紙の本
イギリスミステリの心地よさと居心地の悪さの同居
2015/11/28 16:26
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投稿者:かしこん - この投稿者のレビュー一覧を見る
“シェトランド四重奏”の第三章、今度の季節は春です。
このシリーズの表紙の世界観も好きだなぁ。
今回は前二作でペレス警部に「こいつ、大丈夫か」と思われていた若き刑事のサンディ・ウィルソンが大役を! なんと帰省したウォルセイ島で、自分の祖母ミマの遺体を発見してしまうのだ。 ウサギ猟の流れ弾に当たったせいと思われるが、ミマの遺体の状況に不審なものを感じたペレス警部はひそかに調査を開始する。 公式の捜査ではないので、今回は本土からの応援はなく、サンディと協力することに。
おぉ、ペレス警部に「サンディ、大人になったなぁ」って思わせるなんて!
まだ全体的にダメダメの要素たっぷりのサンディ刑事ですが、ちょっとずつでも人は成長するのね!、という望みをつなぐことができます。 しかし事件としてはなんとも・・・狭い地域、固定された人間関係というものが醸し出す閉塞感は世界共通なのでしょうか。 島に遺跡発掘調査に来た大学院生までもそのようなものにからめとられてしまうのはものすごくかわいそう。
やっぱりなんだか横溝正史っぽい! (← 褒め言葉)
残す季節は秋(シリーズが四季の順番通りじゃないところもいい)。
第四章はすでに刊行済みなのですが、それ読んだらこのシリーズ終わっちゃうのか・・・と思うともうちょっと後回しにしようかなぁ、という気持ちになる。 でもすぐ読んでしまうんだろうな。
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ジミー・ペレスの同僚(部下)、サンディ刑事が帰省したウォルセイ島で、祖母ジェマイマ(ミマ)の遺体の第一発見者となってしまう。ウサギを狙って誤射されたように見え、容疑者はすぐに発見されるが、ペレス警部は疑惑を抱き、サンディとふたりで真実を探ることに…。奔放な人生を送ったミマ、その息子であるサンディの寡黙な父、活動的だけれどクセのある母イヴリンと伯母ジャッキー。さらに赤ん坊を生んだばかりのアンナとウォルセイ島で遺跡発掘をしている若いハティ、ソフィ。たくさんの女性が生き生きと描かれ、逆に男性たちは内向的でナイーヴ。今回はとくにペレス警部が「俺は単に詮索好きなだけの男じゃないのか」と自問自答する場面が多くて、そこがわりと好きだった。
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帰省した先で祖母の遺体の第一発見者になってしまったサンディ刑事。
事故死と思われた事件に疑問を持ったサンディの上司ペレスは、サンディと共に事件の捜査を始める。
小さな島の濃厚な人間関係の元で起こる殺人事件。
よくある舞台なだけに、そこをどう読ませるかが作者の腕の見せ所。
クリーヴスは外からやってきた二人の若い女性を登場させ、そのうちの1人の視点から物語を見せることで物語に変化をつけ、興味を引いている。
地味な捜査を通じてサンディが刑事としても人間としても成長していくのも読みどころ。
被害者の身内であったことで、主人公のペレス以上に筆を割かれている。
一方ペレスはペレスで、前作で恋仲になったフランとの結婚を思い悩むところが人間臭くていいなあと思う。
事件に至る住民のそれも含めて、一人一人の人間を描く作者の力量は確か。
事件の真相にもぞっとさせられる。
いよいよ四季4部作、残り1作になってしまったけど、刊行が楽しみだ。
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シェトランド署のサンディ刑事は、帰省したウォルセイ島で、祖母ミマの遺体の第一発見者となってしまう・・・。ウサギを狙った銃に誤射されたように見えるその死に、漠然とした疑惑を抱いたペレス警部はサンディ刑事と共に彼の親族や近くで遺跡を発掘中の学生らに接触し、事情を探りだす。果たして小さな島で起きた死亡事件にはどんな真相が隠されているのか?本当にウサギを狙った銃に誤射されたのか?それともそれはカモフラージュで大きな闇が隠されているのか?
現代英国ミステリー珠玉「シェトランド四重奏」第三弾!とのことですが、私は初めてこの作品を読みました。読んだのは第三弾ですけど、これだけでも十分面白いです。
私は英国ミステリーの雰囲気が何故か好きなんですが、この「野兎を慎む春」にも英国風を強く感じました。また展開もミステリーらしい展開の仕方なので、推理系やミステリー系が好きな人には是非お勧めしたいですね!
個人的に魅力はやはりサンディとべレスの捜査でしょうか。ミステリーでは捜査は一番大事な点だと思いますし、捜査の部分がぴんとこなかったら作品の魅力が減るとも思います。ですがこの作品における捜査とそれを行う刑事は非常に読者をひきつけます。
この第三弾を読んで前2作も読んでみようと思わせる作品でした。
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シェトランド四重奏の3作目。
独特な雰囲気が魅力的。
日本紹介は最近だけど、実はベテランの実力派。
スコットランド最北端の島で起きる事件が、綿密に描かれます。
ペレス警部はスペイン人が漂着した子孫で、浅黒い肌とスペイン系の名前を持っています。
今回は、若い部下サンディ刑事が故郷ウォルセイ島に帰っているときに事件が起きて…
霧の深い夜、いつになく農場に出ていた祖母ミマが射殺されたのです。
兎を狩りに出ていた隣人の誤射らしいということにはなりますが、それにしても不自然。
その隣人も、サンディにとっては親戚で、子供の頃からの友達一家なのです。
祖母ミマは個性的で奔放、若いときに何か事件があったという噂もありました。
ミマの息子であるサンディの父親はミマと仲が良く、母の死を深く悼みます。
サンディの母親は主婦ながらやり手で面倒見が良く、ミマとは対照的な性格でした。
ペレス警部も、捜査に訪れます。
島の古代遺跡は何度か調査され、今はミマの農場の一隅を発掘するために、村には考古学を学ぶ大学生らが滞在していました。
骨が発見され、考古学的な発見かと色めき立っていたのですが。
研究に打ち込んでいる女性も、いきいきと描かれています。
長年にわたる村の人間関係が濃密。
狭いけれど、互いによくよく知っているようで、どこかすれ違ってしまう所もあって。
のんきな若者が身近な事実に直面して、成長する話でもあります。
ペレス警部は今回は恋人にあまり会うこともなく、一人で捜査に当たる時間が長いのですが。
その間に思いを募らせて、それなりに進展が…?
単純でない読み応えを楽しめるシリーズです。
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終わってみれば犯人自体は至ってシンプル、動機はやや強引さを感じるもので新しさやすっきり感は少ないのだが、事件解決に至るまでの人間模様の描き方が秀逸。
特に複数視点で語られていく物語の中で、微妙に広い空白の時間を忍ばせながらのカット割がくせになる。最初は唐突に場面転換するので、違和感を感じたが、慣れてくるととても技量を感じさせる味のある書き方だと思った。
期待以上におもしろかった。
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〈シェトランド四重奏〉第3章。ひたすら人間模様。登場人物それぞれの物語が描かれるがあんまり良い人っていないもんですね。人間ってそんなもんだよなー。
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シェトランド四部作の三作目。今回フランはロンドンヘ行っていてほとんど出てこない。テイラーも出番なし。代わりに出ずっぱりなのがサンディ。前作までは幼稚で浅はかなお荷物くんという描かれ方でしたが、今回故郷の島で祖母の死んでいるのを発見し、事件の当事者関係者がみな自分の近親者であるというむつかしい立場に身を置くことになり、ペレスだったらどうふるまうだろうかと想像しながら対応しているうちに身の処し方がわかってきて、ペレスをして「新しいサンディ」と言わしめる成長を見せます。一度も島を出たことがないが個性的で発展的だったサンディの祖母ミマと、ミマの敷地で遺跡の発掘作業をしていた内向的な本土の学生ハティの二人の女性の対比が印象的。人間ドラマが相変わらず読み応えがありましたが今回謎解きはやや後味が良くなくて残念でした。
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シェトランド四部作の三作目。最終作が出たのを知り、慌てて読む。「本の雑誌」で矢口誠さんがその最終作について「予想を遙かに超える衝撃度」「ある意味これは究極の反則技」と紹介していた。うーん、期待しちゃうなあ。
本作は、シリーズ前作と同じくエキゾチックな大人のミステリ。シェトランドの小さな島で起きた事件をめぐって、おなじみペレス警部が錯綜する人間関係に分け入っていく。この警部が突飛なところのないじっくりした人柄で、好感を持って読んでいけるところがいい。また、今回特に感じたのが、女性の描き方が丁寧で、ミステリによくあるステロタイプなパターンに陥っていないことだ。これはそんなにたやすいことではないと思う。
さあ、この四部作はどんなふうに幕切れを迎えるのか。楽しみだ~。
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シェトランド四重奏シリーズ第3作。
ペレス警部の部下サンディの祖母がウサギ狩りの誤射で亡くなった。不幸な事故に思えたが、彼女の土地で発掘調査をしていた大学院生が自殺して……。
今回のテーマは親子。血はつながれど一筋縄ではいかないのが家族関係で、愛憎入り混じった複雑な心理が視点を変えて丁寧に描かれている。
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実家のあるウィルセ島に帰ってきたサンディ刑事。祖母の家の庭で発見した祖母ミマ・ウィルソンの遺体。酒をのみ兎狩りをしていたサンディの従兄弟ロナルドが誤射したと思われた事件。捜査にあたるペレス警部。ミマの家の近くで発掘作業を行う大学のチーム。大学院生のハティがペレスに証言をしようとした夜に殺害される。戦争中に死んだミマの夫ジェリー。戦争中に防衛活動をしていたジェリーとロナルドの父親アンドリュー、セドリック、ノルウェー人の男。ドイツに通じたとして殺害されたノルウェー人の男。ジェリーの死に隠された秘密。
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シェトランド四重奏シリーズ第三作目。今回は主人公ペレス警部と同署で勤務するサンディ刑事の故郷ウォルセイ島が舞台。祖母の死体をサンディ刑事が発見し、ペレス警部と捜査を進める。祖母の農場で考古学の学生らが発掘調査をしていたことがきっかけで、島の遠い過去の出来事とが重なり佐通人事件に発展していく。前作同様過去の秘密が現在の殺人に繋がるパターン。今作はきっかけとか動機とかそういう部分が前作より浅く感じた。狭い島に住む人の閉塞感を感じながら読むのに慣れてきたかも。
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シェトランド四重奏第3弾。
このシリーズで読むのに一番時間がかかった作品。
舞台がシェトランドからウォルセイ島に移って、島が狭くなって息苦しさを感じるのかな?と思ったけど、この後の4冊目ではもっと狭い島でそれを感じなかった。
ちょっとしんどかったけど、サンディ刑事の成長ぶりは見ていて嬉しい。
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シェトランド四重奏3作目。ペレスの部下、サンディの故郷での話。おもしろくない訳ではなかったが、なかなか読み進めにくく時間がかかった。
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いくつもの家族の因縁がからまって、今にいたる。
じっくりじっくり読みました。このシリーズ、なんとも言えない、惹き付けられる感じがあります。あと1冊かぁ。
サンディの成長ぶりがいちじるしい!