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紙の本
“文学少女”見習いの、卒業。 (ファミ通文庫)
著者 野村 美月 (著)
「わかったでしょう?邪魔よ」親友の瞳から、そう告げられた菜乃。しかも心葉は、そんな瞳とつきあうという!仰天する菜乃の前に、さらに、瞳の過去—人を死なせたと噂された三年前、...
“文学少女”見習いの、卒業。 (ファミ通文庫)
“文学少女”見習いの、卒業。
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“文学少女”見習いの(外伝) (ファミ通文庫) 全3巻完結セット
- 税込価格:2,112円(19pt)
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商品説明
「わかったでしょう?邪魔よ」親友の瞳から、そう告げられた菜乃。しかも心葉は、そんな瞳とつきあうという!仰天する菜乃の前に、さらに、瞳の過去—人を死なせたと噂された三年前、彼女の側にいた人物が姿を現す。瞳に何か起こっているなら、引くわけにはいかない!心を決め、動きはじめた菜乃に、心葉は一冊の本を差し出し…。瞳が抱く秘密とは?そして、迫る心葉との別れと、菜乃の初恋の行方は—。もうひとつの“文学少女”の物語、堂々完結。【「BOOK」データベースの商品解説】
もうひとつの”文学少女”の物語の、終わりとはじまり。【商品解説】
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紙の本
張り巡らせた伏線とその劇的な回収が見事
2010/09/09 00:15
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:DSK - この投稿者のレビュー一覧を見る
・“文学少女”見習いの、寂寞。(全320頁)
菜乃ちゃんの親友、瞳ちゃんの、前巻での挑戦的な引きを受けて始まりつつ思わぬ方向に進んだ展開が、次から次へと新たな意味合いを持って読み手を翻弄する見事な物語。「これは本当の三角関係だなぁ」と言える繊細で絶妙な設定を壮絶に描いている。しかも、今回の原典に漂う狂気の世界をトレースしながら、より複雑な想いを重層的に盛り込む凄さもあった。ある意味で独特の耽美も醸しており、これまで以上の古典文学へのオマージュを感じなくもない。それぞれの立場で異なる解釈がすれ違う切なさには『藪の中』(著:芥川龍之介)さえ想起させた。数多の伏線を1つずつきっちり回収していく見事な構成と展開に思わず唸る力作であろう。実は「おマセねぇ、瞳ちゃん」という中1時代の話には儚げな危うさも有するが、瞳ちゃんの大人びた言動で行き過ぎを上手く回避させており、場合によっては激欝にもなり得るところも、菜乃ちゃんの明るい猪突猛進とすっとぼけた言動が程良く緩和している。さらには琴吹さんが何とも言えない存在感で笑わせてくれる。
・ある日のななせ(タイトル+9頁)
前巻の後日談的“夕歌”とのやり取り。自分の居場所というか身の置き場所に苦慮していた琴吹さんの、心葉との距離感を見出したかのような、一種カラッとした雰囲気が良い。
・“文学少女”見習いの、卒業。(タイトル+76頁)
サブタイトルの「サヨナラのための短い物語」が全てを表す卒業式の1コマ。本編の遠子先輩に続いて心葉の卒業も描かれた有意義さと併せて、見事な成長を遂げた菜乃ちゃんが眩しく輝いている。もっと早く出会っていたら違ったのにぃ、という、菜乃ちゃんに感化された琴吹さんが弾けている。
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さよならの儀式
2010/08/31 06:17
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
長編「“文学少女”見習いの、寂寞。」、掌編「ある日のななせ」、短編「“文学少女”見習いの、卒業。」を収録。
「寂寞」は何故か井上心葉に急接近してきた有人の冬柴瞳の行動の理由を、日坂菜乃が追求して行くお話。その結果として、かつて自殺した一人の少年と、一人の先生が関係していることが分かる。モチーフは「こころ」。
誰かにとってもただ一人の人になりたい一心で行動しただけなのに、状況が少し特殊だったせいで悲しい結果になってしまった出来事と、同じような状況を作られてもその人を信じ続けることで誤解の壁を乗り越えてしまう少女が対比されている気がする。
これは、菜乃が別れの予兆を感じる物語でもあり、心葉にとって過去が過去となっていることを確認した物語でもある。だけど、琴吹ななせは心葉に都合よく使われちゃってる感じがするな。
「卒業」は心葉卒業までの一ヶ月ほどを描いた作品。モチーフは「桜の園」。
最後の思い出作りとお別れの儀式みたいなものだけれど、心葉からの最後のプレゼントは格好良い。いずれななせにも同じものをあげて欲しい。そうじゃないと、記念撮影だけで喜んでいるであろうななせが不憫な気がする。
最後に次巻、次々巻の予告がされている。ああ、時間軸が進むんだね。