
社会としての健全性を欠いているのではないだろうか。
肩の力を少しだけ抜いて
隣の人と話す事から始めるべきか。
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ラテンの血なのか?フランス人は母より女性、育児は社会で行うものという意識なんだろうな。
日本では根強く、母は女性の自分より子供を優先すべきという意識があるが、制度が整ったら、変わるはず。先ずは制度だけでも取り入れてほしいな。