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紙の本
魔王さんちの勇者さま 4 (徳間デュアル文庫)
著者 はむばね (著)
勇者の澄人と魔王の姫サフラは、誰も傷つけずに大事なものを守ると決意する。そして二人はエピック国へ。人間の国であるエピック国は、魔族のサフラを歓迎しない。それでも平穏に過ご...
魔王さんちの勇者さま 4 (徳間デュアル文庫)
魔王さんちの勇者さま4〈新装版〉
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商品説明
勇者の澄人と魔王の姫サフラは、誰も傷つけずに大事なものを守ると決意する。そして二人はエピック国へ。人間の国であるエピック国は、魔族のサフラを歓迎しない。それでも平穏に過ごしていたある日のこと、突然、国中の人が一斉に倒れた!再び澄人の前に立ちはだかるブイビィ。捕らわれたサフラ。今にも折れそうな剣を手に戦う澄人。世界の平和のために姫様が犠牲になるなんて、そんなの絶対に許さない!俺は勇者失格かな…。大人気RPGシリーズ完結。【「BOOK」データベースの商品解説】
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ドラクエ世代はニヤリとするシリーズ。2巻以降については、1巻で満足感を得られた人にのみお薦め
2011/02/10 00:17
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エリック@ - この投稿者のレビュー一覧を見る
剣と魔法のファンタジー小説。
物語は、『魔王』を倒すことを宿命付けられた『勇者』の一族である主人公の高校生・澄人が、異世界に送られ、その世界の魔王と対峙するところから始まる。
「勇者と魔王」を巡る物語とくれば、日本ではかの有名なTVゲームシリーズ「ドラゴンクエスト」以来のファンタジー作品の様式美と言えるだろう。
本作もまた、その様式美を忠実に再現した設定であるが、唯一にして大きく相違する特徴としては、「勇者が魔王と戦うことを拒絶した」点にある。
本来的には戦う宿命にあるはずの勇者と魔王が、「勇者が戦うことを拒絶」したため、あろうことか「勇者が魔王の配下になる」という形で戦いが決着する。
冒頭より、王道路線を完全否定した展開をみせており、以降は「なぜ、勇者は魔王と戦わなければならないのか」「異世界の人間である澄人の一族が、なぜ勇者の一族なのか」など、舞台設定を順を追って解き明かすという流れになっている。
第1巻においては、「勇者と魔王」が戦わなければならないという宿命に対し、一定の結論が導き出されており、以降続巻である2~3巻、そして最終巻である4巻においては、魔王の住む世界の成り立ちやその解明、また、真の意味で「勇者と魔王」とが戦わずに済む方法を模索し、実行していくという流れで物語は収束している。
やや脇道に逸れた話になるが、「まおゆう」の名で世に知られる『まおゆう魔王勇者』についても、最終的には「本来相容れない関係の魔王と勇者が手を携えて世界を変えることを決意する」というストーリー展開であったが、本作もまた骨格だけ見ればそれに近い。
ただし、本作の著者の名誉のために言明しておくと「まおゆう」が2009年9月にネット上で更新・発表され始めたのに対し、本作については同年2月刊行ということで、本作のほうが執筆・刊行共に明らかに早い。余計な指摘であるが決して有名作品の剽窃ではないことが分かる。
時系列を踏まえ、より正確な表現を用いるのであれば、「『まおゆう』が『魔王さんちの勇者さま』と一部構成が似ている」ということになるだろう。
さて、本作の特長としては、本来期待される勇者対魔王という関係が冒頭で完全否定されているという「王道・様式美の破壊」された点にある。
あまりに先が読めるB級展開を避けるため、冒頭から「王道ではない」ことを宣言している点がユニークだ。
一方で、作品の1巻~4巻までのシリーズ全般に当てはまる難点としては、1冊1冊の物語が薄く冗長であることだ。
本来、もう少しスムーズに物語を進められるところを、シリーズを振り返ってみれば、妙に間延びした展開をしているため、読むのにとてもテンポが悪い。また、1冊を読み終えた後に、各巻とも非常に印象が薄く、「結局、この巻では何をしたかったのだ?」という疑問すら残る。
特に1巻については「シリーズ化されるか先行きが不明なため、今回は無難なところで終わらせよう」という、プロ作家の妙な「業界慣れ」を感じてしまい、あからさまに「1巻完結でも、シリーズ化でもどちらでも対応可能な終わり方」をしているため、作品の中身とは別な点で嫌気することもある。
決してつまらない作品ではないし、題材としてもファンタジー好きに対して捻ったストーリーを提供している点から、意欲作と表現して良いくらいだが、シリーズ作品として評価する際には、「もう少しやりようがあったのではないか」と一読者としては疑問を感じた。正直、私個人としては、満足感に遠かった。
第2巻の終盤時点で、誰が読んでも物語の終着地点が明らかになっているのだから、その後、余計な枚数を重ねて3巻・4巻と分ける必要は、ストーリー上なかったのではないか、と個人的には感じている。
読了後にスカッとする、爽快感溢れるファンタジー作品は世の中に数多くあるので、数ある中で本作を積極的に進める理由に乏しいものの、王道とは違った作品を読んでみたいということであれば、本作はその選択肢に入ると思う。
1巻を読んでみて、一定以上の満足感が得られた人には2巻以降も薦めたい。1巻読了後にモヤモヤした感覚が残るようであれば、2巻以降もその感覚が続く可能性が高いので、積極的にはお薦めできない。
端的に表現すると、そういう作品だと思う。