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紙の本
話を聞かない医師 思いが言えない患者 (集英社新書)
著者 磯部 光章 (著)
医療現場でのトラブルは患者と医師のコミュニケーション不全に起因するものが多い。患者は医師にどう心配事を伝えたらよいか、医師は患者の思いをどう汲み取るか。長年、臨床と医学教...
話を聞かない医師 思いが言えない患者 (集英社新書)
話を聞かない医師 思いが言えない患者
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商品説明
医療現場でのトラブルは患者と医師のコミュニケーション不全に起因するものが多い。患者は医師にどう心配事を伝えたらよいか、医師は患者の思いをどう汲み取るか。長年、臨床と医学教育に携わってきた医師が具体的に提言する。【「TRC MARC」の商品解説】
なぜ患者と医師の会話はかみあわないのか?
患者が医師に症状を伝えられずもどかしく思う場合は多い。医師も患者の期待に応えられないジレンマを抱えている。両者のコミュニケーション不全の解決策を臨床医・医学教育者の立場から提言する。
【商品解説】
著者紹介
磯部 光章
- 略歴
- 〈磯部光章〉1952年東京生まれ。東京大学医学部卒業。東京医科歯科大学大学院循環器内科教授。日本心不全学会理事・会長。日本循環器学会八木賞、日本心臓財団佐藤賞など受賞。
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紙の本
「お医者様」という呼び方も「患者様」という呼び方も、どっちも壁をつくっている。
2012/04/08 16:27
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
医療現場の問題をコミュニケーションの問題としてまとめた本です。書き方も飾りが無く、誠実な医師の言葉として素直に読める良い本だと思いました。医者(という立場から)の見方の特徴、患者(という立場から)の見方の特徴。それぞれが違うものを見ているということが丁寧な説明で「なるほど」と思えます。専門の循環器に関係する具体的な例を使った説明もよくわかります。
大学で教える立場からの説明では、医者の見方の傾向には教育によってつくられるものも多いことを教えられました。「一つの頻度の高い病気の説明と、一つの難病の説明にあてられる講義時間が同じなら、学生の頭の中にはこの二つが同じ大きさの引き出しに入れられてしまう。そうなると現場で難病の引き出しに手をかけてしまうことが多くなる」「医者は知識の体系を駆使して患者をみているので、個人ではなくて症例として、確率の一部としてみがち」。「固有名詞でなく、普通名詞で患者をみる」。専門家として育つうちにそうなっていく、そういうこともあるのでしょう。専門的な知識の山を登ることで遠くまで良く見える。でも、足元の広い部分を忘れがちになるということかもしれません。
もちろん、患者となる側にも沢山考えなくてはならない部分があるでしょう。知識が無い側である不安も不満も影響します。「お医者様」と呼んでいた時代には「わからなくても、おかしいと思っても」黙ってしまっていたでしょう。今でも巷に溢れる情報を鵜呑みにして医者の言葉に自分からフィルターをかけていることがないとはいえません。
「昔はお医者様。いまは患者様。」本書の中にも出てくる言葉ですが、患者と医師の関係は時代の反映。ガイドラインや統計データなど、他者からの情報ばかりを頼りにしてコミュニケーションが不足なのにはどちらにもあることに思えます。「お医者様」と呼んで患者が「希望も疑問も口に出せない」壁をつくってしまうのも、「患者様」と呼んで医者が壁をつくってしまうのも、どっちもどっちのところが。ただ、「知識・地位」があると見なされる側の方が、より多く気を使うことを要求されるのだとは思います。
それでも一対一で医者と患者が向かうとき、やっぱり「個人対個人」として信頼や尊敬が双方に必要なのでしょうね。ここまで言ってしまうと、普段の人間関係一般論になってしまいますが。
新書ですから短いし、これから医学を学ぶ学生さんにもよいかもしれません。
でも、学ぶ前にはみな「このぐらいあたりまえ」となのかも。むしろ「患者」になるときのことを考えて、「医者とはこういうところがある」と理解しておくために読むのがよいかも。