紙の本
人類の秘密がいっぱいの科学読み物
2016/09/20 00:37
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投稿者:Chocolat - この投稿者のレビュー一覧を見る
認知・進化人類学者のロビン・ダンパー氏のエッセイ集
きちんと認識できる仲間は、150人(ダンパー指数)を踏まえながらも、話題があちこちに展開するので、少々まとまり感はないけれど、科学系の読み物としては、かなり面白いです
紙の本
身もふたもなくて面白い
2015/09/29 23:03
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投稿者:タヌキネコ - この投稿者のレビュー一覧を見る
社会性動物としての人間の特徴について、生物学的に「身もふたもなく」書かれています。しかし説得力があって面白いです。訳も自然で読みやすい。
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ある調査によると、Facebookユーザーの平均友達数は229人であるそうだ。これは米国での利用に関する調査であり、数年前の調査数字が130人だったことを考えると、Facebookにおける利用歴の長さに比例して、増加していくものであるようだ。おそらく、日本の場合は、ここまでの数字に到達しておらず、150人程度ではないかと思う。
一般的にひとりの人間が、実社会において関係を結べるのが150人くらいとされている。150人を超えるとひとりひとりをきちんと認識することができないのだ。そのため、会社の組織の大きさや、軍隊の大きさなどもその数字に基づいて構成されているという。ちなみに、この数字のことを、ダンバー数と言う。
本書は、そのダンバー数を発見したロビン・ダンバー氏によるもの。進化心理学という分野に関する幅広いテーマのエッセイが凝縮されている良冊だ。
◆本書の目次
PartⅠ ヒトとヒトのつながり
第1章 貞節な脳(男と女)
第2章 ダンバー数(仲間同士)
第3章 親類や縁者の力(血縁)
第4章 ご先祖さまという亡霊(民族)
PartⅡ つながりを生むもの
第5章 親密さの素(触れ合い・笑い・音楽)
第6章 うわさ話は毛づくろい(言葉・物語)
第7章 今夜、ひとり?(魅力)
第8章 エスキモーのあいさつ(キス・匂い・リスク)
第9章 ずるいあなた(婚姻)
PartⅢ 環境や人類とのつながり
第10章 進化の傷跡(肌の色・体質)
第11章 進化の邪魔をするやつはどいつだ?(進化と欲望)
第12章 さよなら、いとこたち(絶滅の罠)
第13章 こんなに近くてこんなに遠い(人類の起源)
第14章 ダーウィン戦争(進化と創造)
PartⅣ 文化・倫理・宗教とのつながり
第15章 人間ならではの心って?(志向意識水準)
第16章 カルチャークラブに入るには(文化)
第17章 脳にモラルはあるのか?(道徳)
第18章 進化が神を発見した(宗教)
第19章 頭を使って長生きしよう(健康・知性)
第20章 美しい科学(芸術)
目次を見るだけでお分かりのように、進化心理学の取り扱う範囲は、実に広い。脳、認知、進化論、宗教、文化、集団心理学にいたるまで様々だ。とりわけ、この分野が昨今注目を集めているのは、SNSなどの普及によって、集団のつながりを可視化した状態で確認することができるからである。今ならば、話題のGoogle+などと照らし合わせて本書を読むと、非常に興味深い。
人間の「自然な」集団サイズを知るには、いまだに文明化されておらず、とくに狩猟と採集で生活する集団に着目するのとよいそうだ。食べ物を集めるために泊まりがけで移動する時は、一般的に30~50人程度の小集団が形成される。この集団は不安定で、途中で人の出入りなどもあるものとする。
反対にいちばん大きい集団は「部族」。文化的なアイデンティティでまとまっており、部族の規模は老若男女あわせて500~2500人といったところ。そして、その他の集団として存在するのが「氏族」。成人儀式や定期的な儀式のときに重要な役割を果たすこともあれば、狩猟場や水源を共有する集団として扱われることもある。これら氏族の平均人数は153人であるという。
注目したいのは氏族の平均人数と、Facebookの平均友達数が非常に近いということである。また、Twitterにおけるフォロー数/フォロワー数の合計数字は、部族の集団サイズ500~2500人におさまるユーザーが、多いのではないだろうか。Facebookは氏族的、Twitterは部族的なツールというわけだ。そして、それらを踏まえると、後発で作られたGoogle+のサークルという概念は、30~50人程度の複数の小集団で構成されることを意識して作られているではないかという仮説が立てられる。
また、人間と動物を区別しているものの一つに、「相手の心のうちに思いをはせる」というのがあげられるそうだ。この能力は、Google+を利用していると顕著に意識させられるものである。誰かが自分をサークルに追加された時に発せられる「○○さんが、Google+であなたを追加しました」というメッセージが、非常に意味深なのである。メッセージが届くたびに、自分が一体何というサークルに追加されたのかに、想いを巡らせる。その関係において、自分と相手の認識にギャップがあったとしても、それも一興だ。
さらに、人間の一雌一雄の関係において重要なのは、「パートナーにあわせて自分の行動を変える能力である」という話も紹介されている。自分のキャラクターは、場に依存するということだ。この点においても、言わずもがなであるだろう。サークル毎の情報発信の仕分けができるGoogle+の特徴は、現実の人間関係におけるキャラの使い分けということと、非常にフィットする。
集団におけるつながりこそが、人を人たらしめるべく進化させてきた。人間の進化とSNSの進化も、まるでイタチごっこのようである。人間の進化がSNSを進化させ、さらにそのSNSの進化が人間を進化させてきたのだ。そして、もっとも後発のGoogle+は、さらなる人間の進化を生み出すことができるのだろうか。
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心理学?進化論?の本ではめずらしく、図書館で予約待ちになっていた本。
なんで?と不思議になって借りてみたけれど、読み終えた感想はやはり、なんで?
特に目新しさは感じなかった。たぶん、こういった本にはめずらしいぐらい簡単に、要約して書いてあるから、読みやすいのかな?
巻末に参考文献リストも無いし、ある意味一般書に徹したところが当たったのだろう。
とはいえ、ダンバーの理論自体はおもしろい。他の本でよく紹介されていて、むしろそちらの方が詳しいので目新しさは感じなかったけれど、群れの大きさと脳の大きさを比較するなど、斬新だ。脳は社会性を得るために発達してきたという考えは面白い。
ところどころに、雑学コネタ?的なものがはさまれているので、一気に最後まで読めた。
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この本を読んで、夫婦生活が長続きするのは人間である証、とっても大変なことなんだと理解した。社会生活も同様。じゃぁ、今の個人主義への動きは進化の逆戻り?科学が進歩した上での人間社会の目指すべき姿を考えさせられた。
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ロビン・ダンバー氏による「友達の数は何人?」と来れば、「気のおけないつながりは150人」のダンバー数が真っ先に思い浮かぶ、もちろんその話も有るが、男と女の機微から人類の進化まで、幅広いネタを生物学から脳科学まで持ち出してとてもとても面白く語る一冊だ。
浮気好きな種の脳は小さいとして、脳は一雌一雄関係を保つために最も良く使われると論じ、女の視覚が男よりカラフルなのは、赤と緑に反応する錐体細胞はX染色体上の遺伝子の指令にでつくられるが、そのX染色体は男は1本だが女は2本あり、その2本が関与すれば全く同じ波長に反応するとは限らないと説明する。これが最初のネタだ。
ネタがユニークで面白いだけじゃなく文章、言葉の使い方がまた巧みなのだ、これは原文が面白いのもさることながら日本語の翻訳がとても良いのだ。と思ったらこの本の翻訳者である藤井留美氏は「話を聞かない男、地図が読めない女」の翻訳者でもあった。
ダンバー数の章ではフェイスブックやマイスペース(既に懐かしいw)などソーシャルメディアにも言及し、「友達が200人以上いるひとは、相手のことをほとんどあるいはまったく知らない。」と断定している。今現在の私のフェイスブックの友達はほぼダンパー数の153人、さて、どうなることか楽しみです。
えっ、そもそも今全員のフルネーム言えるのかって、いやぁ、facebookを海外からアクセスすると友達の写真が表示されて名前が答えられないとにアクセスできなくなると聞いたので、友達一覧をコピペでEvernoteに入れて渡航しました^^;
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なるほどと思えることが多く、面白かった。パートナーの選択など何気なくとっている私たちの先端の過程を論理的に解説してくれる。IQと平均寿命や収入に相関があるなどの残酷なデータも紹介されているが、この本全体を読めば妙に納得ができる。
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友達の数は150人が限界とゆうのは確かに自分もそうかもしれないと思った。
恋人に求める条件は進化によって裏付けされているのはなるほどと思った。
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人間が関係を維持できる人数は150人。生物学、進化心理学の観点から人間の社会性やコミュニティについて説く。面白い。が後半少しダレル感あり。
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進化人類学の本だが、大脳生理学の最新の知見も交えている。とくに面白いのは、友人の数の限界が約150人であるという説(ダンバー数)である。また、脳の大きさと一雄一雌(単婚)との関わりが大きいこと、ヒトが操作できる志向意識水準がだいたい5ぐらいであることなどである。科学や教育、宗教なども進化論を基盤に論じていて本当に面白い。参考文献リストをつくってくれるといいし、原書では22章だから、残りの2章も訳してほしいなと思う。
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とっても面白かった。人のつながり、男と女。進化、動物、文化、宗教にいたるまで、科学的に掘り下げているけど、決して難しくなく、興味をどんどんふかくしていきます。現在のフェイスブックの平均友達数が約150人といわれていますが、この本を読むとへぇーという気持ちになります。
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面白かった!
オックスフォード大学の進化人類学教授のロビン・ダンバーが執筆した本。
面白い科学的な話が多い。
一番興味をもった話。
スポーツに本格的に取り組んで猛練習に励むことと、学業成績の上昇をむすびつけるものがひとつある。それが最近よく話題になる脳内麻薬、つまりエンドルフィン(心身の苦悩やストレスを和らげる効果がある)だ。
できる人ってなんでもできるよね。このエンドルフィンが原因なのかなって思った。
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人間の日常生活を科学的に解説した一冊。本書に出てくるキーワードの一つが脳内物質「エンドルフィン」。
脳内で放出されるエンドルフィンは鈍い痛みへの鎮痛剤としての役割を持つ。「触れる」「撫でる」「笑う」という行為はエンドルフィンを放出させる作用がある。「痛みのある箇所に手をあてると和らぐのはエンドルフィンのおかげか!!」と一合点。
傷を処置することを「手当」と言うのはこのためかと二合点。
エンドルフィンについてもう一考。「健全な肉体には健全な精神が宿る。」運動をすると体内のエンドルフィン濃度が高まる。結果、心身ストレスへの耐性が高まり、長時間の知識労働に耐えることができる。
思いがけず日々の筋トレのやるきUPに貢献してくれた一冊。
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ほ乳類から類人猿、現生人類と脳が大きくなったのはなぜか。
長期にパートナーを固定する種は他の種に比べると脳が大きいらしい。
相手にあわせて行動することが必要だということと、変な相手を選ばないことのために脳を使いそのために大きくなって行った。
一定規模の集団になると社会性が要求されるのはその方が生き残るのに有利だから。
音楽、笑い、宗教やスポーツは脳内麻薬エンドルフィンを生み、免疫システムを強化したり共同体意識を強くする。
今の人間の脳で関係を構築できる人数は150人だそうだ。
つながりをキーワードに話は広範囲におよびあっという間に読めた。
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これは一体何の本なんだろう?と、ずっと頭の片隅でハテナが出ながら読みましたが、内容は非常に面白かったです。
進化心理学、というのがなんなのか。。。非常に幅広く、進化について扱う分野、みたいです。
時にジョークや自嘲、皮肉を交えながら、人間とは何か?どうして人間は人間たり得るのか?類人猿と人間の違いは何か?男と女はどうしてこうも違うのか、などなど人間や生物に関わる本質的な問題を次々取り上げています。
短い話なので、結論がわかりやすい例で明確に示されいていていて、ちょっと信憑性が怪しく思えることもありますが。。。
面白く、笑えて、かなり考えさせられる。。。読み応えのある本がした。