紙の本
図書館の存在意義にまつわるエッセイ
2020/06/27 22:47
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投稿者:dsukesan - この投稿者のレビュー一覧を見る
図書館利用者の視点から、図書館の役割、出版社や著者と図書館との共存に向けた私見などが綴られたエッセイ。
電子図書時代に図書館が読者層を増やし、出版部数を増やすことに貢献し得ることや、大活字本により高齢者へ読書の楽しみを提供でき老人福祉にも貢献し得ることなどに気がつかされた。
図書館での選書の方針には、確かに興味を唆られる。
地域との対話を通じて読書の楽しみや課題解決の糸口の提供、地域資料や絶版本の保存などをし、読者層を増やすことが出来れば、無料貸本屋との謗りをはね返し、図書館の役割をアピールできるのではないかと思った。
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「娯楽としての読書を求めて,図書館に通いはじめ,公共図書館が公立無料貸本屋であってなぜいけないのか」という主張に,図書館関係者はどのように答えるのだろうか。
「話題の本ぐらい,自分のお金を出して,買ってよ」。その通り。そうすると,図書館で借りるのはどんな本になるのだろうか。また,型崩れした本を貸し出す図書館は少なくない。いったい,図書館は何をサービスするのだろうか。
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副題は『当世「公立無料貸本屋」事情』。こう書かれて、反応しない図書館関係者はいないだろう。
著者は出版会OBとしての経験を交えながら、図書館の複本をして「公立無料貸本屋」と非難すべきではない、と論じて複本を肯定している。
自らを「隅の老人」「後期高齢者」と何度も貶めつつ、文章からは、本に関わって仕事してきた者特有のプライドや本へのこだわりが滲み出ている。氏の歩んできた出版の歴史などは興味深くためになるものが多かった。
個人的な希望が多いに入っているが、私自身は「好き勝手をいっている」という気はせず、図書館への提案や印象は、利用者の目線として響くものもあった。
図書館側の者とそうでない者、また、本への愛着の度合によって、読んだ印象や感想が大きく異なるだろう。
この本が話題になり、多くの人が「図書館」について自分のものとして考えるきっかけになればいい。図書館をとりまく状況に新たな可能性を感じた一冊。
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(ちょっと不真面目だけど、『図書館戦争』のDVDを観ていて思い出した)
全くの使う側からの目線で、図書館側のデータは、本当にデータだけで取材したような形跡はなし。
でも内容は図書館のみならず出版に関わる事柄まで広くて、感心しながら読んでたら読み終わった感じ。
いや私だってこの本そのもの、図書館から借りて読んだわけですが
なんかこの本は図書館にあるのにふさわしい図書だなと思った。
『図書館は利用されてナンボ』(要)
ってのがあったと記憶していますが、ええ、利用させていただきます。
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出版業界に携わっていた割に、図書館への期待は高い。
図書館のヘビーユーザーとしては、歴史を少し垣間見たという点では読んでよかった本です。
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長年の業界経験、老いてからの利用者としての目線が絡まり、極めて実践的、実用的な提言の書になっていると思う。
大活字本としての電子書籍、といったアイディアはぜひ実現すべきだと思う。
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出版に携わっていた人でも、図書館への理解度ってこの程度(良い意味でも悪い意味でも)だったのかと目から鱗。紹介されている『フェルトリネッリ』が読みたい。うちにあったような気がしたんだけど見つからない。
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図書館に通う著者が、図書館についての様々なことと、本についての様々なことをテーマを決めて書いている本。
ブログはこちら。
http://blog.livedoor.jp/oda1979/archives/4505859.html
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「当世公立無料貸本屋事情」という副題が示すとおり、最近その運営方法が各地で大きく見直されてきている公立図書館の「過去と現在」を対比させながら論じたエッセイ集。
主として雑誌「みすず」に連載されたエッセイ「『点と線』と書評の役割」を中心に17編を収録。
出版界に身を置きながら、老年に至って初めて公立図書館を日本のエンターテインメント小説を中心に利用し始めた著者の視点から、「目からうろこ」の驚きに満ちた図書館事情が伝えられる。
著者は海外翻訳小説を主体に仕事をしてきた関係もあって、面白本の発掘と合わせて、図書館の購入する本の選び方やその予算額などに興味をもって調査を進めていく。
そこで明らかになっていくのは、日本の図書館の特殊な成立事情だ。第二次大戦終了後、米軍の占領政策を経て整備された公立図書館のことなど全く知らんかった、、、
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リタイア後の公立図書館通いを綴った随筆。
だが、ただの図書館利用記録でも読書日記でもない。
公立図書館への「公立無料貸本屋」批判を背景に置き、折々に図書館から借りて読んだ本とそれにまつわるエピソードと図書館利用者として思うところがたくみに絡み合わさって一編一編がまとめられていく。
図書館はむしろ「公立無料貸本屋」であってよく、そういうものとしていっそう充実すべきインフラであると著者は言う。
同時に地域(著者によれば街)の図書館が立派な?「公立無料貸本屋」になるために、今後、図書館と出版、作家とがすべきこととして述べられていることも示唆に富んでいる。
自分のなかでは、最近、書店や出版社の方々とお会いして話したことともつながった。
出てくる本も読みたくなる。
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図書館は無料貸本屋として利用しています。
著者はレファレンスサービスについてほとんど触れないので、私が無料貸本屋と図書館の違いの最たるものと思うものは著者にとって意味のないものなんだなと思います。
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僕も図書館をよく使う。『当世「公立無料貸本屋」事情』というタイトルに惹かれる。著者は出版業に長く携わり、かつては貸本屋も営んでいたという著者が何を語るのか。ところが、過去の詳細な描写に対して、現在は隠遁した老人として公立無料貸本屋を利用する著者の立場はずいぶんと身近、いやそれを通り越して、ぼやきにさえ見えてしまう。過去と現在の断層が大きくて、「当世」を期待したのに過去の話のほうが面白いという皮肉。公立無料貸本屋をなくさないでほしい、あれしてほしい、これしてほしい、という要望が目立ってしまう。過去と当世を断層ではなく、連続した変化として読めれば、この本は面白いかもしれないが、僕にはなかなかむずかしい。
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図書館は「公立無料貸本屋」ではいけないのか? という問いかけから始まる図書館を利用しての読書エッセイ。
出版界から第一線を退いてから図書館で小説を借りるようになりおもしろさにはまった、という著者。
でも<当世「公立無料貸本屋」事情>という刺激的?なサブタイトルからもうちょっとつっこんだ図書館への取材や考察があるかと思ったらちょっと期待はずれ。
あちこちで取り上げられる匿名の人物や地名もなんだか中途半端でもやもやする。
でも昔の大橋図書館や貸本屋の事情や取り上げられる本には興味をそそられた。
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図書館というサービスが何を目的にしているのか。その経済事情はどうなっているのか。これからの図書館は何を目指すのか・・・といったことが書いてあるのかと愉しみに読んだのだが、期待外れ。基本的には図書館で読んだ本の話であって、図書館について全然触れていないというわけではないが、素人の所感レベルで目新しいものはない。この人、編集者だったのだから素人じゃないと思うのだが。
「中の人」の話が読みたい。
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『戦後「翻訳」風雲録』の宮田昇さんの本です。今度は図書館について。図書館の蔵書があまりにも汚く、「借り手のモラルの低下以上に、汚れた本を棚に置いて恥じない公共図書館と行政に、「タダで読ましてやる」という読者蔑視を感じた」(p117)というくだりには胸がすっとしました。また、アメリカの電子書籍専門図書館について。端末で2週間だけ貸出できるシステム、日本にも導入できないんでしょうか?
最後に、「敵法な引用」について自分のために引用しておきます。「敵法とは、引用された部分が明瞭にわかり、かつ歪めず正確に、しかも引用される必然性があり、最低限の量であること。そしていちばん重要な要件、どの著作物のどの箇所から引用したかという、出所が明示されていることである」(p212)