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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2011.8
- 出版社: 研究社
- サイズ:19cm/281p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-327-37729-8
読割 50
紙の本
レッド・ステイツの真実 アメリカの知られざる実像に迫る
著者 西森 マリー (著)
共和党の強い非都会型・農業地帯の州「レッド・ステイツ」。アメリカの半分を占めるこれらの州の情報は、ほとんど国外に伝えられることがない。レッド・ステイツの驚きの実態を、世論...
レッド・ステイツの真実 アメリカの知られざる実像に迫る
レッド・ステイツの真実
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商品説明
共和党の強い非都会型・農業地帯の州「レッド・ステイツ」。アメリカの半分を占めるこれらの州の情報は、ほとんど国外に伝えられることがない。レッド・ステイツの驚きの実態を、世論調査等を交えながら紹介する。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
西森 マリー
- 略歴
- 〈西森マリー〉カイロ大学で比較言語心理学を専攻。ジャーナリスト。著書に「オバマ失言で学ぶアメリカ」「警告!絶対にマネをしてはいけない「ブッシュ君」英語集」など。
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紙の本
あの国を理解するまでの遠い道のりの第一歩
2012/01/23 23:22
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:uh312 - この投稿者のレビュー一覧を見る
軽い気持ちで本書を手にとって思わず引き込まれた。「アメリカ合衆国の総意」として日本で報道されている国論がどれほど米国内で割れているのかを記してある。著者はわりとあっさり(ばっさり)記述しているが、その内容は果てしなく深い。この本の内容を表面的に留まらずきちんと理解するには本格的な修士論文一個分の勉強量を要するのではないだろうか。
類書で言えばアメリカ人の進化論に対する考えなど、マイケル・ムーアや町山智浩、柳下毅一郎らが現代アメリカ映画の評論から社会分析をする際によくネタとして出て来る「現代アメリカ人の歪んだ宗教観と、正しいツッコミの作法(「こうやってアメリカ人を笑え」という筆致の記事)」の正統な系譜に本書も沿っているが、むしろそれらより数段きちんと整理されているだけに本書の深い理解には相当な知的教養を要する(今の私には初見の事項だらけで無理だった…)。しかもこれを英語で表現しつつ敵を論破できるようになるまでには、当分野に疎い私にはさらにはてしない時間を必要とするだろう。
このレビュー自体も初読直後の感想なのでまとまりが少ないが、本書を踏まえてオバマ就任直後に彼の演説が日本でブームとなりかけた現象を顧みるに、我々日本人はさらに一歩踏み込んで「なぜ彼がそんなセリフ・単語を使っていたのか(つまりどういう国内集団の意見への賛成・反対を表明しようとしていたのか)」をきちんと理解しなくてはならないと思うに至った。ネットで見ると著者はNHKでも放送していたアメリカのドラマ「ザ・ホワイトハウス」の演出における宗教描写の分析をメルマガか何かに連載していたらしく、その取材が本書のもとになっているようだが(現物は未読)聖書のきちんとした理解もなくアメリカ政治分析の真似をすることが、さほど厚くない本書を読むだけでもいかに荒唐無稽であるか思い知らされる。
かつて大学院でアメリカが「マニフェストデスティニー」以来の宗教・正義観をアジア政策に転用してきた歴史解説を部外者なのに聴講したことがあるが、「アメリカの総意(各政権の思惑)」だけでもブレまくりで追跡に苦労して、さらに深くその各時代の米国内の利益集団の宗教観まで踏み込む余裕はなかった。たとえば次回作では本書と対にした編集で、引用されている聖書の文面や思想・信条などを利益団体がどう都合よく編集して自分たちの主張に使ってきたのかを(他国にどのように迷惑をかけてきたのかをこの文体で)、今度は時系列で変遷を追ってもらえると(タテ・ヨコの歴史の紡ぎ合わせで)読者の理解も深まるのではないだろうか。
結論として、本書は激しくお勧めに値する。西森氏の著作は数冊読んできたが、こういった社会分析での切り口の鋭さと完成度は徐々に増してきているように思える。この分野での続編をぜひ期待したい(絶版になってるものも多くて数年前に西森氏の本に興味を持ってから入手にわりと苦労した記憶もあり、出版社の方にはその面での配慮もいただけるとありがたい)。本書こそ全国紙の書評欄に載るのにふさわしいと思う。