わかるスペイン語文法

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者：yukkiebeer　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

　私が全幅の信頼を寄せて幾度も読み返している『中級スペイン文法』（白水社）に共著者として名を連ねる神戸市外国語大学教授が2010年に著わした文法書です。

　「あとがき」にこの文法書の特徴が明快に説明されています。『中級スペイン文法』はかなり専門的な内容が含まれた600頁にも及ぶ大部の著作。初級と中級のレベルをつなぐ文法書としては適当ではないため、その間隙を埋める書として編まれたのが本書であるようです。

　文法項目はスペイン語学習に最低限必要と思われる範囲をカバーした上で、なおかつ線過去と点過去の（初級文法書がおさえきれない）相違点や、関係代名詞に定冠詞がつく場合／つかない場合、私が『中級スペイン文法』で初めて理解できたseを使った無人称能動文など、初級レベルから一歩踏み出した範囲の文法説明が丁寧になされています。

　例文に使用されている単語も平易なものばかり。これもまた初級を一通り終えた学習者にはありがたい難易度と言えるでしょう。

　思い切って『中級スペイン文法』に一足飛びに手をかけるには、価格の面でも難易度の点でも少々躊躇するという学習者にはうってつけの内容といえます。
　言葉を換えるなら、思い切って『中級スペイン文法』へと進む腹を決めた読者は、素通りしても構わないと思います。『中級スペイン文法』は実にすぐれた文法書ですから。