紙の本
高次元宇宙について考える一冊です!
2020/02/20 11:01
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、「高次元宇宙とはどのようなものなのか」ということをテーマに、三次元に加えて最新の研究で存在が確認された「余剰次元」ということについて分かりやすく解説してくれる科学書です。同書の「はじめに」で、1998年に発表された驚くべき理論が紹介されています。それは「宇宙の大きさは0.1ミリメートル程度であろう」であろうという理論で、この驚くべき点は、宇宙がそんなに小さかったのかということではなく、宇宙が0.1ミリメートルもあったかのかという驚きだったということです。同書は、「宇宙の姿」、「重力の法則」、「空間次元と逆二乗則」、「力の法則の一般形」、「余剰次元の世界」、「余剰次元を探る」、「強い力と宇宙項問題」と、ちょっと難しそうですが、興味深い内容で構成されています。
紙の本
重力場の強さが逆二乗則と異なってか、実験で確認できる?
2011/05/14 20:41
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:萬寿生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
素人向けとしては、一つ一つの概念や事象について詳しく丁寧に解説している。この表題の本を手にするような素人には、注記の数式や計算も煩わしくはないであろう。
最近の物理学は、哲学に近くなった。超高エネルギー、超短距離、超短時間、に関する最先端の物理理論は検証する方法がない。と思っていたが、そうでもないらしい。超ひも理論や超重力理論のある面は実験で確認できる可能性があるらしい。智慧と工夫と努力があれば、百万円規模の資金でも確認実験ができるようだ。
「良くするは好むに如か。好むは楽しむに如かず。」という言葉が、中国の古典にあるが、著者自身がこの研究実験を楽しんでいる。その思いが伝わってきて、研究や実験の面白さに、ついつい引きずり込まれる。
短い距離での重力場の強さが逆二乗則と異なっていれば、我々の住むこの空間は三次元ではなく更なる次元があると確認できる。その考えの根拠とその具体的実験の紹介と解説。
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物理学者が、最先端の研究について、楽しみながら書いたのだろうなというのがわかる、とてもさわやかな読後感をもてる良書です。
社会心理学者はそういう本書けるのかなぁw
さて以前、「エレガントな宇宙(ISBN:9784794211095)」を読んで。超弦理論では、世界は11次元でできているという話に衝撃を受けた・・・というか、ぽかーんとしたのですけど。その本の後ろの方に、11次元のイメージ図が画いてあった。常識的には三次元しか図には描けないとおもっていたので、見ただけでなるほど、こういう表現もあるのかと感心した。
さて、この本が主張するのは5次元、すなわち通常の3次元プラス余剰次元2で、これまでも物理的実験結果を説明しようとする。この説明プロセスがまぁスマートなこと。万有引力の説明から、力の伝播は逆二乗則になること、それが三次元空間であることからの必然であることをひき、さらに他の力に比べて重力の圧倒的な弱さ、に言及して、それを説明するためにはたった2次元追加するだけでイイ、という流れ。素人でも、読んでなるほどね、と思わされますよ。
しかもこの話のすごいところは、個人研究室のプロジェクトでそれを検証できるということ。理論物理はいまや、スーパーカミオカンデや原子の加速装置みたいに国家プロジェクトでないとダメなんだろうと思っていたけど、筆者によると手に乗るようなサイズの装置で、家電品(デジタルビデオカメラ)でデータをとって十分検証できるという。これ、夢が近くにあっていいじゃないですか!楽しいなぁ。
さて、社会心理学者としては、当然心理学的力場はどうなっているんだろう、と考えるわけです。何次元なのか。物理法則のメタファーをそのままもらってもいいのか。それをどうやって検証するのか、「メタファー」と言うだけじゃなくてどうやって説明するのか。等高線マップモデルという先行研究はあるけど、プラスアルファがないとねぇ。
ま、ぼちぼち考えていきましょう。
ひとまずご紹介まで。
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よみたいので図書館にいったが、誰かに借りられていた・・・・。
〝わずか0.1ミリに潜む現代物理学最大の謎我々の住む三次元宇宙の至る所に高次元宇宙が顔を出していた、しかも0.1ミリもの大きさで! 万有引力の法則をくつがえす最先端理論=余剰次元モデルに迫る。”
〝ミクロの世界では重力が存在するのか、じつはまったく確認されていない。もし実験で万有引力の法則からのずれが見つかれば、それは重力が余剰次元にも伝播していることを示唆し、四つの力の統一という現代物理学最大の目標に向けた突破口となる。余剰次元探索の最前線に立つ著者が最新の考え方と実験の現場を紹介する。〝
一見とっつき辛そうですが、amazonのレビューを見ると、けっこう易しく書かれているようです。物理や数学は大の苦手ですが、ちょっと挑戦して見ようかな…。(篠崎)
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先端に近いということもあってか、結論的な内容はなくすっきりはしない。だがそれがいい。物理の今を感じられる。
なにより、実験屋である著者の、研究に対する思いと楽しそうな雰囲気が伝わってきて羨ましくなる。
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電磁気力や重力は距離の逆二乗に従って、強くなったり弱くなったりしており、これはとりもなおさず我々の空間が(通常生活している範囲内では)三次元であることを示している。この逆二乗則は、余剰次元があれば破れる(空間が四次元だとすれば逆三乗とか)。重力だけが他の三つの力に比べて桁違いに弱いが、弱すぎる故に重力の法則は近距離でも正しいのかどうか(重力定数は普遍なのか)、確かめられていない。重力が近距離では強くなるとすると、四つの力も統合できる可能性があり、それはある程度以上の短い距離では余剰次元の物理法則に従うことを意味する。ひも理論では11次元の時空を想定しており、余剰次元の大きさは10^-35mと、とても確認できないレベルの内容を主張しているが、もう少し実際的な、重力の強さを他の力のレベルに合わせることを目的とした(?)ADD理論というものがある。後付けっぽい印象だが、重力定数は数センチレベル以下で確認されていないため、こういう主張も許されるのだとか。この理論が予測するところによると、余剰次元が1(空間は四次元)だとすると余剰次元の大きさは10^13mとなり、太陽系を全て含むこととなってしまい、四次元ということはありえないが、余剰次元が2(五次元:余剰次元1mm)や3(六次元:10nm)であれば、重力定数を実際に測定して確かめることができ、もしそれが当たりであった場合は統一理論へ一気に進むことができる。筆者は実験物理学の人で、重力定数の測定装置を改良しているらしく、その熱みたいなものが伝わってくる良い内容。ラザフォードがノーベル賞を受賞した後も一般の学生に混じって統計学の講義を受けていたとか、最初に重力定数を測定したキャベンディッシュの実験系の話とか、本文中に挟まれるエピソードも興味深い。なにより、変に端折ることがなく、高校レベルで理解できるようにきちんと書かれているところがよい。・エネルギーの値も不確定性をもつ(ΔE・Δt≒h)。よって短時間であれば無からエネルギーが生じても良い(ΔE≒h/Δt)し、質量(ΔE/c2)が生じてもよい。この仮想粒子が力を伝えるが、Δtの時間内に消失する必要があるのでコンプトン波長(λc:c・Δt)までしか飛べない。質量の大きな媒介粒子によって力が伝えられる場合、距離が長くなるに従って急速にそれは減衰する。弱い力はウィークボゾンによって伝えられるので、他の三つの力とは異なり、急速に減衰する
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重力・電磁気力・強い力・弱い力の4つの力を統一するという物理学者の見果てぬ夢。その際に邪魔になるのが、一つだけ極端に小さな値を取る重力である。なぜ重力だけが極端に弱いのか?
重力だけがそこに存在する余剰次元へと入り込むからではないかという考えがADDという理論である。
その余剰次元のサイズよりも小さな範囲で重力の逆二乗則の破れ、つまり、そこで急激に重力が強くなること、が観測されれば、その証明となるらしい。
そして、その予測される余剰次元のサイズがおよそ0.1ミリメートルだと言われている。これは一般人からすればすごく小さい値に見えるが、物理学者からすればとてつもなく大きいらしい!
現在の観測精度のわずか1桁下の値に重力の破れ、余剰次元の存在が確認出来るというのだから!!
ただ、個人的にはこのADDという理論は様々な変数を有することによって、全否定を免れているだけに思える。
余剰次元の数を増やせば増やすほど、重力の破れが観測される領域が狭くなるため、たとえ現在の推測が観測によって否定されたとしても、じゃあもう1次元余剰次元があれば、もうちょっと小さな領域でないと観測されないでしょ?みたいな。
でも、その考え方はすごく面白いと思うし、そもそも物理学の知識など持ち合わせていない僕がどうこう言えるものでもないですね。
宇宙の姿から話が始まり、そこから何故力の法則が逆二乗則になるのかといったことなど現代物理学をわかりやすく説明していて、物理好きには堪らないと思います!読んでみてください!!
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2012.1.20-2012.10.21
重力、クーロン力などで見られる逆二乗則は、我々の生きる世界が三次元であることを示す。しかし、量子力学の世界で現れる「強い力」や「弱い力」は、この法則には従はない。また、重力は他の諸力に比べて桁違ひに弱いといふ階層性がある。
これらの問題を超えて全ての力を統一するために1998年に提唱されたADD模型が主張する「余剰次元」が本当にあるのかを、1mm以下の短い距離で働く重力を精密に測定することで確かめようといふ話。
宇宙論、量子力学などの歴史から、最近の動きまでを分かりやすく纏めてゐて、素人なりにとても勉強になつた。20年位前には、物理学が停滞してゐるといふ議論が行はれてゐたが、測定装置の進歩で、活気を取り戻したやうだ。
著者村田次郎氏の工夫した装置で、最先端の問題を学部の学生が研究してゐるといふのも素晴らしい。こんな先生に教へて貰へる立教の学生は幸せだ。
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実験屋さんの書いたADD模型の解説本。空間は三次元でなく,1mm程度より小さい領域では五次元かもしれないという話。洗練されていく近距離重力の実験でそれが検証できるかも?
そもそも重力や電気力などの力の大きさが,距離の二乗に反比例するという逆二乗則は,空間が三次元であることから説明できる。質量や電荷などの荷量から出る力線の密度が,距離の二乗に反比例するからというキレイな説明だ。 ちなみに逆二乗則の発見はニュートンの万有引力の法則が最初。
場の量子論の考えでは,力は仮想的な媒介粒子による運動量のやり取りで生じる。この考えでも,空間中の力線密度と同様の幾何学的な説明が成り立つ。n次元空間であれば,力は距離のn-1乗に反比例することになる。ただし,これは媒介粒子に質量がないとき。
弱い力を伝えるウィークボゾンのように,媒介粒子に質量があるときは,力の到達距離が短くなる。また,真空のゆらぎから粒子反粒子対の生成消滅の効果として,真空偏極という現象もある。これらを考慮に入れると,力の法則の一般形は,(真空偏極)×(ベキ乗則)×(湯川型減衰)となる。
地上で初めて重力を測定したのが18世紀の物理学者キャベンディッシュ。電気力は大きいのでそれより前にクーロンが測定していたが,キャベンディッシュはクーロンの発明したねじれ天秤を改良して微小な重力を測定することができた。この実験から地球の質量を求めることができたのは有名な話。
本当は,当時万有引力の法則は,天体間距離のスケールくらいでしか検証されていなかったので,それが実験室スケールでもあてはまるという仮定は根拠に乏しかったのだが,今ではこの仮定は正しかったことがわかっている。現在は,さらに小スケールにおける逆二乗則の検証が試みられている。
キャベンディッシュの実験は20cm程度の距離だったが,これを縮めていくのはかなり難しい。重力がとんでもなく小さいから,わずかな振動や帯電も相対的に大きなノイズとなり,それに埋もれて精度が出ないから。それを排除すべく巧妙な実験が設計されている。現代のキャベンディッシュたち!
ADD模型によれば,重力が他の力(電磁力,弱い力,強い力)に比べて極端に小さいことの説明がうまくできるそうだ。余剰次元がミリメートル程度まで広がっているとすると,それを境に微小距離では逆二乗則が成り立たなくなってくる。それが実験で検出できるか否か,きわどいところ。
超ひも理論で空間が十次元て説があるのは聞いていたが,余剰次元はプランク長さくらいのスケールでコンパクト化されているのが常識だった。1998年のADD論文は,この常識を覆すもので,物理学者たち仰天したという。目に見えるミリ単位で余剰次元が存在するとしたらすごい。進展に注目したい。
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余剰次元のお話.
この辺の話は他のブルーバックスの本でも触れられているが,一番話がまとまっていて読みやすかった.
とは言え読みごたえはかなりある.
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0.1mm以下の世界の重力ってどんな状態?
余剰次元ってほんとうにあるの?
4つの力の統一がおきたらどうなるの?
物理の知識まるでなしの私もワクワクした。
実験の様子が楽しそうで羨ましい。
子供の時からこういう理科の先生に出会っていたら、理系離れなんて起きないんじゃないなと思うくらい。
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重力は余剰次元を証明する鍵となるのか。この世が三次元空間ではない事は、超弦理論などでも予想されている事だが、重力という非常にやっかいなものに挑戦する様子が、本書では生き生きと描かれている。
著者は、気鋭の実験物理学者であり、非常に面白いストーリーで話が展開され、難しいながらもわかりやすく書かれている。力の法則など読んでいて、「こういうことだったのか」という再発見もあり面白かった。
学生時代に読んでいたら、著者の研究室で研究したいと感じた一冊であった。
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マイクロメートルという肉眼でも見えるサイズの余剰次元についての提案は「プランク長さ」の話ばかりのこの分野で、とても魅力的に思えました。
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近距離重力測定実験に関する工夫はおもしろい。しかし、あれ?あれ?タイトルに期待して、読んだが、まだ余剰次元は見つかって無くて、逆二乗則も破れてない、という結論だった。でも、可能性に賭ける意気込みはすごい。記述も分かりやすかった。随所に数値計算が丁寧に展開されていて、すっきり感もある。
・地球は1センチメートル以下にするとブラックホール化する。
・不確定性原理から、一時的であれば、一定の質量、エネルギーを持った粒子が発生しても良い:仮想粒子
・真空偏極:真空に電荷粒子を一つ置くと量子力学的には性質が変わり、あたかも物質のように振る舞う。→くりこみ理論の登場が必要
・くりこみ理論は、ある距離での電荷の大きさを用いて、別の距離での電荷の値を相対的に計算する手法で、無限大となる原点の値を計算の出発点として必要としていない。
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四つの力について理解は難しいが、何となくイメージを抱くことができた。それにしても最新の物理学は常識を超えている。
湯川先生はそんな昔にこんなことを考えていたのかと驚愕した。湯川理論が力の根源を理解する上でとても重要な地位にあることが今更にして判り、日本人もやるねと思った。