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紙の本
たったひとつの冴えたやりかた (ハヤカワ文庫 SF)
著者 ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア (著),浅倉 久志 (訳)
【星雲賞海外短編部門(第19回)】【「TRC MARC」の商品解説】
たったひとつの冴えたやりかた (ハヤカワ文庫 SF)
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収録作品一覧
たったひとつの冴えたやりかた | 11−121 | |
---|---|---|
グッドナイト、スイートハーツ | 123−214 | |
衝突 | 215−371 |
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紙の本
冴えたやり方?
2016/07/15 07:36
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みどりのお魚 - この投稿者のレビュー一覧を見る
(ネタバレ注意)
読みづらくて何度も挫折したSF小説をようやく読破。
「マジかよ・・・こんな物悲しい結末かよ・・・」
というのが第一話の感想。
表題の「たったひとつの冴えたやり方」だが、
主人公が極限の状況下で打開策を見つけ出す・・・的などんでん返しを
期待して読んでいたので肩透かしを食らった。
自分はやっぱりハッピーエンド主義者なんだなあ。
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「恐ろしい笑顔」がチャーミングな司書がオススメする三篇
2007/02/18 23:25
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:宇宙の三文文士 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ファンシー(?)な異星人「コメノ」にけっこうメロメロな主任司書の「モア・ブルー」さん。ラブリーなキャラです。
単なる息抜きのインターミッションのようにも思える彼らのやりとりは、裏付けにも一役買っているようです。
たとえば、「第一話」を編纂する際に元となったとされる「テープ」がもし、少女の一人芝居だったとしたら?
「ここには近づくな!」と警告して、そこにあるナニモノかを独り占めにしている可能性だって出てきてしまう。
しかしあのやりとりがあるおかげで、後々にしっかりと確認された事実であると認識されるワケです。
…でもちょっと、「ベタ過ぎる」かも。読んでると、赤面しちゃう人もいるかもしれない。
第二話の「焼け木杭」は「モア・ブルー」さんのちょっとイジワルな当てこすりだったりして…。
さて、彼らのやりとりからも聞いて取れるように「第三話」に著者のメッセージ性が最も込められているように感じられます。
あらゆる面で不幸な状況が重なり合って起きてしまったファーストコンタクトを最終的にハッピーエンドに導いたのは、どんな犠牲
を払ってでも最後まで「和平の道」をあきらめなかった「鋼鉄の意志」があったればこそ。
そこまでしてでも「後の世界(星界?)の平和のためには、これほどの努力と覚悟は必要だ」と、訴えているように思えます。
それは「現代社会」に対する著者の痛烈な批判なのかもしれません。
ところで、「第一話」の少女の糧食に関する描写が気になってしょうがないのですが…。
ンコしないのか、この娘は?(気にしなくてイーのっ!)
紙の本
ハンカチのご用意を
2001/09/24 20:43
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ポーリィーン - この投稿者のレビュー一覧を見る
3つの中篇が入った作品集。中でも表題作にはボロ泣きしました。川原由美子の表紙に惹かれ、どんな話か知らずに読み出した為に単なる楽しい未来系少女小説なのかと思っていたら…。結末は衝撃的でした。そこへたどり着くまでの物語にひとつも無理はなく、そうする以外の方法もなく、まさか!? と思った時にはただ涙するしかありませんでした(号泣きでしたが)。でも、(途中までは)楽しい話でもあるので悲観的にならずにお読み下さい。
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趣味的な自伝的な
2001/06/30 19:06
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:猫 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ティプトリーはSF界屈指の知性の持ち主ですが、同時にチープなSF世界に対して並々ならぬ思い入れの持ち主でもあります。古典的な未来宇宙を舞台にした三つの中篇を収めた本書でも、両者のせめぎあいが見られて、大変に興味深いものがあります。登場人物たちには、少なからず本人の実生活が反映されているそうで、非常に感慨深いものがあります。
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この小説を読み終わる前にハンカチが欲しくならなかったら、あなたは人間ではない。
2001/01/03 13:35
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちゃぼ - この投稿者のレビュー一覧を見る
十六歳の少女コーティー・キャスは誕生日にプレゼントされた宇宙船を改造し、たった一人で外宇宙へ飛び出した。《リフト》を越えて冷凍睡眠から目を覚ましたところで、彼女は行方不明の難破船からのメッセージを受け取ることになる。記録されていたのはエイリアンとのファースト・コンタクトについての不可解な報告。だがコーティーはそのエイリアン、シロベーンと出会い、やがてメッセージの意味を知ることになる。元気いっぱいの少女コーティー・キャスと心優しき異星人シロベーンが《消えた植民地》で見たものとは……
批評家に『この小説を読み終わる前にハンカチが欲しくならなかったら、あなたは人間ではない』と言わしめた表題作『たったひとつの冴えたやりかた』他二編を収めた作品集。正に、これを読んで泣けなかったら自分の人間としての資格を疑った方がいい。これはむしろ、日本人の心の琴線に触れる物語なのだ。
作者のジェイムズ・ティプトリー・ジュニアは長い間覆面作家のままであり、本名はおろか男性なのか女性なのかさえ知られてはいなかった。やがてそれは作者本人の口から明らかにされることになるのだが、衝撃はそれだけではなかった。
ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア、本名アリス・シェルドン夫人は、本書が日本で刊行される少し前の1987年5月のある朝、弁護士に電話をかけて後事を託した後に、病気で寝たきりになっていた最愛の夫ハンティントン・シェルダンを射殺、同じベッドの上で自らの頭を撃ち抜いて亡くなった。夫は失明の上にアルツハイマー症の兆しがあり、彼女自身の患っていた心臓病も悪化していた。彼女は七十一歳、夫は八十四歳であった。警察の発表によると、かねてから二人の間には自殺の取り決めがあったという。戦後ヨーロッパの瓦礫の中で結婚し、四十年以上もの間愛によって結ばれてきた二人の、それが最期だった。
この作品集にはそんな作者のノスタルジーが満ちている。ヒューゴー賞やネビュラ賞を獲った作品が収録された『愛はさだめ、さだめは死』のように実験的野心的な『いわゆるSF』ではないものの、郷愁と優しさに満ちあふれた世界がこの本には広がっているのだ。
それにしても、ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアほどの作家になっても、日本では未訳が多い。先ごろ早川書房から『故郷から10000光年』と『星ぼしの荒野から』が出版されたものの、ティプトリーの未訳の名作はまだまだあるのだ。
ところで、この『たったひとつの冴えたやりかた』を読んでティプトリーに『目覚めて』しまったあなたに次にお薦めできるのは、『星ぼしの荒野から』である。『たったひとつの冴えたやりかた』を「つまらん」と吐き捨てる(けしからん)私の知人も『星ぼしの荒野から』に収録された『おお、わが姉妹よ、光満つるその顔よ!』を絶賛していたのだ。私自身としてはやはり『たったひとつの冴えたやりかた』を上位に置きながらも、『星ぼしの荒野から』に収録された作品からは『スロー・ミュージック』や『たおやかな狂える手に』をお薦めしたい。