紙の本
顰蹙文学カフェ
2020/04/12 18:46
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投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
小説家は、顰蹙を買うくらいがいいという調子で、文学について対談をしていくスタイルの本。
中原昌也のネガティブさは、応援したくなる感じだと思った。古井由吉の、内向の世代と第三の新人の違いについての話は面白かった。
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高橋と山田が「作家とは顰蹙を買うべきである」といった視点に立って、ゲストを呼んで文学話をするという対談集。
ま、そんな前提で呼ばれるゲストも話していて大変だったと思いますけど、それなりの変人ばっかりで、全体の色的には統一感がありましたね。(^^;
最後の寂聴さんがちょっと意外なセレクションだなぁと思いましたけど、一番話がかみ合ってるような気がして面白かったです。
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山田詠美と高橋源一郎の書くものは好きだけれど(最近のものはそれほど評価しないが)文学について語る際のある種のうさんくささが、時々気になる。山田詠美以前の文学者って、文壇バーみたいなのがあって、文学者が女の子と編集者はべらせて、偉そうに文学論をぶってたのだろうことは想像できる。権威をふりかざしてたのかもしれない。山田詠美は自分はそんな文壇の権威にはならない!と思ってるのだろう。けど、いろいろ文学やら文壇やらについて書いたことを読んでいると形を変えただけで、編集者とつるんで、仲のいい文学者とある種の権威を作ってるような気がしてならないのだが。以前の文壇ぶっこわして別の文壇作ってるだけじゃないか。この本見てるとそんな気がしてならない。前の文壇よかいいのかもしらんけれども。いや、この本に書いてあることはおもしろいのですよ。文学が力を失ってるのは確かだし、ばかもので若者でよそ者で顰蹙が文学というのもわかんなくはないですし。文学論もいい。でも、なんだか「私たちは、いままでの文学と違うんですよー。」「私たちのときはこうだった。」「最近の若者はなにやってんの。」というスタンスがものすごく気になる。そういうこと言い出す時点で、もう過去の人だよ・・・もうはやんないんだよ・・・好きなんだけど新しい文学の話になると、ちょっとずれてきてて、かわいそうになってしまう。文学は本当に死にそうなのでしょうか?山田詠美や高橋源一郎だけにまかしといていいとも思えないんだけど。ま、文学者はそういう風に自意識過剰でいいと思いますが、ああ、でも、横で山田詠美が飲んで文学についてぶってたら、権威になっちゃってますよ。ってささやきたいー。こんなこといってますが、顰蹙文学カフェ、横で聞きたいです。文学の話を一緒にしたいー。ついていけないでしょうけども・・・
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おもしろかった。とくに、中原昌也がゲストの回は本当に噴き出した。小説を書くのがいや、とか、お金が、とさんざんぼやく中原氏を高橋源一郎と山田詠美が励ます図がおかしい。やりとりはおちゃらけている感じだけど、文学賞の選考会の話とか、みんなすごく文学が好きってことがわかって、なんだか感動すら。やっぱり本を読んでいこう!とか思ったり。最近読んでなかったけど、山田詠美はやっぱり読み続けるべきなのかも、とも思った。
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うわっ、こんな文学界のうちわ話、読みきれるのかな?
と思ったのですが、面白くて、読みきっちゃいました。しかし…文学者は、そりゃあ、世間から見たら顰蹙者なんだろうな、と思います。思いつつも、具体的に名前が浮かんでくるのは、自分のイメージとしては太宰なんだけど。私みたいに、いい年しても同人絵なんか描いてる奴も、もれなく顰蹙者だと思います。…それにしても。少し前までは誰でもわかる言葉だと思っていましたが、最近『顰蹙』という言葉を聞いていなかった気がします。…もしかして死語なのか?
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小説の条件を満たすものは、世の中にどれだけあるだろうか。言葉と文字さえ知っていれば書けると思い込みがちな「文学」というシロモノは、本当に本当に得体の知れない恐ろしいものです。自分が書くお話なんか全然小説なんかじゃあなかった。小説はストーリーでも文章でもなく、文学なのであります。個人的には、高橋源一郎、山田詠美、島田雅彦のお三方の飲み会に紛れて話を盗み聞きしたい。
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「顰蹙」買えたら作家は一人前、と文学は古臭いと思われていることに嘆く、文学大好きな作家2人が、好きな作家を呼び散らして、語り散らす。不真面目な対談ばかり。
顰蹙を買うことは才能で、顰蹙を全く買わない今の作家はつまらないとばっさりと切る。つまり、常に新しい物を読みたいという欲求が、普通の読者よりも強い。「つまんない作品ばかり」と言って芥川賞を辞めた石原慎太郎さんも、きっとその一人でもあるのでしょう。
まあ、何が理解できるとかそういう本ではないけれど、きっと読んでいて楽しいし、さらに小説を楽しめる。
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すっごい面白い!
中原昌也さんとの対談は、もはや中原氏のコミュ力復帰へのリハビリに近い…
高橋さんと山田さんのなだめす様子と、中原氏のすねっぷりに何度も笑いました。
13.07.01
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すばらしく元気が出た!
作家になることは狭き門、とはよく言う事だが、
その狭さは作家たちの文学に対する「好き過ぎさ」から来ているのかも、と思った。
なんとなく、批評されたり論じられたりすることとか、いぶかしげな感じで見られそうな感じとか、ある種のレベルに達してなさみたいなものへの畏怖があったりして、文学や、ブンダン? や作家という人に対してまっすぐにコミット出来ない感を感じてたけど、そんなことないかもなー、と。
素直に本がすき、小説がすき、物語がすき、と言ってもいいような気持ちになれた。
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時代の主流から外れた視点とか、タブー視されている行為とか、過激な思想、
そういう領域に切り込んでいく作家を、わたしは欲します!
そんなわたしが、そんな顰蹙文学に、ついていけないことも間々あるだろう。
でも、そういう作家がいつの世も存在することを欲します!
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買った。電車乗った。読んだ。着いた。切符なくした。帰った。本棚に投げた。切符落ちてきた。
誰もが想定内のことしか言わない中で、古井由吉はさすが。
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なんか力みが抜けるというか、自然体の文学観というのかな。個人的に共感できるところの多い文学観を持っている二人(高橋源一郎と山田詠美)とゲストの人による文学談義。山田詠美さんは読んだことがなかったので興味をもちました。いろんな作家がいていろんな事考えてて。それが硬い感じじゃないのが良かった。可能性を模索するってやっぱ面白いなっていう。後、小説好きなんだなぁっていう。書くこと、読むことに対する想いがひしひしと伝わってきて気持よかったです。
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高橋源一郎と山田詠美が、五人のゲストを招いて、文学談義をくり広げている本です。ゲストとして登場するのは、島田雅彦、中原昌也、車谷長吉、古井由吉、瀬戸内寂聴です。
「「顰蹙」を買えたら、作家は一人前」という考えが打ち出され、若い世代の作家たちに発破をかけるとともに、著者たちよりも上の世代でなおも精力的に創作にとり組んでいる作家にエールを送っています。
文壇の権威からはずれたところに立っていることを標榜する著者たちですが、高橋は後進の作品について好意的な評価をさまざまな機会を見つけておこなっており、山田も芥川賞の選考委員を真摯に務めていることで知られており、皮肉でもなんでもなく、二人とも文壇の権威として果たすべき役割をじゅうぶんに果たしているという印象をもっています。本書でゲストを招いておこなわれる鼎談でも、「文学」の正統なおもしろさをまっすぐに読者に伝えようとする二人の熱意が伝わってきました。と書くと、やっぱり皮肉のようになってしまうのですが、たのしんで読むことができました。
それはさておいて、高橋の小説は好きなのに、彼が好きだと語るものはどうしても好きになれないというのは、いったいなんなのだろうと毎度のことながら感じています。