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紙の本
拝領品次第 (幻冬舎時代小説文庫 妾屋昼兵衛女帳面)
著者 上田 秀人 (著)
妾屋昼兵衛の口利きで老舗両替商の用心棒になった大月新左衛門は、働きを認められ妾の護衛を任される。だがそれは、苦難の闘いの始まりだった。江戸では、表沙汰にできぬ盗難事件が多...
拝領品次第 (幻冬舎時代小説文庫 妾屋昼兵衛女帳面)
妾屋昼兵衛女帳面二 拝領品次第
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商品説明
妾屋昼兵衛の口利きで老舗両替商の用心棒になった大月新左衛門は、働きを認められ妾の護衛を任される。だがそれは、苦難の闘いの始まりだった。江戸では、表沙汰にできぬ盗難事件が多発。裏には、将軍家斉の鬱屈に絡んだ陰謀が。嗤う妾と、仕掛ける黒幕。否応なくのみ込まれていく昼兵衛と新左衛門は、危難を振り払えるか?疾風怒涛の第二弾。【「BOOK」データベースの商品解説】
妾屋昼兵衛の口利きで老舗両替商の用心棒になった大月新左衛門。一方、江戸では表沙汰にできぬ盗難事件が多発。裏には将軍家斉の鬱屈に絡んだ陰謀が。巻き込まれる昼兵衛と新左衛門は、危難を振り払えるか?【「TRC MARC」の商品解説】
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紙の本
剣術の使い手にのびる権力の誘惑
2012/04/08 22:01
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
今まで将軍のお側に仕える腕の立つ旗本という主人公設定が多かった上田秀人の小説であった。今回は妾屋昼兵衛シリーズの第2弾であるが、本シリーズは妾屋ならぬ山城屋昼兵衛が雇う用心棒、大月新左衛門が登場する。こちらの方が主人公らしい。勿論、剣の腕は比肩しうるものがない。
この大月は第1弾では伊達藩の武士であったが、御家騒動で脱藩した。したがって、今回の身分は所謂浪人である。妾屋の用心棒として手伝いをしながら日々の糧を稼いでいる。本書で登場する大物といえば、小姓組頭と将軍家斉であろうか。小姓組頭は林出羽守忠勝である。まだ身分は高くはないが、小姓なので将軍家斉の側におり、家斉のお気に入りという設定である。
町人勢力が台頭してきた時代で、経済は町人が動かしている。戦がない世の武士とは一体何をしているのかと言えば、政のはずである。しかし、政治は金がかかること古今東西違いはない。経済を握っている町人に首を押さえつけられているのが武士である。
いずれの藩も参勤交代や普請を命じられ、多額の金が必要となる。これこそ幕府の狙い通りであるが、藩は札差や商人から金を借入れなければ藩の財政が破綻して改易となる。それをくい止めるための必死の努力を行うわけである。商人側は貸しこんだ挙句改易にでもなると、回収ができなくなるのでこちらも必死である。
結局、何らかの担保を取ることになるのだが、それが将軍からの拝領品ともなると、管理も並々ならぬものがある。その拝領品を巡っての駆け引きが本書の焦点となっている。大月の剣の腕前は冴え、手柄を立てることになる。用心棒同士の結束や会話が出てくるのも珍しい。
妾屋の用心棒が将軍とつながることはないと思っていたが、最後にそれにつながる引見がある。もはや主を求めず、気楽に用心棒稼業に勤しもうとしている大月新左衛門であるが、果たして周囲がそれを許してくれるのだろうか? あるいは従来と同じパターンで権力と関係を持つのであろうか? ちょっとした見モノである。